第一章 パラレル・ワールド
MASK OF HEART
第一節 光と闇の狭間
いつものような、朝だった。
起きたのは、当たり前のように、正午。
そう、自分は世間で話題となっている、「NEET」だ。
まともに職につかずに、ただただ、PCゲーム(オンラインゲーム)で一日を潰す。
時間を無駄に使っていたのは、薄々感じていた。
自分の「こころ」は、殆ど(ほとんど)と言っていいほど閉塞していた。
最近、「ヒト」に思いやりを感じなくなっていた。
一日が、無駄だった。
そうそう。自分の名前も言ってなかった。
自分の名前は、「ヨウ」。
暖かみの感じられる、名前、のようだ。
とにかく、刺激のある一日がいつか来るを、心の底から、願っていた。
*
ある日のことだった。
いつものように起き、PCに向かい、「オンラインゲーム」を始めた。
「オンラインゲーム」の名前は、「MASK OF HEART」。
いつもの仲間達と、会った。
「こいつらも、どうせニートのくせに。」
ヨウは、PCに向かって、吐き捨てるかのように言った。
「こころ」の冷たさを、感じることもなく。
昨日の約束通り、「マンオーの洞窟」に向かい、歩き始めた。
暗い。
闇に包まれている。ずっと先まで。
「こころ」を閉ざした、「NEET」の心みたいだ。
一番奥に、「カマシンバ」という、光輝く宝物があるらしい。
それを手にしたものは、億万長者に成れるらしい。
次々と、モンスターが現れる。
「スライム」や、「マンモス」等。
モンスター達を無差別に殺すことに、生き甲斐を感じていた。
まるで、ロボットみたいに、次々に倒していく。
しばらくして、「カマシンバ」が見えてきた。
鮮やかな色彩を、放っている。
それを、仲間と一緒に、取った。
が、次の瞬間。
凄まじい音とともに、PCの画面が止まった。
緊張が、走った。
PCの画面の中央に、「黒い点」が現れた。
少しづつ、「黒い点」が、大きくなっていく。
とうとう、PCと同じ大きさまで、成長した。
「おいで・・・」
かすかに、声がした。
「誰の声だ?」
ヨウは、首をかしげながらも、その「穴」をのぞき込んでみた。
すると、
体が、穴に吸い込まれいく。
あっという間に、暗闇に、包まれた。
<第一章 終>