第二章 LOST
目覚めると、草原に寝ころんでいた。
草原といっても、周りが岩の壁に囲まれている、いわゆる「盆地」というやつだ。
隣には、見知らぬ少年が立っていて、ヨウを見つめていた。
ヨウは、今にも飛びかかりそうな形相で、
「お前は、一体誰だ!」
と叫んだ。
すると、見知らぬ少年は、
「僕は、この草原を守っているのさ」
一面の緑を眺め、ご満悦しているようだ。
「お前の名前は、何だ?」
とヨウが首をかしげた。
すると、
「僕の名前は、セオ」
セオは、またも無表情で言った。
ヨウは、この世界がなんなのか、そして、自分は何故ここにいるのかが分からなくなっていた。
そう、「記憶喪失」である。
「セオ、俺はココにどうやって来たんだ?」
「僕も知らない。」
「じゃあ、なんで横に立ってたんだ?」
「前に、ココに突然現れた奴が僕の住んでいた森を燃やしたんだ。だから、お前を監視していた。」
「俺は、今まで気を失っていたんだ!そんなことできるはず無いだろう!早く俺から離れろ!」
「ダメだ。」
「何でだ?」
「僕も、一緒に付いていく。」
「何を言っているんだ!俺は、お前が嫌いなんだよ。」
「あなたは、別の世界から来た。この世界を救えるかもしれない唯一の存在なのかもしれない。預言書に書いてあった。」
「この俺が?何でだ?根拠は?」
「無い。」
ヨウは、明らかに現実を飲み込めなかった。
自分の中の「なにか」が、「救う」という言葉を拒絶していた。
彼の「こころ」に潜む、「なにか」が。
<第二章 終>
なぜ、ヨウはココへ来てしまったのか?
セオとは、一体なんなのか?
すべては謎に包まれたまま。
これから、彼らに一体どのような運命が待っているのか?
世界は「君」を、待っている。