第2話 挑戦者
俺が世界最強になってから年月がたった。
俺は空白の境に独りでいる。神々の試練が終わってから閉じ込められてしまったのだ。様々な方法を試したが失敗に終わった。俺はここから出る事を諦めただ呆然と過ごしていた。
そんなある日のこと、謎の人影が現れた。
「貴方が世界最強ですか?」
「ああそうだが、お前は誰だ?」
俺はこちらに近づいてくる人影に聴く。
「私の名前はセバス・シュバルツ・バース、挑戦者と言えばわかっていただけますか?」
「挑戦者ね……懐かしい言葉だな」
俺が神々の試練に挑んだ時に呼ばれた名だ。という事はこいつは神々の試練を受けているという事だ。
セバスの身体が見えた。180cmはある身長に俺と同じ隻眼。筋肉が隆起しておりボディビルダーがもしこいつと出会ったら一目散に逃げるだろ。
「貴方が最後の試練だそうで、あなたを倒すことで試練を突破することができるのです。ですので、私と戦っていただけませんか?」
正直な所、コイツがこれまでにどのような試練を突破してきたかわからんが、あの時の試練と同じ威圧感がある。あまり闘いたくはない。
「もし、俺がやりたくないと言った場合は? 」
「その場合は強制的にでも闘っていただきます。」
セバスはにっこりとしながら言う。
やるしかないか……
「わかった。なら、やっやるよ。ただし、久方ぶりの戦いだ。手加減出来ると思うなよ?」
俺は片目を赫く光らせる。
「望む所です。」
セバスの姿が消える、俺の背面に回り込み拳を振り下ろす。俺の身体をすり抜けた。
「ほう?幻影ですか。これまた厄介な」
俺は何も言わず、腹をぶん殴る。セバスは壁にぶつかる
「クソかてぇな、どういう鍛え片したらそうなんだよ。」
残念ながら、ロクに傷もついてないだろう。
「ふふふ、何年振りでしょうか。吹っ飛んだのは、流石世界最強ですね。」
セバスは眼帯を取る。そこにあったのは白黒の目。
「では、私の力を最大限使わさせていた抱きますよ!」
光の速さで剣を持ち、こちらに近づいてくるセバスを俺はひらりと避けたはずだった。
「チッ」
俺の腕に切り傷が出来ていた。今の俺の躯に傷をつけるということは、まさか……
「お前、『勇者の印』持ちか?」
セバスはニヤリと笑う。
「ご名答。私は『勇者の印』を持っています。」
勇者の印、世界救済を行える者に与えられる。魔族、邪龍、邪神など魔の者に無条件で勝利することが確定している力。
「はっ、今の『俺』では相性が悪りぃなぁ。チェンジ!『タロット Justice』」
光となったセバスがこちらに近づく、俺は刀を生成し構える。
2度目の攻撃俺の心臓を狙った剣はすり抜け、剣を持ったセバスの手を斬り落とした。
「グゥゥゥ、先程当たった攻撃が再びすり抜けた。まさか、貴方も『勇者の印』を持っているのですか?」
「さぁな、お前と違って手の内を明かさないんでな。たかが右手を落としたぐらいだ。神々の試練を乗り越えてきたヤツがこんなもじゃねぇだろ?」
「えぇ、勿論ですよ。」
セバスがそう言うと同時に俺の腹部に剣が刺さっていた。
「どういう手品だ?性質は同じ……じゃねぇ、おいおい、『魔王の冠』まで持ってんのかよ。」
「いやはや、私は勇者と魔王の両方になれる存在ですので、しかし、貴方の力を解析しようとしてもerrorしかしはきませんね。恐ろしい。」
よく言うわ。『魔王の冠』俺が戦ったあの魔王より後に生まれた魔王が持っている力。相手の力の解析、魔法、魔術、禁術などの能力を上げる他、『勇者の印』を持つもの以外の聖者、聖神、天使などに無条件に勝利し使役することができる。
「となれば、お前が持っている一番強い力は『混沌』か。」
セバスは笑いを引っ込める。
「なんとこのふたつの力を見ただけでバレてしまうとは、やはり世界最強は侮れませんね。」
セバスは剣から手を離し、切断されていた腕に繋げる。
「はっ、相性が悪いなぁ。」
俺は笑う。久しぶりの本気の闘いに心が楽しんでいた。
「挑戦者セバス・シュバルツ・バース、お前を認めよう。これから、最強の力を放つ。もし、お前がそれを受け立っているのであれば俺の負けだ!」
俺はセバスの目を見て問う。
「お前にその覚悟はあるか?」
セバスは獰猛に笑う。
「勿論ですとも!!!!」
俺は右手を上げる。すると、掌に巨大な柱が現れた。
「ハッハッハッ!では受けよ、我が力を!!『カリ・ユガ』!!!!」
音速を超え、セバスに近づく
「では私も、『ラグナロク』!!」
セバスの背面に謎の球体が現れた。柱がぶつかった瞬間、球体は形を変え柱を飲み込もうとしていた。刹那の間拮抗し、爆発した。黒煙が舞う。俺は黒煙を腕の風圧で払う。爆発があった場所には、セバスが躯に傷を負いながらたっていた。
「クッハッハッ、お前の勝ちだ。挑戦者セバスよ。まさか、耐えられるとは思ってもいなかった。」
セバスはこちらをみる
「私の『ラグナロク』でやっと拮抗する程の力とは、やはり世界最強は強いですね。」
俺はセバスの隣に立ち、セバスの腕を掴み力を流す。
「ほらよ、これで傷は無くなった。」
「これはこれは、ありがとうございます。」
俺の躯が少しずつ希薄になっていく。
「さて、俺に勝ったことでお前が"世界最強"になった。おかげで俺はここから去ることになるらしい。久方ぶりの闘いは楽しかった。では、後はよろしく、二代目世界最強、混沌王。」
俺が言い終わり、消えようとした瞬間、セバスは笑いながら言った
「フッフッフ、任されましたよ。初代世界最強、覇皇さん」
そして俺は空白の境、世界最強から降りたのだ。




