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十、いざ熱田へ

 その日、蝶夏はすっきりと目覚めた。

 生まれて初めてと言っても過言では無いかもしれない。

 その冴え渡った頭で、蝶夏は考えた。

 なんだ。カウントしなきゃいいんじゃん。

 本気でそう思った。



「さて、今日もやっぱりお勉強かなあ?」

 朝食も済み、蝶夏は腕を組んで呟いた。

 読むことはこの三日必死でやった成果が(どこと無く)出ている気がするが、書く方は進歩が無く、変わり映えのないちぎれた毛虫なのだ。

 ちゃんと書けなきゃ、仕事も貰えないよねー。

 彼女は相変わらず勉強すれば仕事が貰えると思っていた。

「蝶夏様。信長様は、本日は熱田に行かれると仰っていましたよ」

 お茶を淹れていた茅乃が言った。

「熱田?」

「ええ。ここより南にある熱田神社の門前町です」

「熱田神社……」

「ご存じですか?」

「う~ん。聞いたことがあるような、無いような」

 腕を組んだまま、蝶夏は首を右、左と傾げてみせる。

「海に面して、交通と商業の要所です。市が開かれて、とても賑やかな所ですよ」

「市?」

 ぱっと蝶夏は顔を上げた。

「それって、お店がいっぱい並んでるってことだよね!? わあ~。行ってみたいなあ」

 蝶夏の目がみるみる輝いていくのを見て、茅乃はにこにこと微笑んだ。

「蝶夏様もお連れすると仰っていたので、見られますよ」

「ホントっ?」

 勢い込んで聞く蝶夏に、彼女は頷いて見せる。

「ええ」

「でも、忙しいんじゃないの? 熱田に行くのも仕事?」

 ここ四日ほど殆ど会うことが無かったのを思い出して蝶夏がそう言えば、茅乃は少し沈黙してから返答した。

「……そうですね、お仕事もあるでしょうね。熱田を治めているのは信長様ですし。ですが、……」

「?」

 蝶夏は口を挟まずに茅乃の台詞を待った。

 茅乃はそんな蝶夏をとっぷりと眺めた後、続きを口にした。

「蝶夏様とお出掛けしたい、というのもあると思いますよ」

 そう言って、にっこりと微笑んだ。

 その微笑みの奥に隠された意味などさっぱり察しない蝶夏は「ふうん?」と言うしかなかった。

 それは、茅乃の言うことを信じられ無かったと言うよりも、信長がそんな事を考えるとも思えなかったからであった。

 すぐに関心が目の前のお茶に変わってしまった蝶夏を見て、茅乃は残念そうな顔をした。


 熱田へは朝から出掛けると言うから、蝶夏はすぐに支度に掛かった。

 とは言え、やることなんて茅乃が用意してくれた被衣かずきを被るだけだ。 

 さっさと準備を済ませた蝶夏は茜丸に会いたくて、足早に城内を進んだ。お供につくという方輔が黙ったまま、見送りをするという茅乃が急ぐ蝶夏をいさめながら彼女の後に続いた。

「蝶夏様、そのように急がれなくとも茜丸は逃げたりしませんよ」

「早く会いたいんだもん! あ。おはよう。」

 道すがら出会う人出会う人に一々挨拶しながら蝶夏は進む。そんなものだから、早足なのに蝶夏の歩みはけして早くはなかった。

 挨拶される側はというと、面食らったような顔をして黙ったままの者や、かろうじて挨拶し返す者と色々だ。

 厩に近づけば、既に茜丸は鞍と手綱を準備され、外に出されていた。

「茜丸!」

 蝶夏が嬉々として声を掛ければ、顔を振り上げて答えた。蹄が地を擦り、こちらに駆けてきたいような仕草をする。残念ながら、手綱は木の柵に括られて彼はそれ以上前へは進めない。だから代わりに蝶夏が駆け寄った。

