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夏休みの学校

誤字報告ありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします。

 学生には長期の夏休みがある。夏を純粋に楽しむ者。勉強に励む者。部活動に励む者。バイトに精を出す者。どんな行動でも良い経験になるであろう。


 それに対し教師は長期の夏休みなどない。一社会人とし学校へ出勤するのだ。授業がなく、有給休暇を取得する者も少なくないが基本は出勤だ。ちなみに僕は労災のため休むことになっている。それでも退院の報告は必要と思い、学校へ顔をだした。


「お久しぶりです。お疲れ様です」


 僕はあまり目立たないようの職員室のドアを開け、周辺だけわかるように静に声をかける。


「斉藤先生。お疲れ様です」


 村山先生がこちらに駆け寄り出迎えてくれた。


「これ、快気祝いのお返しです。村山先生、皆さんの机の上に配るの手伝ってくれませんか?」


「了解です」


 彼女は僕の手元にあるお返しのお菓子を奪い取ると、即座に先生達の机にお菓子を渡しに行ってくれた。空席もあるが、課外担当や有給休暇の人もいるだろう。

 僕はお菓子の行方を確かめてから、学年主任へ挨拶をする。


「主任。この度はご迷惑をおかけしました。」


「これはご丁寧に。でも労災だろ。無理に学校来なくても」


「いえ、そういうわけにはいきません」


「このあとどうする?」


「校長に挨拶をして、ウチのクラスの課外に来ている奴らの顔を見て帰るつもりです」


「そうか。無理せずな。」


 学年主任に挨拶を終え、校長室へ向かおうとすると目の前にお菓子配りの村山先生が立っていた。僕は労いの言葉をかける。


「村山先生ありがとうございます」


「斉藤先生。この後時間ありますか?相談がありまして」


「校長に挨拶したら空きますよ」


「では、戻って来たらお願いします」


 何だ?なんで夏休みがないのかの相談か?学校に来て4ヶ月。有給休暇あるよね?7日だったかな?休みたければ、休んでいいのだが。

 彼女は自席に戻りパソコンとにらめっこを始めた。あれはネットで遊んでいるな。

 校長への挨拶をつつがなく済ませ、職員室に戻る。戻るなり、村山先生に談話室へと引きずられていった。


「どうしました?」


 談話室のソファーに村山先生と対面して座る。


「あの。あの。いい天気ですね」


「そうですね。夏本番ですね」


「本番.......」


 彼女が思考停止に陥る。


「どうかしました?」


「え、え、え。今週末晴れますかね?」


「天気予報見てください。今週末は河川敷の花火大会でしたね。おイタ、する連中を見回りして補導しますか?」


「おイタ.......」


 彼女がいちいち固まる。面倒くさい。


「で、相談ってなんですか?」


「え、え、あれ?。週末、花火大会で見回りあるんですか!」


 彼女突然机を叩き立ち上がった。


「まあ、毎年恒例です。すでに見回りメンバーも発表されているはずです。一番若い村山先生は当然選ばれているかと」


「そんな」


 彼女はがくりど肩を落とす。誰かと約束してたかな?相談はそれか。見回りメンバーから外して欲しいのか。これは僕に権限はない。


「その日デートでしたら、学年主任に外してもらうように頼むか、デートを諦めるしかないですね」


「あ、え、いえ。花火大会の見回りします」


 彼女は残念がる様子ではなく、どこかほっとしているようだ。


「相談はその件ですか?」


「はい」


 彼女に捕まった時は、かなりまずい話かと思った。しかし、蓋を開けてみると、全然大した話ではなく拍子抜けした。

 僕はチラッと時計を確認する。補習組、課外組それぞれの休憩時間が近づく。

 

「では失礼するよ」


 僕は生徒のいる校舎へ向かった。校舎に着くと丁度よい具合に教壇に立っていた先生達が教室より出て来た。先生達と2,3挨拶を交わした後、まずは課外組の教室へ入る。


「斉藤先生!」


 一部の生徒に囲まれる。課外目指す所がほぼ同様の生徒で行われるため、僕の担当以外もいる。今僕を囲っているのは僕の担当の生徒だ。皆、僕の訪問に喜んでくれた。彼らはこの時間で課外が修了(終了)だ。『先生さようなら』とか言いながら帰っていく。


 次は補習組だ。補習組は課外組と違い昼食持参でなければならない。廊下にもでず、教室の机でくすぶる。


「斉藤何しに来た。美香は?」


 飛んでも発言をする。唯一の僕担当の補習組。伊藤昴。スポーツ推薦でこの学校に来たが、2年の冬に怪我し、スポーツが出来なくなっていた。三年の春にたまたま担任になった。しかし、先生の名前を呼びすてはダメだろ。


「伊藤。村山先生だろ。伊藤に顔を見せに来た。」


「うぁ。斉藤の顔とか見たくねえ。やっぱ、若い美人教師でしょ」


 スポーツが出来なくなり、『彼の性格が歪んでしまった』と前任の先生は話してくれた。顔も良く元は全女子生徒の憧れの存在。立ち直ってくれれば良いなぁっと思う。


「あんまり、村山先生、イジメるなよ。彼女いっぱいいっぱいだから」


「ふん、知るか」


 補習授業が再開するので教室を出る。課外組で会えなかった、人物がいる図書室に移動する。


 いた。弥生。じゃない。川田。グリグリメガネの三つ編み少女。彼女は教科書を開き勉強していた。


「ここいいか?」


「あ、先生。退院したんですね」


「お陰様で。川田、両親説得出来たか?」


 彼女の進路変更は当然気になる。


「母は協力してくれるそうですが、父が納得しなくて。今晩説得する予定です」


「そうか、頑張れよ。話は変わるが僕が休みの間クラスに何か変化あったか?」


「特にはないかな。久々に昴と喧嘩したぐらい?」


「え?お前、伊藤と付き合ってる?」


「ち、違います。私と彼、幼馴染みなんですよ」



 


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