弥生とする
学校よりパソコンが届き、ひたすらキーボードを叩く。溜まっていた資料の作成が捗る。
一年生の時の進路希望に現実的でないコメントを書くアホも、たくさん見受けられたが三生年になると皆、現実を書いてくる。ただ、『実家を継ぐ』とか、『家事手伝い』はどうなんだろう。逃げが入っていてイヤだ。
まだヒーローとかアイドルとか書いてもらった方が楽だ。簡単に否定出来る。主夫とか書かれてくるのは笑えて結構楽しい。誰のヒモになるつもりだ。
ふと、村山先生のことが思い出された。彼女は生徒と付き合うつもりであろうか?反対されると燃え上がると言うけど。
どんどん進めろとは言えない。結局のところ本人達にしか正解は出せない。僕の思い違いの可能性もある。
夕食の時間にいつものように弥生さんがやって来た。いつもに増し真剣な表情だ。
「先生、今日はリネン室はなしです。浴室へ行きます」
「はい?」
目が点になる。何でしょうか?その意味を聞きたかったが彼女の姿はすでになかった。悶々としながら食事を取る。
「こんばんは」
三浦さんの訪問も恒例になりつつあった。
「弥生さんに何か言いました?今日の彼女、輪をかけて真面目なんですけど、変なことも口ばしってまして」
彼女がニカッーと微笑む。弥生さんを煽って楽しんでいる。
「いっぱい言いましたよ。談話室の件とか斉藤さんが女先生泣かせたとか」
「君はストーカーか!」
三浦さんの行動監視に怒りが込み上げて来た。彼女は僕の言葉を聞き流し自分の主張を続ける。
「斉藤さん、明日からお風呂解禁です。初病院風呂のお相手は私。隠れてサービスしますから。じゃ」
三浦さん片手にグウを作り腕を2,3度上下に振った。その後投げキッスを見せ、病室を立ち去った。風呂の相手?って何?え?落ち着こう。
えーと、明日に入浴の許可が出る。はい。じゃ入ろう。1人じゃないの?介助が必要?三浦さんと入る?いいの?
だ、ダメだろう。普通。
妙な想像をしていたころ、弥生さんが食器回収へとやって来た。
「先生、顔がにやけています」
彼女には僕の煩悩が見えるらしい。
「おお、弥生さん。びっくりした。」
「先生。弥生。弥生。弥生」
弥生さんは自分の名前を三度繰り返す。そしてツンツンしていた。
「そうだった。ごめんな、弥生」
昨晩の決めごとを思いだし、呼び方を訂正する。
「何で浴室なの?」
「お風呂の使用許可が下りたからです。では、のちほど」
食器を片付けて彼女は去って行った。
お風呂に入れるのは確定らしい。そろそろ髪とか洗いたいし入れるなら入ろう。何時位に呼ばれるかな?僕は着替えの準備をし呼ばれるのを待った。
アレ?。病院初風呂は明日じゃないの?三浦さん何か勘違いしたのかな?
キーボードを叩きながら風呂の時間を待つ。待てども呼ばれることはなく就寝時間になってしまった。
消灯確認に弥生さんがやって来た。小さな声で彼女に確認した。
「風呂は?」
「昨日と同じ時間で」
ここで通常に入る風呂ではないことに気づいた。そういうと。実際に入る訳ではなく、一緒にイチャイチャする場所が風呂に変更になったのね。談話室やリネン室は危険と判断したんだ。
でも風呂か、夕食に訪ねて来た三浦さんのことを思いだす。あの手の動き。ダメだダメだダメだ。妙な妄想するな。弥生さんはそんなつもりはない。はすだ。たぶん。でも。あーー押し倒したい。
約束の時間となる。眠れなかった。目がギラギラ。息子はギンギン。
浴室前に移動する。すでに弥生さんは到着していた。
「こんばんは。じゃ入りましょう」
弥生さんに促され、浴室の脱衣場に入る。それほど広いスペースではなく。大人が3人程度入れる位だ。奥に椅子が設置してありそこに座るように指示される。
「脱がしますね」
「はい?」
この展開はもしかして。弥生さんの手により服は全て剥ぎ取られた。下はタオルで囲まれている。
「弥生。なんで深夜の風呂なの?」
彼女の真意を確かめたい。
「あの、ですね。明日、先生は花ちゃんに入れてもらう予定になってます」
本人から聞いている。サービス付きで。
「それで?」
「その、花ちゃんとお風呂入りたい男性患者さん多いですよ」
「彼女、カワイイからな。」
大体の男の総意だろう。
「年増ですいません」
彼女は少しだけ拗ねる。
「弥生、キレイだよ」
「もう、先生のバカ」
「続けて」
「彼女、噂があるんですよ。過剰なサービスをしてるって」
「ほほう」
「それで、取られたくないと思ってたら、こうなってました」
完全なるやきもち。三浦さんに操られているな。
「大丈夫。僕は弥生の物だよ」
軽くキスをする。軽くキスのはずが弥生さんのスイッチが入ってしまう。キスが熱い濃厚なものに変わる。
風呂に入った。髪も洗ったら体も洗った。弥生さんも抱いた。以上。僕は大変満足しました。
ことを終え脱衣で着替える。弥生さんはすでに新しくナース服を纏い、僕の着替えを手伝っている。
「弥生がまさか、あんなカッコだったとは思わなかったよ」
「だって、先生、制服好きでしょ」
「否定しないけど」
「私は死ぬほど恥ずかしいです。でも先生が望むならいつでも」
「今、望む」
彼女の体にイタズラをする。
「ヤンッ。今はダメ」
「今、望む」
「.......」
「いい子だ」
最後に弥生さんに特別サービスをして貰う。三浦さんの上を行ってもらった。今夜はぐっすり眠れそうだ。