 驚かさないように、少し手前でスピードを緩め、茜丸の鼻先に手を伸ばす。蝶夏の手に鼻筋を滑らせるようにして、茜丸の顔はあっという間に蝶夏の懐に収まっていた。

「おはよう、茜丸。今日はご機嫌ね」

 喉の辺りを撫でてやりながら蝶夏が言えば、彼は瞬きで肯定する。

 ふと昨日の一件を思い出して、蝶夏は茜丸の耳元に口を寄せて囁いた。

「ちゃんと、謝った?」

 思わずくすくすと笑いを漏らせば、くすぐったかったのか茜丸は耳をぱたぱたと動かした。

 それから少し身を離して、蝶夏をひたと見据えた。「当たり前だろ?」そう言っているようだった。

 いい子いい子とたてがみを撫でてやれば、目を細めて気持ち良さげにする。

「まあ、蝶夏様。いつの間に茜丸とそんなに仲良くなられたんですか?」

 茅乃が驚いた声をあげた。

 蝶夏は茜丸と顔を見合わせて、いつだろうかと思い返す。

 ……いつだろ? わかんないな。

 だからこう言った。

「多分、餌付け作戦成功?」

 ことん、と首を傾げて言う蝶夏の背後で、方輔が「そんな馬鹿な」と呟いた。茜丸のプライドの高さは蜜柑ごときでは乗り越えられない。

 茜丸は無表情に蝶夏の頭を鼻先で小突いてきた。

「え。え。なに、茜丸。蜜柑美味しかったよねぇ?」

 全く小突かれる理由がわからない蝶夏は戸惑った声を上げる。

 小突かれて、よろめいて、と、と、と、と前に進み出れば、どんっと何かにぶつかった。

 んん? 昨日もこんな事があったような……。

 と、デジャブを感じた蝶夏が顔を上げれば、信長が立っていた。

「何を遊んでいる」

 いつも通り、すっきりとした簡素な衣装に身を包み、高く結い上げた長い黒髪は少し跳ねている。髪の結い紐は今日は鮮やかな朱色だ。

「あ。おはよ」

 自然に朝の挨拶が蝶夏の口から出た。

 目覚めた時にさっぱりと昨日のキスを無かったことにしようと決めたせいか、彼の顔を見ても蝶夏の心は大人しいものだった。

 一方信長は、自分の感情に素直な蝶夏がいつも通りであることをいぶかしんだ。面白いぐらいに過剰な反応をするだろうと予想していたから、正直拍子抜けだった。

 片眉を引き上げて、僅かに感情を露わにする。

「支度が早いな」

 しかし発した言葉は全く別の内容だった。

「だってこれ、被るだけだし」

 蝶夏は言って、被衣の両端を持ち上げる。

 夏らしい、白地に青い小花の散った模様の布地は蝶夏の顔から胸元にかけて薄い影を作っていた。

 蝶夏の姿を一瞥した後、信長は茜丸の手綱を取った。進み出てきた六介が木の柵から茜丸を解放した。

「六介おじさん、おはよう」

「ああ、お嬢ちゃん。おはようさん」

「昨日の子、大丈夫だった?」

 茜丸に虐められ、信長の怒気で撃沈した葦毛の馬を蝶夏は心配していた。

「おお。あやつなら、今朝はもう元気じゃったて。嬢ちゃんが気にするようなことはないぞ」

 六介はほがらかに言った。

 ほっと息をついた蝶夏は笑う。

「そお。良かった」

「それに、今朝は茜丸もご機嫌でなあ。なあ?」

 六助が茜丸に問いかけると、彼は蝶夏にすり寄って、その問いを無視した。

「ごめんねー。出掛けるって言うから、今日は蜜柑持ってきてないの。また、今度ね」

 茜丸が上機嫌な理由を食べ物だと思った蝶夏は額の辺りを撫でてやるが、彼は「なんでわからないんだ」と言わんばかりの視線を蝶夏に送るばかりだ。

 同じような視線が、そこら中から送られている事に蝶夏は全く気づいていなかった。

 そんな中、誰より先に意識を切り替えたのは信長だった。

「まあいい。そろそろ行くぞ」

「はっ」

 方輔が返事を返して、自分の馬を引き取りに行った。

「今日のお供は方輔殿だけですか?」

 茅乃が信長に問う。

「いや。勝三郎と内蔵助くらのすけが行く」

「では、その勝三郎はどちらに?」

 茅乃は信長の背後に立つのが、年若い青年一人であることに眉をひそめた。声に少しばかり険がある。

「別の仕事を任せたから少し遅れるだろうな。後から追いかけると言っていた」

「まあ、そうでしたか」

 口元に手をやって茅乃はにこやかに微笑んだ。しかし顔とは裏腹に「てっきり私に折檻せっかんされるようなことをしているのかと思いましたわ」と冷たい声音で呟いた。

 ひいぃ~。

 蝶夏は思わず二の腕をさすった。鳥肌が立っていた。

「内蔵助」

 茅乃の怖い発言をなんら意に介さずに、信長は背後の青年を呼んだ。

 あらぬ方向に視線を送っていた彼は、即座に背筋を伸ばしてこちらに歩み寄った。

 蝶夏の目前に立つと、軽く一礼する。

