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狂おしいほどに君を愛している  作者: 音無砂月
第Ⅱ章 狂気との出会い

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35.エリザベート・バートリの微笑み

エドウィン視点


最近、騎士団に娘の捜索依頼がよく来るようになった。

若くて美人と有名な平民の娘だった。人さらいの可能性も含めて騎士団には捜索するよう指示をした。

だが捜索は難航。

奴隷商のような輩も人さらいのような輩も目撃情報はない。

そんな中、貴族の令嬢にも被害が出だした。殆どが下級貴族の令嬢だ。

これだけ捜索して何も出てこないということは人さらいの線は薄い。

儀式的な何かに使っている可能性はある。

そこで貴族にも注目してみた。すると、一人妖しい令嬢が浮かんだ。

エリザベート・バートリ。

彼女は社交界でも学校内でも美人と有名だった。確かに見た目は美しい。

けれど、彼女に仕える使用人はみんな暗い顔をしていた。

部下を一人潜入させてみると、彼女は使用人を不当に扱っていた。ここまでは普通に貴族にはありがちな話だ。

自分よりも身分が下の者を見下し、自分たちは特別なんだと優越感に浸る。本当に愚かしい連中だ。

そんな連中のせいで俺の母親は死んだ。

エリザベート・バートリの使用人いびりは度を越していた。

彼女の髪を整えていた侍女は髪を強く引っ張り過ぎただけで簪で目を突かれ、失明したそうだ。

それに彼女は夜な夜などこかへ出かけているとか。

捜査をするにあたって彼女のことを見張らせていた。すると、スカーレット・ブラッティーネが学校内から姿を消したとタレコミがあった。

目星をつけていた所に乗り込むと次々に行方不明となっていた令嬢が出てくる。

彼女たちが言うにはスカーレット・ブラッティーネに助けられた。そして、彼女は今も自分たちの為に残り、エリザベート・バートリの足止めをしていると言う。

社交界で流れていた噂では我儘で傲慢で手の付けられない悪女だというものだった。果たして、そんな女がそんなことをするものだろうか。

俺は疑問に思いながらも乗り込むと確かにスカーレット・ブラッティーネはエリザベート・バートリと対峙していた。

外まで一緒に行くと言ったのだが彼女に断られた。

死の恐怖に先ほどまで直面していたとは思えないぐらい毅然とした姿だった。けれど、吹けば飛ぶような儚さもあり、俺は彼女から目が放せなかった。

「団長」

「あ、ああ」

騎士団を預かっていた俺は部下に呼ばれてすぐに我に返った。

エリザベート・バートリは部下によって地面に伏せられ、両手を縛られていた。

「わ、私は被害者よ。あ、あの、女が私をこんな目に」

エリザベート・バートリの体には赤い剣が突き刺さっていた。顔と足には火傷の跡。背中にも斬りつけられた傷がある。

恐らく、スカーレット・ブラッティーネの仕業だろう。

背中の傷は明らかに浅いし、体に刺さっている剣も力が足りなかったのだろう。貫通してはいない。

逃げて来た令嬢の様子を見るに彼女たちにここまでのことはできないだろう。

なら、スカーレット・ブラッティーネにはそれが可能なのか?

彼女は護身術を習っているという情報は入っていた。けれど実戦経験はない。

「エリザベート・バートリ、若い娘を攫って殺していたな。それでもお前は自身が被害者だと?」

俺が問うとエリザベート・バートリはきょとんとした顔をした後、にっこりと笑った。

その笑顔には今までエリザベート・バートリのファンだった部下も含めて全員がドン引きしていた。

「当然でしょう。貴族の令嬢は美を保つために様々な努力をするのよ。私ほどの美しい女はそこら辺の美容液じゃダメなのよ。特製の物でないとね」

それが人の生き血だと。狂ってやがる。

「連れて行け」

「はっ」

エリザベート・バートリは現行犯で逮捕。

これを機に本格的な捜査が行われた。犯行現場と思われる地下や邸周辺から死体がゴロゴロ出てきた。かなりの量だ。この量なら家族ぐるみで隠していたのだろう。

バートリ家は余罪を調べ終わったのち取り潰しになるだろう。

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