第十二章 悲しみの旅立ち
MASK OF HEART
第三節 雪山の秘密
第十二章 悲しみの旅立ち
モルモンは、五年後の、同じ場所に立っているに違いない。
グラモスは、今何処に居るかも、解らない。
「まあ、とにかく、マタムネさんが、故郷に帰りたいって言っているんだから、その通りにしてあげなさい。」
ソールは、ニヤリと、笑った。
「は、はい・・・、で「ガバド」って、何処にあるんですか?」
ヨウは、平然と言った。
「え?「ガバド」の場所も知らないの!まあ、仕方ないわ。教えてあげるわ。」
ソールは、親切に、この付近の地図を取り出して、ガバドまでのルートを教えてくれた。
「ココから、真っ直ぐ西に進めば、「ジャンガド山脈」にぶつかるの。
で、一番低い山が、この「ダンマリ山」なんだけど、ちょっと恐いお婆さんが、頂上で待ちかまえているから、気をつけてね。」
「ありがとうございます!親切にどうも!」
「いいえ、当然のことですよ。」
そして、二人は、ジャンガド山脈に向けて、出発した。
*
ソールに指示された通りに歩いていると、鉄道が見えてきた。
だが、動いている様子は無い。
「もしかして、建設途中?それとも車両が無いだけ?」
ヨウは、興味深く、線路に近づいていく。
「おい!電車が走ってくるかもしれんぞ!気をつけろ。」
マタムネは、心配していた。
「大丈夫だって!ほら・・・、うわ!なんか来たぞ!!」
ヨウは急いで、線路の脇に移動した。
移動した瞬間、電車が、ヨウの前を横切った。
「は、走ってる!電車が、走っているぞ!乗っていこう!」
「だけど、高そうでござるよ。本当に大丈夫でござるか?」
「じゃあ、駅に向かってみる?」
二人は、近くの駅に、走りだした。
*
暫く歩いて、駅に着いた。
屋根は丸太で出来ており、ローカル線の雰囲気が漂っていた。
「ここか・・・、とうとう着いたぞ!やったー!」
ヨウは、「こころ」が解放され始めていた。
「ところで、値段の問題なのだが、二人合わせて、何円だ?」
マタムネは、水を差すかのように、言った。
「あ、そうだったね。お金の問題がありましたね。じゃあ、値段表を見てみるか、えーと、ココからガバドまでは、えええ!!5000円!高っ!ぼったくりじゃん・・・」
ヨウは、ショックだった。
「ほら!だからソールさんは、山で行くルートしか教えてくれなかったんじゃないか。諦めて、山を登ろう!運動にもなるしな」
マタムネは、ヨウの肩に手をあてながら、言った。
「そうだね。仕方ないな」
ヨウは、しょんぼりしていた。
二人は、ダンマリ山に向けて、とぼとぼと、歩きだした。
<第十二章 終>