 にょっきりと、背中に背負っているモノの先端が頭の上からちょっろっと覗いた。黒い鉄の筒は、どう見ても銃口だった。

「………………」

 蝶夏は見間違いかと思って自分の目を擦った。その間に内蔵助は姿勢を戻し、ソレは見えなくなってしまった。

「佐々《さっさ》内蔵助と申します。趣味は短筒たんづつ作りと火薬の調合となります。どうぞ宜しく御願い致します」

 それから、深く一礼する。

 今度は背中のブツの全容が見えた。唐草模様の布地と革に包まれた銃がくくりつけられていた。

「はあ。蝶夏といいます。趣味は、ん~と、スポーツ観戦とか、ウィンドウショッピング、…………」

 そこまで言って、相手に通じない単語ばかり使っている事に気付いた蝶夏は、言い直した。

「運動しているところ見たり、あ、自分でやるのも好きだなあ。あとは、ウィンドウショッピングってなんて言えばいいんだろ。買わない買い物? 見るだけ買い物?」

「店を冷やかすだけか?」

 懸命に考えながら話す蝶夏に、信長が口を挟む。

「ああ。そうかな。でも、冷やかすって、人聞き悪い感じする」

 口を尖らせる蝶夏に、信長は口の端だけで笑う。こっちは人が悪そうに見えた。

「まあ、趣味はそんな感じ、です」

 蝶夏が適当に話しをまとめると、内蔵助はこくりと頷いて見せた。

 あまり話さないようだ。

 和製ロボット(長秀)と同じ属性かなあ。

 蝶夏は内蔵助にそんな印象を抱いた。背中の銃の事は何となく突っ込み難かった。

「蝶夏、上げるぞ」

「へ?」

 ひょいと、唐突に信長は蝶夏の腰を持ち上げて馬上に乗せてしまった。

 すぐに自分も茜丸に乗り、手綱を引いて歩を進めた。

 茅乃が「いってらっしゃいませ」と淑やかに頭を下げる。

「じゃあ、いってきます」

 信長には文句を言うだけ無駄だと思った蝶夏は、茅乃に手を振った。今回は茅乃も手を振り返してくれた。

 すぐに方輔が追いついてきて後に続く。いつの間にやら内蔵助も馬に乗ってそれに並んでいた。

 城門を抜け、堀に掛かる橋を渡り終わる頃、背後から早足の蹄の音が聞こえた。

「遅くなりましたっ」

 そう言って茜丸のすぐ脇に寄ってきたのは、勝三郎を乗せた茶色の毛の馬だった。

「おはよう、勝君」

「はい、おはよう、蝶夏殿」

 蝶夏の挨拶に、勝三郎はにこやかに答えた。

 ややしばらく彼女の顔を眺めた後、「んん?」と首を捻った。

「……勝、君?」

「うん。あだ名」

「………………」

「いやなら変えるけど?」

「いえ、いえ。嫌とかじゃなくてですねえ。なんて言うか、信行様のことは」

「行君」

「そう! それなのに僕まで同列に」

「勝君」

「と呼ぶのはいかがなものかと……」

「無駄に息が合っているな」

 蝶夏と勝三郎の打てば響くようなやりとりに、信長が感心半分呆れ半分な声を出す。

 慌てたのは勝三郎だ。

「いえいえいえいえいえ! まさか!」

 左手で手綱を握り、右手を顔の横で精一杯振って否定を示す。

「で、勝君は有り? 無し?」

 蝶夏が繰り返して聞けば、「いいんじゃないのか」と信長が答えを返した。

 その視線は前を見据えるばかりで、勝三郎に彼の真意は見えなかった。色々と懸念は残るが主がこう言っているのだ。

「はあ。勝君で結構ですよ」

 勝三郎の答えはこれしかなかった。

 四頭の馬は、一路南へと進んだ。



「わあぁ!」

 熱田の町に着き、当地に住む信長の部下に馬達を預けた。

 そこから暫く歩いた先に広がっている光景に蝶夏は感嘆の声をあげた。

 大きな通りに木造の建物が立ち並び、その殆どがどうやら店舗のようだ。道に張り出すように木の屋根を伸ばしたり、厚手の布で日差しを遮ったりしながら、その下に沢山の商品を並べている。むしろの上に果物や野菜を並べる店。大きな桶の中に種種の魚を入れて、大声を張り上げて呼び込みをしている店。反物たんものが山の様に積まれた店。実に多種多様な品があった。

 そして、それらの商品を買おうとする人もまた、多い。車が二台くらい余裕で通れそうな幅の通りだというのに引っ切り無しに行き交う人で先を見通すのが難しいくらいだ。

「凄い、人がいっぱいいる!」

 興奮した蝶夏は大通りに進み出ようとしたが、冷静な声がそれを引き止める。

「はぐれるなよ、蝶夏」

 振り向けば、眉間に微かに皺を寄せた信長がいた。その背後では、勝三郎と方輔が苦笑している。唯一人、内蔵助だけがやはりあらぬ方向を見ていた。

 むう。あれは田舎者だと思っているな! 渋谷のスクランブル交差点の方がここより凄いんだからな!

