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公女様の契約婚-私は番だそうだ-

作者: 凍頂

眠気覚ましに書いたのをちまちま書き足しただけです。独自の世界観や法律が入ってます。

 私の目の前に2人の男性がいる。

彼らは最北端に魔塔の若き魔術師であり、私の所属するアカデミーの本日付けで新任の魔術部の教員でもある。


金髪の天然のようなふんわりした髪型の魔術師の名はトパーズ。

紫の外ハネ長毛で全体的に重たい雰囲気のある魔術師の名はアメジスト。


もちろん彼らの本名ではない、私の知る知識では魔塔に所属する魔術師は強力な魔力と魔術獲れる代償として本来の名前と家族との記憶を失う。そして初代から受け継がれ名前が伝承される。

剣術部所属の私とは滅多に関わることがない…はずだった。


 何故このようなことになったのか、ことの経緯として私が室内練習場の掃除の最中、不意にアメジスト氏が後ろからいきなり抱きつかれ、「公女様…私の番になってください…!」と囁かれた。

反射的に私の身体に教え込まれた体術が発動し、彼を背負い投げをしてしまった。

その数秒後にトパーズ氏が現れ、彼に対してやらかしたなという顔をしていた。


「教員といえど、投げ飛ばしてしまい申し訳ありませんでした。謝罪でも足りないようでしたら裁判でも…」


「いやいやいや公女様が謝るところはどこにもないですって!!悪いのは…コイツがいきなり抱きついたり、番になる要求とかしたのが!!ほら!!アメジスト!!」


深々と頭を下げ、謝罪する私にトパーズ氏が上げるように言い、アメジスト氏の後頭部を掴み深々と頭を下げさせる。


「…申し訳なかった。つい…見つけた嬉しさに…」


「お前…。いくら『番』を見つけたとはいえ、もう少し理性的になれって…」


はぁ…彼がため息をつく。見るからに2人は長い付き合いなのが伝わる。


「番…?」


「あぁ…番というのはですね。」


トパーズ氏が言うに『番』とは魔塔の魔術師にとって重要とされる存在。

魔塔の魔術師は代償として名前の消失のほかに不老不死状態になる。不老不死は魔術師には精神的苦痛となり望まれないものらしく、その状態から解放される存在が番。番と結ばれることで人間と同じ寿命を迎えられる。

番には性別はないらしい、また見つけるのが難しい、その対象の近くまでに行かないとわからなとのこと。

彼らがアカデミーに来た目的は、人の出入りが最も多く番がいる確率は高いと見て来たのだという。


「それで…私がアメジスト教員の番であると…」


「実感が湧かないって感じですね。まぁ…番は説明した通り外見とかに固定がないですから…。逆に我々魔術師は番を見つけると胸のあたりに強い熱を感じるのです。現に今コイツがそんな状態です。」


アメジスト氏の方にチラリと視線を向けると胸の辺りに手を押さえ、頬を赤らめ、瞳はこちらを欲情よりも愛おしいという目で見つめている。


「そういえば、番になる際に何か手続きや儀式とかはあるのでしょうか?」


「あっ、それに関しては…」


彼の説明には『血の誓い』という互いの血を1滴ずつ魔術師が用意した聖水に垂らすことで番として成立するという。その時に魔術師にかけられた不老不死の呪縛が解かれるとのこと。


「…なるほど」


「公女様…突然で申し訳ないかもしれませんが、俺からもお願いします。コイツの番になってくれませんか?コイツは…俺以上に探すのに長年苦労したんです…。」


トパーズ氏が言うにはアメジスト氏は番探しに100年の月日がかかったらしい。


「私はかまいませんが…1つこちらからお願いがあります。」


私は1つの要求を示した。それは私の実家に来てもらい挨拶と番になることを話すこと。


「私はまだ成人していないため、両親の保護の元にいます。そして、番の話も人間側から解釈すると『婚約』という形になります。国の法律では未成年同士もしくは相手が未成年への婚約は両親の同意が必要になりますので、私の実家に来てください。」


アカデミーがもうすぐ夏期休暇に入り、その時に帰省するのでそのタイミングに来て欲しいことを伝えた。婚約の話については私の方で今すぐにでも電報を出すことを伝えた。


「…公女様。その…ご挨拶の際、彼も同行しても…いいでしょうか?」


今まで沈黙であったアメジスト氏が口を開けた。彼の特徴や性格から説得は難しい…というよりも私の両親(可能性としては兄弟達からも)からの明るい方向での質問攻めが来るだろう。


「かまいません。むしろ、同行しないと…貴方が耐えられないと思います。」


「そんな恐ろしいご両親なんですか…?」


「違います。私の家族は皆一目惚れや恋愛の延長で結婚した人ばかりなのです。だから…そっちの面で…多分…質問攻めが来ますので覚悟だけはお願いします。」


 その後彼らと都合の良い日程を確認し、私は急いで電報を出した。

恐らく着く頃には家族で大騒ぎだろう。


「まぁ…私の両親のことだ。番だろうと婚約だろうと認めるだろうけど…」


違う課題が後々に響かないこと祈るしかないと思うだけだった。


※某海外漫画のお話を参考に書いてみました。

※余力があったらトパーズの過去と秘密について書きたいです…。


【蛇足という補足】

・公女:国を支える柱の1つ『剣の柱』の公爵家の次女。家を継ぐ為騎士の道を選ぶ。剣術は現公爵夫人(騎士団長)の当時の年齢実力には劣るが、同世代と比較すると非常に優れている。


・アメジスト:(見た目は20代後半。実年齢は120歳)魔塔に所属する前は公爵家の長男であった。魔術には優れていたが弟たちがさらに上回る能力を持っていた為、捨てられた。その時に前アメジストの名を持つ魔術師がスカウトした。その人の教育が良く結果強大な魔術師へとなった。

アメジストを持つ魔術師は『幻』を主とした魔術が使える。


・トパーズ:(実年齢は20代後半。既に互いがいる為不老不死の呪いは解かれている。)魔塔に所属する前は隣国の現王の私生児だった。魔術師、剣術、学問が優れていたが、正式な兄弟達から妬まれ、殺される恐怖に日々さらされていた。瀕死のところ前トパーズの魔術師に救われ、そのまま魔塔で過ごし、名前を継いだ。

アメジストを持つ魔術師は『光』を主とした魔術が使える。

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