第十九章 秘密の部屋
マタムネは、正直驚いた。
なぜ、こんな所に秘密の入り口があるなんて、と思っていたが、良く考えれば、良くある展開に思えてきた。
「あ、あったぞ!!」
マタムネは、目を大きくして、言った。
「これが、「魂の牢獄」・・・」
ラルースは、それを見つめながら、言った。
「じゃあ、開けるぞ・・・、カチッ!」
鍵を使って、錠を開けた。
錠は、無防備にも、南京錠だった。
「やった!!開いたぞ!!!って、うわ!!!!」
マタムネが、開けた途端、魂と思われる物体が、光を放ちながら、二人の前を通り過ぎていった。
「あれは・・・、出た〜!!!!」
「そりゃそうだろ!魂が閉じこめられていたんだから!」
ラルースは、マタムネにきついツッコミを入れた。
二人は、病院に戻ることにした。
*
病院まで、たった3分で着いてしまった。
「ヨウ!大丈夫か?」
マタムネは、ヨウの居る病室に駆け込んだ。
ヨウは、元気そうに、立っていた。
「自分なら、平気だよ!ほら!」
ヨウは、ピョンピョン跳ねた。
「おお!!元気が何よりだ!!良かった!」
マタムネは、満面を浮かべた。
「ヨウさん、元気になって良かったですね!」
医師も、ヨウの回復を祝福していた。
*
「そういえば、ヨウを助ける間に、凄い奴に出会ったんだよ!」
マタムネは、自慢気に話し始めた。
「とにかく凄い!その人は、ラルースっていう人何だけど、凄く機械に詳しい奴なんだよ!一度逢ってみようよ!」
マタムネは、強引に、ヨウの手を取りながら、ラルースの居る病室に行った。
「御免下さい!」
マタムネは、かしこまりながら、言った。
「ああ、この人が、君の言ってた、マタムネ君だね!うちの娘がお世話になりました!」
ラルースのお父さんと思われる人が、ベットから、おじぎをした。
「こちらこそ!」
マタムネは、顔を赤らめた。
「で、どうしたんだね?」
ラルースのお父さんが、睨みつけながら、言った。
「ああ、それで、ラルースさんと僕と、ヨウで、「ボウケン」が、したいんです!」
マタムネは、率直に、気持ちをぶつけた。
「・・・、良いでしょう。ラルースなら、野生の根性叩きこんだつもりですから!!どうぞ、仲間に入れてやって下さい。」
ラルースのお父さんは、少し涙目になりながらも、言った。
「あ、ありがとうございます!!」
マタムネは、満面の笑みを浮かべて、叫ぶように、言った。
「宜しくね!」
ラルースは、ヨウの手を、ぎゅっと握った。
それは、ほんのり暖かい、手だった。
もう、既に、行く場所は、決まった。
サザン島、それから、天空大陸。
ヨウ達の、そして、この世界の色々な宿命を変えるべく、立ち上がれ。
ヨウ。
マタムネ。
そして、ラルース。
<第十九章 終>