 三人の視線に不快感を感じて、蝶夏は比べてもしょうがない対象を持ち出して心中だけで反論した。

 唇を尖らせながら、それでも蝶夏は了解を示した。はぐれたら、困るのは蝶夏の方だから。

「わかってるよ! ちゃんと後ろについて行くってば!」

「どうだかな」

 にやりと笑って、信長は蝶夏を追い抜かして大通りを進み始めた。その斜め後ろに勝三郎、内蔵助くらのすけが続く。

「参りましょう、蝶夏様」

 方輔の促す声に頷いて、蝶夏は小走りに信長の背を追った。

 それなのに、その背中が白くぼやけ始めた。

「……えっ」

 驚いて一瞬足を止めた蝶夏だったが、はっと我に返り、慌てて足を速めた。

 手を伸ばし、声をあげる。

「信長っ」

 視界は真っ白いもやに埋め尽くされた。


 少女の切羽詰った様な声が聞こえた気がして、信長は振り返った。

 目的の姿は無く、方輔が目を見開いて立っている。

「蝶夏はどうした」

 低く問えば、方輔は肩を揺らして信長を見上げた。

「突然、消えられたのです……。先程までは確かに私の目の前を歩いてらっしゃいました!」

 青褪めた顔で言う。

「突然消えたって……。おいおい、はぐれちゃっただけでしょ?」

 勝三郎が呆れたように言うが、内蔵助が口を挟んだ。

「違います。白い靄に包まれて、姿が見えなくなりました」

 いつ抜き放ったのか、その手には背中の銃が握られていた。

 蝶夏の声が聞き間違い等では無かったことを信長は確信した。

 瞳をすがめて、周囲の気配を探る。微細な音を拾う。顔に出来た陰影の奥で、金色の光が鈍く輝いた。

 熱田に元より充満する神気が、濃く、しかし狭い範囲に揺らいでいた。

 それを知るや否や、信長は踵を返す。

「信長様っ。どちらへ?」

「あの阿呆を迎えに行く」

 勝三郎のらしく無い慌てた声に、信長は短く答えた。


 白い。

 信長の大きな背中を掻き消した靄は、もはや蝶夏の視界いっぱいに広がっていた。

「どこよ、ここ……」

 隠し切れない不安が、声に滲んでいた。

 恐る恐る足を踏み出せば、一応地面はあるようで、前に進むことは出来た。

 一歩、また一歩と進むが、辺り一面同じ景色なので、本当に進んでいるのか怪しいものだ。

 そうやって幾らか進んでいくと、少し先に、赤い色を見つけた。信長の髪の結い紐が朱色だったことが印象に残っていた蝶夏は思わず、そちらに向かって駆け出していた。

「あっ」

 赤の正体が判別できる位置まで来て、蝶夏は足を止めた。

 正体は、緋袴ひばかまだった。正確に言うと、白い小袖に緋袴をまとった女性だった。

 所謂いわゆる巫女装束に身を包んだその人は、茅乃と同じくらいの年齢だった。長い黒髪を肩に垂らしながら、一本に結んでいる。切れ長の目に、鼻筋の通った瓜実顔うりざねがお。上品な仕草で立っていた。

「突然お呼び立てして申し訳ありません、蝶夏様。我が主が貴女様にお会いしたいと仰せです。どうぞこちらへ」

彼女がゆったりと手の平で示した先には朱色の鳥居と同じ色の板敷きの回廊が続いていた。

「あの、どちら様? 出来れば、さっさと一緒に来た人たちと合流したいんだけど……」

 蝶夏の言葉に、彼女はこくりと一つ頷いた。

「戸惑われるのは御尤ごもっともで御座います。しかし、これは我が主の仰せ。大神おおかみの御言葉に人如きが逆らうも愚かしゅう御座います」

 一時同情らしき色を見せたかと思えば、次の瞬間彼女はあっさりと蝶夏の言い分を切り捨てた。しかも全て棒読みだ。

 呆気にとられた蝶夏の手を、彼女の白い手が優しく、しかし強引に掴む。そのまま、緋袴の裾を揺らして前に進んでしまう。

 腕をとられてしまった蝶夏はつんのめるように、足を前に動かしてしまった。

 後はもう、ずるずると、引き摺られるように回廊を進むばかりだった。

 回廊の先には広間があった。同じく板張りで、途方もなく広くも見えるのに、ほんの数歩で突き当たりに着いてしまった。

 広間の突き当たりには御簾が下ろされ、その先は一段高くなっている。御簾の奥の様子は伺えないが、うっすらと人影が見えた。

 蝶夏の手を掴んでいた女が、その手を放し、その場に膝を着いた。

「大神様、ご所望の娘をお連れいたしました」

「ご苦労」

 女のたおやかな声音と正反対の低く太い声が御簾の奥から響いてきた。

 つまり、なんだ? この奥にいる人が、このお姉さんに命令してあたしをここにつれてきたって事?

