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MASK OF HEART   作者: 天川 榎
第三節 雪山の秘密
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第十三章  謎の婆さん


とうとう、ダンマリ山の登山口に着いた。

「はあ・・・、電車の方がいいな・・・。」

ヨウは、ため息交じりに、言った。

「ダメだ!己の欲に負けるべからず!」

マタムネは、ヨウに「喝」を入れた。

「そ、そうですね。真面目に、登ります・・・。」

ヨウは、渋々、山を登りだした。

             *

登り始めて、大体40分ぐらい経った頃、ようやく頂上に着いた。

「はあ・・・、やっと着いたよ!うわー、眺めが良いな・・・」

ヨウは、初めて見た、美しい景色だった。

「昔は、ジパングでもよく見れたのだがな。」

マタムネは、ショボンとした顔になっていた。

「そうなんだ・・・、自分なんか、こんな景色初めて見たよ!」

ヨウは、自分の気持ちのありのままをマタムネに伝えようとした。

「そうかアラバナ・・・、なら、この景色を忘れるんじゃないぞ!」

マタムネは、元気を取り戻した。


「おやおや、そこの若いの。何処から来た?」

謎の7〜80歳ぐらいのお婆さんが近づいてきた。

「あら・・・、アラバナ、帰ってきてくれたのか・・・。」

その老婆は、何故かヨウの方を向いて泣き出した。

「何年ぶりだろう・・・、もう五十年も経つのか・・・、時が過ぎるのは早いもんだね。」

老婆は、大泣きし始めてしまった。

「うわあああああああん!!!!」

「まあまあ、落ち着いて下さい!しかも自分はアラバナではありません!ヨウです!」

ヨウは、慰めながらも、少し起こり気味だった。

「あら、そうなの?アラバナに良く似ているんだけど・・・、おかしいわね。」

老婆は、首を傾げた。

「第一、自分は五十年も生きていません!まだ25歳です!」

ヨウは、プンプン怒り出した。

「だけど・・・、自分の息子は、百年前の事件で何処かに飛ばされたのよ。私もそうなんだけれどね。その息子に、顔があまりにも似ているから・・・。」

老婆は、納得出来ないようだ。

「まあ、とにかく、名前だけでも教えてくれませんか?」

マタムネは、すかさず質問した。

「サノン。サノン・アルバードっていうの。」

サノンは、さりげなく、答えた。

「え!!!サノン・アルバード!ってことは・・・、セオってご存じですよね?」

ヨウは、驚愕した。

「ええ、私の息子よ。」

サノンは、さらりと答えた。

「そんな!そんな筈が無い!セオはどう見ても20代だぞ!おかしい!」

ヨウは、納得できる筈がなかった。

「だから、百年前の事件で、家族がバラバラに飛ばされちゃったんです!セオは、私がこの時空間に来た何十年か後に飛ばされたのよ。」

サノンは、事情を詳しく語った。

「そうなのか・・・、可哀想に。家族が引き裂かれてしまった訳ですね。」

ヨウは、慰めるように言った。

「もう、この時空間に来てから五十年も経つのよ。アラバナは、なんでいないの!おかしいわ!」

サノンは、気が狂い始めていた。

「落ち着いて下さい!アラバナは、もっと遠い未来に飛ばされてしまったのかもしれません!必ずしも、逢えるわけでは無いんですから・・・。」

ヨウは、必死に説得を始めた。

「それもそうかもしれないけれど、もしかしたら、この世界のどこかにいるかもしれない確率も否定出来ないわ!」

もう、サノンの頭の中は、アラバナで一杯だった。

「もう仕方ありません。一回家に帰って、落ち着きましょう。」

ヨウは、サノンに自分の家まで案内してくれるよう頼んだ。

何とか、サノンは、平静を取り戻し、家へと案内を始めた。


<第十七章 終>


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