お下がりでは無い物
二人の姉妹より僕の部屋での食事を了承された。
そのあとは文ちゃんのファッションショーが続く。先ほどより試着を繰り返していた。今までの言動を考えると原色が似合いそうだ。だが、容姿は清楚でキレイな子。派手派手ではなく、落ち着いた色調が似合いそう。
弥生さん。真央さん。文ちゃん。みんな同じ系統。流石姉妹。
「これにした!」
元気な声を張り上げて彼女が手にした洋服は、残念なことに前者でした。ド派手で深紅なワンピース。こればかりは人の好み。真央さんが違うのが似合うと説得中。
「郁也さん。これ文に似合いますよね?」
僕は文ちゃんに助言を求められる。僕の思っていることが正しいとは言えない。文ちゃんには文ちゃんの好みがある。
「うん。文ちゃんらしい。似合っているよ」
「ほーら。真央姉これだからね」
「はい。はい。わかりました。一度言い出すと絶対に退かないんだから。高!」
文ちゃんの説得を諦めた真央さんが服の購入に動く。文ちゃんより商品を受け取り値段を確認。びっくりしたようだ。
「半分出すよ。僕からの文ちゃんへの誕生日プレゼント」
「流石にそれは...文、お願い。別なのにして。私のお小遣いじゃ足りない」
「真央さん。申し訳ないがここに入っている店舗は全部そんな感じの値段だよ」
「私、この服がいい」
値段など知らぬ笑顔の文ちゃん。困っている真央さんとは対照的だ。
「ぐっ。斉藤さん申し訳ないです。お金は必ずお返しします」
「返さなくて良いですよ。先ほど話したように文ちゃんの誕生日プレゼントです。僕が便乗するんです」
「いえ、ですが......」
「気にしない。文ちゃんが喜べば良いんです。サプライズの協力者に」
「ありがとうございます。でもやはり、お金は返します」
真央さんも言い出すと退かないタイプね。
「わかりました。いつか返してもらいます」
ここで頑張っても無理だろう。引き際も肝心。真央さんはお金の貸し借りをしたくないタイプだろう。僕が退けば丸く収まる。後は僕が忘れちゃえば良いことだ。
「やったー」
金額に興味ないのか、文ちゃんは素直に喜ぶ。不味い?彼女に金銭感覚を教えた方が良いのかな?
「文ちゃん。この服とても高くて真央さんは無理して買うのだから大切にしてね」
ダメだ。上手く説明出来ない。お金の大切さってどう教えれはいい?
「もちろん大切にするよ。お古じゃない初めての服だもん」
「あ。文。今まで、ごめんね」
真央さんが文ちゃんに謝る。服に関しては文ちゃんは今まで我慢させられていた感じだ。お金の大切さは知っていて、問題なさそうだ。
会計が終わると次は僕の部屋に移動だ。
「じゃあ。僕のウチまでついて来て下さいね」
「はーい」
返事は文ちゃん。真央さんは小さくうなずく。
「斉藤さんの住むアパートって遠いんですか?」
真央さんから質問が来た。
「近いよ」
「手ぶらで行くのもなんですから何かお土産を」
「要らないよ。もう。お金は使いたく無いでしょ」
「真央姉。そうだよ無駄遣い禁止」
「ぷっ」
「ひどーい。郁也さん笑った」
「ごめん。ごめん」
文ちゃんの突っ込みについ笑いが出てしまった。
「真央さん。本当に必要ないから」
「すみません」
モールから出て裏口へ回る。いつもの鳥山さんが待ち構えている。
「斉藤様。最近、モテモテですね。また違う女性を。犯罪は犯さないで下さいね」
鳥山さんは後ろの文ちゃんの姿を確認して、冗談を問いかけ来る。
「僕も最近思うよ。鳥山さんってそんな毒舌なんですね。この人達は弥生さんの妹。弥生さんも来る予定だけど二人が居るのは秘密ね。驚かせてあげたいから」
「畏まりました」
「ちょっと待って下さい!斉藤さんのアパー、マンションってここですか?」
真央さんが驚く。反応が弥生さんの物とほぼ一緒。みんな僕の住みかに驚くよな。
「うん。ここ。遠慮せず入って」
「真央姉。行くよ」
文ちゃんに手を取られ真央さんはマンションへ入る。驚かないのは文ちゃんにぐらいだ。
「お邪魔します」
「適当に座って寛いで。僕は夕食の準備するからさ」
「手伝います」
「いいよ。僕のオリジナルだし、待ってて」
レシピに無いであろう。独学のビーフシチューだ。
「真央姉、少しは料理出来るようになったの?ちゃんと作ってる?」
「四年も独り暮らしすれば出来るわ」
文ちゃんの頭をグリグリする真央さん。この姉妹の会話は面白い。たまにどちらが姉だかわからなくなるけど。
「そうか。料理は手伝わなくて良いから、僕の話相手になってよ。」
折角だ。弥生さんの話を二人に聞いて見よう。
「私達の話?」
「そ。主に弥生さんのことかな」