 蝶夏は立ったまま、眉間に皺を寄せて考えた。

「その通りだ、娘よ」

 御簾の奥から、今度は蝶夏に向けて発せられた言葉に蝶夏は目を剥いた。先ほど考えたことは、あくまで蝶夏の頭の中で考えたことであって、決して口に出してはいなかったのだ。それだと言うのに、まるで人の心を呼んだかのように答えが返ってきた。

「そなたの心は面白いぐらい素直だの。聞こうと思わんでも聞こえてくるわ」

「んな馬鹿なっ!」

 驚く蝶夏の台詞に反応したのは、傍らの女だった。

 ぐぅるりと首を巡らし、無表情ながら蝶夏を睨みつけた。

熱田大神あつたのおおかみ様に向かって何という口の聞き様。お控えなさい」

 美人の睨みというのは中中迫力があるが、そんな事に怯む蝶夏ではない。むしろ抑揚の無い口調の方が怖いのだが、逆に睨み返して、その場に仁王立ちする。

「誘拐犯相手に控えてどうすんのよ! 誘拐されたときは冷静に、かつ下手に出ないのが一番なんだから!」

 どこかで覚えてきた間違った知識を蝶夏は堂々と披露する。多分誘拐された当人の対処方法と、身代金を要求された場合の対処方法が中途半端に混ざっている。

「ゆ、誘拐犯ですって……」

 蝶夏のストレートな言い方に、女は平坦に言う。一応動揺しているのか、一回だけどもった。

 未だかつて神を相手取って「誘拐」を訴えた者などいただろうか? いや、いない。たぶん。

 やはり無表情のまま、女は立ち上がり、蝶夏に対峙した。

「落ち着け、文女あやめ

「しかし、大神様……」

 主の諫める声に、巫女装束の女、文女は瞳を揺らす。それでも無表情だが。

「娘にもその供の者にも了解を得ずに連れてきたのだ、まさしく誘拐じゃろうて」

 神妙に話しているが、声は震え、笑いを堪えているようだった。

「じゃあ、帰して! 迅速に!」

 蝶夏が言えば、「まあまあ」と取り成してきた。

「そなた、折角神に会えたのだから、なんぞしたい事は無いか? ん?」

 便所神の千那木といい、この大神といい、男神は蝶夏を子ども(孫?)扱いする倣いらしい。

 ご機嫌を取る様にされたって蝶夏の不快度は上がるばかりだ。

「したいことって……、そっちが勝手に連れてきたくせに聞く?普通」

「はっはっはっ。儂はあの小生意気な吉法師のところに変わった娘が居ると聞いてな、会いとうなった。だから連れて来た。いや、いや、そなた面白いのう」

 何とも大らかに笑いながら、大神は言う。

「うるさいなあ。こっちの人にしてみれば、あたしはさぞかし変わってるでしょうともっ」

 そっぽを向いて、蝶夏は呟いた。

「こっちと、そっち、のう……。そなたは、時を超えたのじゃろう?」

 背けていた顔を、蝶夏は思い切り、大神に向けた。

「知ってるの!?」

「儂を誰と思うている。三種の神器の一つ、『草薙の剣』を祀る熱田の神ぞ」

 威厳に満ちた強い言葉だった。

「そう、なんだ。わかるんだ……。神様ってやっぱすごいのね」

 ゆらり、と蝶夏の足元が揺れた。

 力が抜け、ぺたん、と床に座り込んでしまう。

「じゃ、じゃあ、帰り方とか……。そう! 帰り方知らない?! ううん、知りませんか?!」

 身を乗り出して、蝶夏は尋ねた。

 まなじりには涙が滲んでいる。

 もしかして、帰れる?帰れるの?

 期待と不安が胸に渦巻く。

 帰れるなら、帰り方がわかるなら、誘拐犯にだってへりくだる。

かえり方……」

 熱田の大神は顎に手を添えて、唸る様に言った。

「そう! ……です。知ってるなら教えてください! あたし、早く帰りたい!」

 思い出せば挫けてしまうから、蝶夏は信長の胸で泣いて以来、極力帰る場所のことを考えないように過ごしてきた。

 なんだかんだと忙しかったから、努めて考えないようにする機会はそう多くは無かったが……。

 そうか、もしかして、信長ってそれも狙ってたりしたのか、な?

 一瞬、そんな風に思い至るが、遮るように大神が言った。

「還る方法とやらだが」

 その台詞に、蝶夏の頭の中は帰ること一色に染まってしまった。

「はい! 帰る方法はっ?!」

「わからぬ」

「うん!」

 大きく、蝶夏は頷いた。

「「………………」」

 両者、無言を持って思考した。

「むむう。やはりわからんな」

「マジ?!」

 そんな、思わせぶりに言っといて、それ?! 

