料理と告白
嵐の夜が終わる。僕は朝食の後片付けをしながら力を抜く。次は洗濯、掃除だ。自分の服を洗濯機にぶちこみ、部屋の誇りを落とす。床はル○バ君にまかせる。
途中スマホが鳴る。確認すると弥生さんだった。
『おはようございます。今日はリハビリですか?』
手を止め返信する。
『おはようございます。今日はリハビリで病院へ行く予定です』
『頑張って下さい』
『了解』
他愛ない挨拶。でも何故か幸せを感じる。伊藤と川田が騒がしかったためであろう。弥生さんのLINEに安らぎを覚えた。
掃除の続きをする。川田が寝た寝室に向かう。ベットを見るとシーツが剥ぎ取られていた。彼女が洗濯したのだろう。脇においてあるゴミ箱を見、ゴミを回収する。寝ティシュが多かった。弥生さんとした時のは回収したはす?川田風邪でも引いたか?少し心配だ。
洗濯終了のアラームが鳴り響く。洗濯物を回収し、ベランダへ干す。そこには川田の可愛らしいブラとパンツが干されていた。
『おい!』独り言を呟く。川田の下着を外に出しぱなしにも出来ず、室内干し場へ移動させる。自分の洗濯物は当然ベランダに干した。
全ての家事を終え僕は病院へ向かった。通院リハビリのためだ。
病院で始めて受付に行く。予約制だか待合室で待たされた。平日にも関わらず混雑していた。往来も多い。暫くして診察室に呼ばれる。医師の診察だ。
「斉藤さん。もう少しだね。来週にはギプス取りますか」
「ありがとうございます」
「じゃ、リハビリ頑張って」
診察は数分で終わる。経過は良好らしい。見知らぬ年配の看護士に付き添われリハビリ棟まで歩く。正面より知った顔が歩いてきた。弥生さん。彼女は笑顔を見せてくれた。
「あら、斉藤さん。立花さんとお知り合い?」
「ええ、入院病棟でお世話になりました」
「あら、でも立花さんはダメですよ。こないだお見合いして、お付き合い始めた男性いますから」
僕のことですよーと伝えたかったが止めた。いまはリハビリ集中しよう。リハビリ室までやって来て年配の看護師さんとは別れた。今は順番待ちの待機中だ。ふいにスマホが鳴る。弥生さんだ。
『リハビリ中すいません。お昼ご一緒しませんか?』
お昼のお誘いだ。
『OK』
素早く返信をする。
『私の休憩時間、1時からですが問題ないですか?』
『平気』
『では1時に食堂の入り口で待ってます』
『了解』
お昼は弥生さんどランチだ。リハビリ頑張ろう。
今、対面に弥生さんが座っている。
食堂の前で待ち合わせをし、僕らは合流した。メニューについては弥生さんが日替わりランチだったため同じ物を頼んだ。
「ハア。本当は先生にお弁当作って来たかったんですが、先生の夕食の写真を見て自信失くしちゃって。もう少し料理の腕を上げたら作って来ます」
弥生さんは力瘤しを作りカワイイしぐさで自己アピールをしてくる。
「楽しみしてます。でもアレは全部買って来たお惣菜だよ」
「え?」
「ハンバーグなんてレンジでチン。カット野菜買っただけだし。強いて言えば、美味しそうに盛り付けただけ」
「そうなんですか?」
「料理さっぱり出来なくて」
昔はやっていた。旨い物を作るのが楽しくて頑張った。でも今は面倒になってやっていない。
「嘘ですね。包丁を持った先生は凛々しくて素敵でしたよ」
「だと良いけど」
笑って誤魔化す。
「明日はリハビリお休みですよね?」
「ええ、弥生は明日まで日勤だよね。明日例のレストラン予約しておいたから」
「はい。夜を楽しみにしてます」
「僕も楽しみしているよ」
二人揃って含み笑いをする。夜の楽しみってアレだよね?
「ああ、いいリフレッシュになった。これで午後も頑張れます」
「お仕事頑張って」
「はい」
弥生は仕事へ戻って行った。僕も家に帰ろう。
マンションの入り口で管理人の鳥山さんに話しかけられる。どうやら川田が来たらしい。不在を告げると、また来ると言葉を残し帰っていった。洗濯物の回収し、服はたたんでタンスしまう。洗ってもらったシーツはそのままベッドに敷く。
川田が再び訪問に訪れた。当然のように部屋に受け入れる。川田の姿は夏らしい薄着でデートでもしてきたような格好だった。
「先生すいません。洗濯物回収に来ました」
「ああ、物干しバンカーごと風呂の室内楽干し場においたから」
川田は風呂場に直行する。暫らく待つと彼女はリビングに顔をだす。
「先生。バッチリ見ましたよね?」
「すまん。川田。少し考えたが、あのままベランダに干すのもどうかと思って中に入れた」
そこそこ高い立地で外からベランダは見えてないはずだか、女性の下着を外に出して置くのは気が引けた。川田は怒ってはいないようだった。
「ありがとうごさいました」
「おう。気をつけて帰れよ」
「今、来たばかりなのに帰すつもりですか?」
「用がないだろう。家族の元に帰る約束もしただろ」
「そうなんですが......」
一向にに帰る気配をさせない川田。何かの言いたそうだった。
「何か言いたいことあるのか?」
「先生。2年待ってくれませんか?2年後。いい女に成ります!そうしたら私と付き合って下さい!」
「川田、あのな」
「失礼しました」
川田は僕の言葉を聞かず逃げるように帰って言った。川田の告白。僕は動揺した。




