【神々の書】と聖典騎士の夢
新キャラです、といっても英雄13人全員使って初めて英雄譚だと思って書いてますんでそのあたりはご容赦を。
ちなみに、なぜこのタイミングで出てきたかというと、やっとキャラが思いついたからです。
それでは今回も最後まで楽しんでいただければ幸いです。
「お楽しみの最中失礼、魔王クロノ殿とお見受けするが」
ワリアを見送ったあと、神殿に戻ってアインハルトと共に買ってきた酒樽を飲んでいた俺に、そう話しかけてきたのは白を基調とした法衣に蒼いの向日葵を象ったペンダントを首から掛けた少女だった。
俺の記憶に間違いがなければ、彼女も英雄として召還された一人であり、そのいでたち、法衣でありながら戦闘も視野に入れて動きやすく作られている、はラウラの聖典騎士と呼ばれる者たちの格好であっているはずだ。
補足すれば、向日葵はラウラの象徴とされており聖典騎士は全員首から向日葵のペンダントをぶら下げている。
「申し訳ない、このような場合、私から名乗るのが礼儀だな、私の名前はラミア・アルクロス、よろしく頼む」
俺が、返事をしなかったのを、自分の礼儀が悪かったからだと勘違いしたのか、彼女は自ら名乗りはじめた。
まあ、俺は別に他人の礼儀など気にするつもりもないし、返事をしなかったのは単純にラウラの聖典騎士が俺に声をかけてきたことに驚いていたのだ、実際のところはどうあれ、表面上は魔王である俺とラウラは敵対していたし、今目の前にいるのはラウラの騎士なのだ、俺に礼の態度をとったことに驚かないほうがおかしいというものだ、実際、俺の隣で酒樽を飲んでいたアインハルトは驚いた表情をしている。
「失礼、ラウラの聖典騎士殿から、俺にわざわざ声をかけてくるとは思っていなかったのでな、少なからず驚いて礼儀を忘れてしまった
俺は、クロノ・クロス知ってのとおり魔王だ」
いつまでも、呆けていてもしょうがないので俺も彼女に言葉を返す、それを聞いて彼女はそうかと聞こえるか聞こえないか、といったくらいの呟きを漏らした。
そして、同時に彼女の身体から白い闘気が舞い上がった。
-【断章魔法】<フラグメント>【極光兵装】<ラグノウェポン>
【極光兵装】その名のとおり、己の身体に光の魔法を付加する【断章魔法】、アクアポリスには付加魔法と呼ばれるものは存在しない、その代わり存在するのが【兵装】系魔法と呼ばれるもの、使い方としては、己の武器に纏わしたり、集中させ一種の無詠唱魔法のように解き放ったり、使うものによってさまざまな戦い方が存在する、ただ、【断章魔法】とされているように、その魔法式は複雑怪奇であり、まともに使いこなせるものがほとんどいなかったため付加魔法として発展を見ることはなかった。
白き闘気を纏った彼女、低く腰だめに拳を構えると、動く気配の無い俺に向けて鋭い突きを打ち出した、白き光を纏ったその一撃は神速、当たれば、大地すら打ち砕くだろう気迫のこもった一撃は、俺に当たることなく俺の顔面の前で止まった、いや止めた、俺が微動だにしないことに不振を抱いた彼女がその拳を止めたわけではない。
たぶん、俺の加護が発動したのだろう。
【三種の書】<トリニティバルト>のひとつ【神々の書】そこに書かれているのは、神々からの祝福、神々の守り、加護、寵愛などが書かれている、ちなみに俺の【神々の書】には、【鏡の女神の寵愛】と書かれている。
【鏡の女神の寵愛】にこめられた異能のひとつ【ヤタノカガミ】、俺の知覚範囲において斬撃打撃などの直接的な攻撃以外魔法などを反射する、のせいで俺を殴る寸前自分の【極光兵装】が押し返されたことに驚いて手を止めた、といったところだろうか。
ちなみに、シズネの【三種の書】<トリニティバルト>を覗いたとき、彼女の【神々の書】には【ドリアドネの寵愛】と書かれていた、ドンだけ運命に好かれてるんだよといいたくなったが、そこは我慢したと言っておこう。
彼女、ラミアの拳が止まったことを確認すると、俺は俺は立ち上がり戦闘体制に入る、ゆっくりと力の差を見せ付けるように。
-【断章魔法】<フラグメント>【血華兵装】<ブラドウェポン>
血のように紅い霧が俺の身体から噴出してくる、いや、比喩ではなく俺の血で間違いないのだが、その紅い霧が咲く様はまさしく血華といっていいものだろう。
そして、その華に見とれたものはそのまま華の餌食となる、今目の前の彼女のように。
ただ一撃、無造作に彼女の俺に鳩尾をぶん殴られ、彼女は意識を失った。