 蝶夏の心中を見た大神は僅かに申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。

「時を超えるなどと。そんな力は、感じることは出来ても、発揮することは出来ぬよ。いかに信仰を集める儂とてな」

「……そんな。あっ、じゃあ、そういうのに詳しい人知りません?」

 諦めたくない蝶夏は食い下がる。

 御簾の奥で大神が首を振った。

「八百万の神の中にはもしかしたら居るやも知れぬが、儂の知る限りではおらんな」

「そう……」

 俯いた蝶夏に、大神は穏やかな口調で言う。

「そなたの中に、ここで生きるという選択肢は無いのか? 今のそなたがそうであるように、抗えぬ運命というものは誰しもにあろう。それに従おうとは思わぬのか?」

 考え、考え、蝶夏は言葉を紡ぐ。

「ここに来て、もう何年も経っているって言うんなら、あたしだって腹括り、ますよ。でも、……まだ七日なんだもん。それに、帰るためにあたしが何かしたかって言うと、何にもしてないし。信長のところでお世話になって、茅乃や方輔に面倒掛けてるだけだもん。そんなのいつまでも続けられる訳ないし。その内どうにか一人立ちして、そうよね、大神様が知らなくっても、他の神様が知ってる可能性だってあるし。うん。やっぱり第一目標は一人立ちね! 一朝一夕になんでも解決する訳じゃないもんね! よし、凹むのはおしまい!」

 結論が出たところで、蝶夏は立ち上がってぎゅっと拳を握り、大神に向き直った。

「そういう訳で、とっとと元のところに帰してください! あたし、やらなきゃいけないことがいっぱいあるみたいなので」

 輝く笑顔でそう言った。

 床に膝を着き直していた文女が、無表情ながら、どこか呆気にとられた顔をしている。

 かたかたかたかた、かたかたかたかたかたかたかたかた

 しかし、御簾の奥から響いてきた小さな物音に気づき、蝶夏と文女、二人の注意はそちらに引かれた。

 あーははははははははははは! 

 けたたましい笑い声と共に、暴風が吹いた。

 御簾はぴくりとも揺れないのに、蝶夏の全身に吹き飛ばされそうな程の『何か』がぶつかってきた。

 ぺたん、と。蝶夏は再び板張りの床に座り込んでしまった。

「へ?」

 うっかりするとそのまま床に突っ伏してしまいそうなほど、全身から力が抜けていた。

「おやおや、儂の神気に当てられてしまうとは……」

「しんき?」

 僅かに驚きを含んだ声で言われた言葉に蝶夏は聞き返した。

 それに答えたのは文女だ。

「神々が放たれる気配や力の事でございます。あらゆる対象物に様々の影響を及ぼします。ですが……」

「そなたはことのほか影響を受けやすい様じゃな」

 神気とな。

 首を傾げようと思えば力が入らず、ごとん、と音がしそうな勢いで倒れていった。ちょっと痛い。

「おっとと、迎えが来よったぞ」

「迎え?」

 今度は反対側に、ごとん、と蝶夏の首が倒された。

 するすると目前の御簾が上がり、大神の胸元まで覗く事が出来るようになった。その手には扇が握られている。先程のかたかたという謎の物音はあれが何処かに当たった音だろう。

「あまり時間が無かったのう」

 さも残念そうに大神が言えば、文女が静かに頷く。

「はい。今代の織田弾正忠家(だんじょうのじょうけ)御当主殿は拙速ながら我慢の足りない御仁ごじんと見受けられます」

「は、は。そう言うてやるな。あれは中々礼儀をわきまえとるぞ?……今は頭に血がのぼっとる様だがの」

 蝶夏にはさっぱり意味のわからない事を二人は楽しそうに話す。

 おもむろに、熱田大神の扇を持った手が返った。

「戻りやれ、蝶夏。また遊びに来ると良いぞ。精々儂を楽しませよ」

「戻るって……、どうやって。っつーか、あたしは玩具じゃないっつーの!」

 抗議する蝶夏の周囲は再び白い靄に包まれた。


「お、お待ちください、織田様!」

 焦るはふり(神主、禰宜の次位に位置する神職)を引き連れて、信長は熱田神社の拝殿に乗り込んでいた。

「ああ~。だからね、こっちの連れを、熱田大神様が連れてっちゃった訳ですよ。だから迎えに行くだけだからさ、そんなに騒がないでくださいね~」

 信長の半歩後ろを歩みながら勝三郎はフォローを入れる。

「お客人など今は来ておりません! 断りも無く本殿に押し入ろうなどと、いかに御領主と言えど、暴挙でございますよ!」

「本殿の扉を開ければ判ることだ」

 顔を真っ赤にして言い募る祝に、信長は冷ややかな態度を取った。

 回廊を進み、祭文殿を抜ける。尾張造と呼ばれるこの地方独特の建築様式で建てられた熱田神社は、正面から拝殿、祭文殿、本殿が一直線に並び、更にそれぞれが回廊で繋がれている。

