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狂おしいほどに君を愛している  作者: 音無砂月
第Ⅱ章 狂気との出会い

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32.もう一つの狂気からのお誘い

何だか、教室がざわついている。

「スカーレット様」

いつもは教室に入るとさっきまでのざわめきが嘘のように静まり返るのに今日は誰も私に気づかない。

唯一、気づいたアリーヤが私の元へ来る。

「何かあったの?」

「それが、先生の何人かは行方不明みたいなんです」

「怖いですね」と言いながらアリーヤが教えてくれた教師は全員、私を妾腹と馬鹿にしていた人たちだった。

これは偶然だろうか。

どうして私は今、ノエルのことを思い浮かべたんだろう。

「スカーレット様、どうかされましたか?顔色がだいぶ悪いようですけど」

「いいえ、何でもありませんわ」

「スカーレット」

「っ」

「‥‥‥」

登校してきたノエルがいつも通り声をかけてきたけど私は思わず逸らしてしまった。

アリーヤは私の不自然な態度には気づかなかったようでレイクロードと話している。

「そうなんだ、先生が行方不明って怖いね」

「はい。クラスメイトの何人かは恐怖のあまり失神してしまったようです」

そんな二人の会話には一切加わらずにノエルが私を見ている。

私はノエルの視線から逃れるように俯いた。

何だか、気まずい。

自分でもどうしてあんな態度をとってしまったのか分からない。


◇◇◇


結局、ノエルと一言も話さないまま半日が終わってしまった。

教師行方不明の件は学校の敷地内で起こったわけではないと主張。確かに学校の敷地内で起こるのは不可能だろう。

王族や高位貴族が通う学校だ。警備は厳重になっているし特に今年は二人の王族が在学しているということもあり通常の倍は厳重になっている。

事件性があるかも分かっていない。

そんなことから通常通りの授業が再開した。

生徒たちも最初はざわついていたが教師たちが普段通りに過ごしているのを見て表面上の日常は取り戻した。

「スカーレット様、少しよろしいかしら?」

「えっ?」

ぼーっとしていたので声をかけられるまで目の前に人がいることに気づかなかった。

彼女はエリザベート・バートリ。

プラチナブロンドの髪に青い目をしていてとても美しい令嬢だ。社交的で男女ともに人気がある。彼女の取り巻きは令嬢も含めて恋人だと噂されている。

そして彼女は猟奇的な殺人鬼でもある。

巻き戻し前の人生では四回とも彼女は捕縛されている。

美しさに拘る彼女は自分の美を保つために若い女性を殺して、その血を浴びていた。

どうして彼女がこの学校に居るんだろう。

巻き戻し前の人生で私が彼女に関わったことはない。だから関係のない事件だと思っていた。

でも今、彼女が私に声をかけてきたということは無関心ではいられない。

下手をしたら私は彼女に殺される。

私は自分が死なない為に動いているけど、この世界はどうあっても私を殺したいようだ。そこまで神に恨まれることをいただろうか。

「私ね、あなたにとっても興味があったの。良かったら私のサロンへ来ませんこと?」

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