【血華兵装】の付加能力のひとつ「血流操作」で自分の身体能力を極限まで引き上げた俺の動きを彼女は視認できなかったようだ。
「その辺でよかろう、クロノ」
倒れ付した彼女のと俺の間で、見慣れた尻尾が通せんぼした。俺はこれ以上やる気は無かったのだがどこかのお節介が気を利かせてくれたらしい。
「安心しろ、力の差を教えただけで殺すつもりは無い、ラウラの騎士を殺したら、あいつにとことんまで恨まれそうだしな」
そう言って、お節介な竜を安心させてから、俺は残った酒樽を一気に飲み干した。
「流石ですね、この私が手も足も出ませんでした」
彼女がそう呟いて意識を取り戻したのは、五分後くらい、手加減はもちろんしたがそれでも驚異的な回復力だな、と感心しながら彼女の方に視線を向ける。
「で、お前はなぜ俺にいきなり攻撃してきたのだ」
「嫉妬でしょうね」
彼女への質問に対する回答は、その言葉がうそではないと感じれるほど真摯な言葉、でも嫉妬って、ラウラが彼女に俺に対して嫉妬するようなことを何か言ったのだろうか。
「それは、ラウラが俺のことを気に入っているのが気に食わないとか、そんなところか」
「へ?、何を言っているのですか、私が嫉妬しているのは、魔王と呼ばれながらもなお、英雄として語り告がれているあなたに嫉妬したのですよ、実際、あなたの話は子供が寝る目の御伽噺になっているくらいですから、私も、母が聞かせてくれる英雄王とあなたの話を私は毎日楽しみにしていたぐらいです」
とんでもないと、いった感じの彼女にそれではと俺は違和感を覚える、今の話では俺に嫉妬する理由がいまいちわからなかったからだ、なぜ、と疑問に思っている俺に雰囲気で察したのかラミアはそのあとを語りだした。
「私があなたに嫉妬したのはですね、醜い話ですが私自身にあるのです、
私もあなたや英雄王に憧れ、ラウラの神殿騎士となり弱い者たちのために戦いました、最後は戦場で散ったがそれに食いはありませんし、私は一人の戦士として自分の人生に誇りを持っている位です
でも、それだけ皆のために生きて、尽くしても私は御伽噺になることはありませんでした、この時代に召還されてそれがとても悔しかったのです
魔王として今もなお生き続けているあなたが、伝説となっているのに、私はなれなかったのかと思うと、それは嫉妬の火炎となって私の中で燃え始めたのですよ」
そう語るのは、先ほどまで殺気を撒き散らしていたとは思えぬほど澄んだ瞳を持った一人の少女だった、自分の夢を。夢だったものを語りながら、それがかなわなかったことが悔しいと、そう語る少女の姿がそこにあった。
「いいんじゃないか、たとえ伝説になれなかったとしても、ここに呼ばれた君は間違いなく英雄なのだろう
ならば、ならばこそだ、もしかしたらこの時代で君はもう一度伝説になる機会を与えられたのかもしれない、せっかく与えられた機会だ、もう一度夢を目指しても、誰も止めるものはいないだろうよ」
だからこそ、俺は素直な気持ちを彼女に言えたのかもしれない。
「そう、そうですね、せっかくもう一度与えられた機会ですか、夢をおわない理由が無いですね」
そう言って、彼女は胸の向日葵よりきれいに微笑んだ。
彼女は終えたときを生きるもの、かつて戦場に生れ落ち「ラウラの白き剣」とまで言われた少女
彼女の夢はまだ終わらない、死せるときを生きようとも人の夢を止める権利を持つものは一人もいないの
だから。
「ちなみに、クロノ殿、私は戦場で生まれ戦場で生き戦場で死んだため、恋というものを知らないのですが、長い年月生きているあなたから私にご教授願えませんか」
「.........」
と、いう感じで、なんでいつもいい感じで終われないんだと悩むクロノに、どこからとも無く出現した巫女様使用の光の帯が突き刺さったのはまた別のお話。
と、言うわけで新キャラですね、ちなみに先に言っておきますがこの小説にまともな女の子が出てくる予定はありません。ラミアもどこかおかしい人な予定です。
それでは、次回、珍しく何を書くのか決まっているので軽く予告するとラミア視点から過去も絡めながら書いていく予定です。
シズネともアイシャとも違う方向でラミアも破綻している予定ですので、(作者の脳内設定では)
誤字脱字感想魔法ついでにこんな英雄いたらいいななどありましたら。感想のほうに書き込みお願いいたします。
それでは次はいつになるかわかりませんがまたお会いいたしましょう。
最後に、終わりまで作者の脳内垂れ流し駄文を読んでくれた皆様に最大の感謝を込めて、ありがとう御座います。