 やがて本殿に着けば、そこで漸く信長は足を止めた。

 本殿の扉の前に音も無く胡座をかくと、左手を左足の腿に置き、右手の拳を床につけて頭を垂れた。

 背後で勝三郎もそれに続く。

 戸惑ったままの祝も結局はそれに倣い、両膝をついて丁寧な礼をした。

「ご無礼は承知でここまで押し入りました事、これ全てそちらに我が連れがいるが為。是非ともお返し願いたい」

 謝罪の言葉かと思いきや、扉に向かって極丁寧に「お前が連れて行ったせいだ。さっさと帰せ」と言う信長に、若い祝は伏せていた顔を引きつらせた。

 しばしの沈黙の後、ゆっくりと、本殿の扉が開かれた。軋みの音一つしない。

 顔を上げれば、薄暗い空間が扉の奥まで広がっている。

 その中央に、白い影がいた。

「えっ、あ。……本当に居た」

 神の許し無くば開かれないはずの本殿の、その扉の内側に、少女が、蝶夏がいた。

 ぺたりと床に座り込み、こちらに背中を向けていた。夏らしい白い被衣が、ここでは彼女の姿をぼんやりと浮かび上がらせていた。

 祝の声に遅れて顔をあげた勝三郎は口を開いた。

「ああ、いたいた。蝶夏殿のことだからここからも逃亡してたらどうしようかと思ってたんだよね~」

 のほほんと言う勝三郎の台詞に、祝の頭の中に疑問符が浮かぶ。

 と、逃亡? 織田様がお連れしているのだから、どこぞの武家の姫君ではないのか……? 

