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【三種の書】<トリニティバルト>

今回はアクアポリスの生きるものたちの基本的な説明です。

ええー、ほとんどが説明文なのできついお方もいると思いますが最後まで読んでいただければ幸いです。

-【アイギスの書】展開


薄っすらとした光の膜がやさしくシズネを包み込むと、シズネの生体情報の一つ【アイギスの書】がクロノの前にさらされていく、その枚数にクロノ、アインハルト、ワリアの三人は同じように驚愕の表情を浮かべた。

驚いた理由を説明する前に少しだけ補足をしておこう、アクアポリスにおいてこの世界に生きるものすべては、その体に生体情報でもある【三種の書】<トリニティバルト>を持っている。


持ち主の運命を記した書【ドリアドネの書】

ドリアドネはこの世界において予言をつかさどる女神と云われている。


持ち主の力量を記した書【アイギスの書】

アイギスはこの世界において発展をつかさどる女神と云われている。


そして【神々の書】

持ち主に神々の加護や寵愛を与える書である。


アクアポリスに生きるすべての生物がこの三つの書を体に内包しており、【ドリアドネの書】には、持ち主の生年月日やたどる運命などが記されていると言われている。

【神々の書】には神々の加護が刻まれている、生まれたときから神の加護をその身に受けているものもいれば、永久に受けないものも数多くいるのでもっていれば珍しいといった程度なのだが、受けた加護によっては凶悪な性能を発揮するものもあるのでなかなか侮れない。

そして、先ほどからシズネが展開している【アイギスの書】、この世界においてもっとも身近にある書であり、深く生活に密着しているモノでもある。

アクアポリスに生を受けたものは、【アイギスの書】の断章を一人二ページから五ページほど所有しており、そのページにたとえばスキル「予見者」、他人の【ドリアドネの書】を閲覧することができ主に占い師などが職業スキルとして使用している、などを神殿でスキル「執筆者」、他人の【アイギスの書】に原書<グリモア>からスキルや魔法を書き込むことができるスキル、を所持している執筆官に書き込んでもらうなどして自分にあった職業についていくことになる。

ただ、職業は【アイギスの書】の使用例に過ぎず、ほかにも【アイギスの書】には技術であり、魔法であり、その生き物の持つ特性などが書かれていたりする。

たとえていうなら、シズネの【アイギスの書】は、そのほぼすべてに召還魔法「英雄喚起」が書かれており、彼女が持つ断章のほとんどを埋め尽くしている。


彼らがシズネの【アイギスの書】を見て驚いたのは、彼女が所持している断章の多さにあった、通常の人間なら初期所持数は大体二ページ、俗に「天才」と呼ばれる人種でも五ページ保有していれば良いといった程度だ、それをシズネは二十一ページ保有していた。

いや、正確に言えば初期所持数は二十ぺージであり、人界法に属する生き物はレベル50ごとに「神々の祝福」として断章の保有枚数が一ページ増加するため、英雄を13人召還したことと召還術を使用するための今までの努力によりシズネのレベルは53になっていたため断章が追加されていた。

断章保有数二十一ページ、だからこそシズネは生贄魔法とまで呼ばれた召還術を使用しても生き残れたわけだが、召還術を断章に書き込むとその情報量は断章十八ページ程にもなり通常の断章の保有量ではとても刻みきることはできない、そのため通常の人間が召還術を使用するとその身に余る魔法は断章の変わりに使用者の【ドリアドネの書】を断章の代わりとして塗りつぶしていく、その結果、召還術を使用したものはその運命を魔法によって塗りつぶされ死にいたる、つまり普通の人間にとっては命を捧げてはじめ使えるのが召還術と呼ばれるものであった、「天才」と呼ばれる人種でも650レベルになって初めて断章が保有数に達するといった状態である、それも650レベルまで自分の断章に何も書き込まず初めて成功する魔法、それはとてもじゃないがまともといえるものではないのだ。

もちろん、召還術も魔法であるから、断章に刻まずに詠唱することで魔法を使うことは可能である、この世界において通常、魔法と呼ばれるものは詠唱をすることで火炎球を作り出したり氷槍を打ち出したりすることが可能なのであるが、なら召還術においてなぜそれを行わないのか、簡単に言えば生物の根源ともいえる断章一ページもの物量を持つ魔法を通常の詠唱魔法として使用しようとすれば、その詠唱が終わるころには10年が経過しているだろう、つまりそういうことだ、断章のたった一ページですら通常の詠唱魔法<エンチャントスペル>と同じように使用しようとすれば10年もの物理的な時間を要する、己の断章に刻み込んだからこそシズネは短い間で魔法を行使することができたし180年もかけずに英雄を呼び出すことができたのだった。

もちろん断章魔法<フラグメント>と呼ばれるその種の魔法は、通常の詠唱魔法<エンシャントスペル>とはくらぶべくもないほどの威力をもつ、断章を一ページ使用するだけの断章魔法<フラグメント>出すら攻撃魔法であれば都市を一つ滅ぼしてもおかしくないほどの威力を有している、もちろんその類の魔法が書かれている原書<グリモア>は発禁書扱いでほとんど世に出回っていないだが、ことを考えれば断章魔法<フラグメント>の異常さがわかるというものだ。






