2.目覚め
目が覚めると例の天井が見えた。
昨日は疲れていたのかすぐにまぶたが重くなって気がついたら寝てしまっていたようだ。
午後からは精密検査の予定だけど、まだまだ時間がある。
確か1階に売店があるって母さんが言ってたような、お腹も空いてるし試しに売店に行ってみることにしよう。
重い腰を上げ扉を開ける、自分の部屋は一番奥にあるので、エレベーターへ向かうには昨日の窓を通り過ぎて反対側の端まで歩かなくてはならない。
「あの子は…居ないか」
廊下の真ん中、例の窓を通り過ぎる時に昨日の女の子がいるのではないかと見渡してみたが彼女の姿はない。
そんなに毎日会えるとも思っていないが、また会ってみたいと思っている自分がいるのも確かだ。
さて、エレベーターがきた、売店には何があるんだろう。
今日の朝ごはんを考えながら俺は1階のボタンを押した。
__________
今日も目が覚めたみたい…。
この病院に入院して以来目が覚める時は本当に嫌い、意識がはっきりしてくるのを感じながら目覚ましの音で現実に戻される。
ここは病院だ、自分の部屋の匂いがするわけでも、着慣れた制服が置いてあるわけでもない。
今日も独り、車椅子に座ってひたすら一日が終わるのを待つ事になる。
そういえば昨日のあの人、彼は今日もいるのかな?
この階に入院してる若い人は私だけのはずだから、誰かのお見舞いに来てたとか?
だとしたら気が楽だな、昨日は突然声をかけてしまったし絶対変な人だと思われてるだろうから。
もうすぐしたら看護師が朝食を運んでくるだろう。
こんな身体になっても何か食べないと栄養がどうのこうの、らしい、医者が何か言っていたような気がするけど、ほとんど覚えていない。
ベッドにもたれるように座り、看護師が来るまで待つ事にする。