 彼の心中を知らぬ勝三郎は、腰を上げた。

「さてさて、行きますかね。……蝶夏殿?」

 勝三郎の声が聞こえない距離では無いというのにぴくりとも動かない蝶夏に、彼は不審の声をあげた。

 それでも蝶夏は肩を揺らすことさえしない。

 立ち上がった信長が、本殿に足を踏み入れた。

「蝶夏」

 恐ろしい程、『力』の篭もった声だった。

 慣れているはずの勝三郎でさえ皮膚が泡立つような感覚がした。初めての祝などは立っていたならば確実に腰が抜けていただろう。

 蝶夏の肩もびくりと揺れた。

 視線をあちこちに走らせるから、被衣がそれに合わせてゆらゆらと揺れる。

 それから、そろそろと後ろを振り返った。

 日の光を背負うようにして立っている男には、当然の如く見覚えがあった。

「……信長」

 すいっと彼は蝶夏の方に足を進める。

 蝶夏は訳が分からず、眉尻を下げた。

「えと、ここ、どこ? さっきの所って……??」

「熱田神社の本殿だ」

「熱田神社……」

 そう言えば、熱田はその神社の門前町だと茅乃が言っていた。と蝶夏は思い出す。

「ん? 熱田? あれ、あの大神様が、熱田大神とか呼ばれてたかも?」

 文女あやめさんがそう言ってたな、と続ける。

「大神様がお会いになったと?!」

 信長の背後から素っ頓狂な声が上がるものだから、蝶夏がそちらを見れば、白い小袖と袴をまとった痩せ型の男が目を見開いていた。

 誰さ。

 首を傾げる蝶夏を見下ろしていた信長は、その傍らに膝をついた。

「はぐれるなと言ったはずだ」

 蝶夏の周囲にまとわりつく彼の神の神気が彼を苛立たせる。

「言われたけど、これはあたしのせいじゃないでしょ!」

 当然蝶夏は噛みついた。

「勝手に連れてかれて、どうしろってのよ。あの白い靄を何とかする方法があるってんなら是非とも教えてもらうわよ!」

 腕を組んで、ぶんっと顔を背けた。

 蝶夏の言っていることはもっともだと頭では理解しているが、それでも信長の苛立ちは収まらない。

 蝶夏に右手を伸ばすが、彼女はさっと避けた。相変わらず四肢に力が入らないものだから、避けたと言うよりも仰け反った姿勢になってしまった。

 そこで信長は奇妙な顔をした。

「なんだ、腰でも抜けたのか?」

「抜けてないっ! あの神様の神気に当てられたとか言ってたから、そのせいよ!」

 身体の状態として表現すれば、『腰が抜けた』と言うのは妥当な線なのだが、蝶夏は頑として認めたくなかった。

「なるほどな」

 それだけ言うと、信長は蝶夏の細い腰に腕を回し、肩に担ぎ上げた。

「おわっ?」

 戸惑いの声などまるっと無視して本殿の扉を抜ける。

 そこで一度振り返ると、片膝を着いて頭を垂れる。

「のわわっ」

 ずり落ちそうになった蝶夏は慌てて信長の肩にしがみつく。

 蝶夏の背中に手を添え直して、信長は口を開いた。

「お返し頂き、感謝致します」

 殊勝な言葉と、その所作の(蝶夏を担いでいるというのに)優雅な様に、神事を見慣れているはずの祝の男も目を見張った。

蝶夏に至っては驚愕の余りあんぐり口を大きく開いてしまった。

 幸いな事に、その後信長が呟いた言葉は、小さすぎて祝の男には聞こえなかった。

「……二度は無いぞ」

 とても神様に向ける台詞では無いし、またその声音の低い事と言ったら無かった。身体を通して聞いてしまった蝶夏はぶるりと震えた。開いた口も一気に閉じる。

 蝶夏の重さ等無いとでも言う様にすっくと立ち上がった信長は、回廊を戻り始めた。

 その背後で、本殿の扉が静かに閉まっていくのを蝶夏は見た。慌ててほんの少し、礼をした。

 それから、自分の現状を省みて、前にもこんな景色を見たなと思う。

「はっ。なんでまた担がれてんのよ!」

「お前が歩けんからだろう」

「ちょっと待ってくれたら歩けるよ! 下、ろ、せ!あたしは俵じゃないぞー!」

 あまり自由になるとは言えない体で蝶夏は信長から離れようと努力した。しかしことごとく押さえられ、無駄な努力となる。

「わーお。蝶夏殿、幾ら信長様でも俵は担がないよ~」

 のほほんと二人の後ろに続きながら、勝三郎が言う。

「んんん? どういう意味?」

「どういう意味だと思う~?」

 軽口を言い合う二人を無視して、信長は祝に声を掛ける。

「客間は使えるか?」

「はい。すぐにお通しできます」

 今度は怒りの気配も見せない信長に、ほっと小さく息をつき、彼は答えた。

「では、半刻程これを休ませてもらう」

「わかりました。では、案内の者をお付けしますので、社殿の外でお待ち頂けますか?」

 祝の言葉に、信長は頷いて答えた。

 青年が立ち去り、三人が社殿を抜けて外に出ると、方輔が安堵の表情で駆け寄ってきた。

「蝶夏様、ご無事でしたか!」

 無事といえば無事ですねー。と信長の肩辺りで蝶夏はぶつくさ呟く。

 方輔の奥にいた内蔵助は蝶夏が信長に担がれているのを見て、僅かに目を開いていた。

 しかし方輔からしてみれば初対面の辺りから蝶夏は信長に担がれていたものだから、今の状態もそんなに不自然では無かった。困った事に、二人のツーショットとしては十分にありえる光景だと認識している。

「行くぞ」

 端的に言う信長に、供の三人が従う。

 砂利の敷き詰められた境内を進む、人が少ないから裏通りのような道なのだろう。

「もう歩けるんだけど」

 多分、と内心で付け加えた蝶夏の訴えは無視された。

 担がれたまま揺れる景色を、蝶夏はむす~っとした顔のまま眺めていた。

 目に映る景色の中にやたらに太くて巨大な木が二、三本あった。注連縄が掛けられているものもある。

 木々に遮られて落ちる影が涼やかな空気を作り、神社という神域の為なのか澄んだ風が流れている気がした。

 瞳を閉じて、蝶夏は荒れた心を静めようと静かに深呼吸を繰り返した。

「織田様、お待たせいたしました。客間にご案内致します」

 先程の祝の男とは違う人物だが、同じ格好をした青年が追いついてきて頭を下げた。

 案内されたのはこじんまりとした部屋だった。

 蝶夏を床に下ろすと、信長は無言で背中を向けた。

「それじゃあ方輔君。神気に当てられてぐったりの蝶夏殿と仲良く待っててね」

「皆様はどちらに?」

「元々こっちに来た用件を済ましにね~」

 勝三郎のふざけた台詞に、方輔は真面目に応対する。

「どのくらいこちらでお待ちすれば宜しいでしょうか?」

「半刻くらいだよ。終わったら迎えに来るから、それまでは、く~れ~ぐ~れ~も! 大人しくしててね蝶夏殿?」

 神気に当てられて言うことを聞かない体と、あちこちで信長に担がれているのを見られた故の羞恥心で蝶夏は精も魂も着き果てていた。脇息きょうそくに(勝手に)もたれながら勝三郎を上目遣いで睨み付け、「うるさい」と言うのが精一杯だった。









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