-魔王特性スキル「原書展開」<グリモアエスポワール>


クロノが静かに呟くと、魔王のみが知覚できる魔法領域【無限書庫】<インフォグリモワール>からクロノが必要と判断した数冊の原書<グリモア>が、彼の視覚領域内でのみ展開されていく。


-作者検索【蒐集する智慧者】<ライトオーブラクテクス>著【適応者ノ覚書】展開、第三章項目「執筆者」の項目閲覧


-第六章項目「魔法師」の項目閲覧、「原書限定行使」<コードラクト>対象をシズネ・ユカに固定、かの者の断章の対して「執筆者」の断章を行使する、執筆内容は「魔法師」


「相変わらず、努力を馬鹿にしたような反則的な能力だな、クロノよ」


シズネの断章に「魔法師」を書き込んでいく横で呆れたようにため息をつくアインハルトには目もくれずクロノは一心不乱に「執筆者」を行使し続ける。

クロノ自身も反則的だと思っている「魔王」の特殊能力<パッシングスキル>、「原書執筆」「原書展開」「原書限定行使」この三つはクロノ固有の力というわけではなく、「魔王」と呼ばれる存在に付加された固有技能だった、歴代の魔王は「原書執筆」の能力を使用し数々の原書<グリモア>を生み出してきた、それが収められているのが【無限書庫】<インフォグリモワール>であり、【無限書庫】を閲覧するスキルが「原書展開」<グリモアエスポワール>、そして今クロノが使用しているのが「原書限定行使」<コードラクト>である、もちろん「原書限定行使」には制限が、己が持つ断章の枚数以上の内容を行使することはできない、があり普通の人間には使えてもたいした意味はないのだが、今現在それを行使しているのは魔界法900レベルの「魔王」であり、50レベルごとに「神々の祝福」を受けたクロノは素の状態でも十八枚もの断章を所持している計算になる、実際にはそれに初期所持の三枚の断章を持っているため総所持数はシズネと同じ二十一枚なのだが、ここでも分かるとおりシズネの所持数は異常である。


-執筆終了、「原書限定行使」<コードラクト>の解除


「気分はどうだ、執筆者じゃない俺が無理やり行使したスキルだからな、体調が悪くなったらすぐ言うように」


一息つくと、体調の不良がないかクロノはシズネに尋ねていく、クロノ自身「執筆者」の「原書限定行使」を行うのは始めてであったためその瞳には不安の色が浮かんでいる。







自分の断章に書き込まれていく感覚、それは決して悪いものではなかった。

体のそこから、本来備わっているはずの可能性を引き出されるような、体の本質が違うものに上書きされていくようなそんな感覚。

人によっては自分を蹂躙されるような感覚と思うかもしれない、でも私には、その感覚が圧倒的な奔流がとても心地よかった。


目を開けると不安そうなクロノさんが前にたっていて、私の体を一生懸命心配してくれている。

変な人だ、自分が使用したスキルなのだからもっと自身を持ってもいいはずなのに。


「これで君は、魔法師になった、召還魔法以外も使えるはずだから試してみたまえ」


優しい微笑を浮かべたワリアさんが、私に魔法を使ってみなさいと促してくる、しかし、いざ使おうとして詠唱魔法<エンチャントスペル>がぜんぜん分からないことに気づいた。


「シズネ殿、練習するなら初級の詠唱魔法の一つ「水よ」<アモーレ>から始めると良い」


私の表情に気づいたのか、苦笑顔を浮かべたアインハルト殿が助け舟を出してくれた、心の中でありがとうございますと念じながら軽く一礼すると、よいよいと顔を振って返事が返ってきた。

さて、アインハルト殿が教えてくれたのは水の魔法だったけ、確か「水よ」<アモーレ>だったはずだ。

召還魔法のときもそうだったが魔法にはある程度のイメージが大切だ、それは詠唱魔法も断章魔法も変わることのない共通点である。


-「水よ」<アモーレ>


イメージは流水、どこまでも流れ行く清流。

その瞬間手のひらの中から、特徴的な魔光と共に、噴出した清流が一本の薄い刃となって私の前にあった大木を、魔法の水で木に水をやろうと思っていた、なぎ倒したのは見なかった事にしようと思う。

だって魔法が使えてうれしかったから、だから各国の代表との値段交渉が終わって私のことを探しに来たんだろう神官様に、


「あら、神官様こんなところに神木が倒れておりますわ、どうしたのでしょう?」


私は、満面の笑みで笑いかけた。


「お前だーーーーーーーーー!!!」


その後、ツクヨミ神殿の裏庭に神官の悲痛な悲鳴が響き渡ったのはいうまでもない。

魔王のチート性能の一端が出てまいりました。原書<グリモア>などについての説明などは、これからちょくちょく書いていく予定です。


誤字脱字感想、今までの話の矛盾点などありましたら改善していきたいので、書き込んでくださればうれしいです。

今回も脳内垂れ流し駄文に付き合っていただきありがとうございました。

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