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問題点を整理してみよう!まとめ

 野子を半ば無理矢理自分の部屋に帰した後、彼女を実験台にして分かったことを整理してみた。


 まず、俺自身が書いた物でも、『文章』になっていなければダメ。


 次に、俺が書いた『文章』でも、小説としての『作品』になっていないとダメ。ただ、たぶんこれは、客観的に作品になってるかどうかではなくて、俺自身が『作品』と認識しいればいいんだろう。質はあまり問題になっていないようなのでそこからの推察だが。


 それから、俺自身が書いた『作品』でも、他人の小説とかを書き写したものではダメで、単なる俺の書いた誰かの『作品』ではなく、俺の書いた『自分の作品』でないとこれもダメなようだ。


 ただし、『自分の作品』でありさえすれば、言語はどんな言語であってもこの世界の日本語に翻訳されて読む相手には認識されるので、文字の違いは全く問題にならない。ついでに、あまり重要な事ではないが、縦書きなら縦書きとして認識されて、横書きならそのまま横書きとして認識されるらしい。


 ……と、ここまでが、野子のおかげで分かったことだ。


「ふー、なかなか今日1日大変だっが、苦労の甲斐があったな」


 久しぶりに頭と身体、それから最後は野子を部屋に上げて変な汗が流れたので精神力、それらを全部フル活用したぜ。健全な精神は脂ぎった肉体に宿る。俺は、まだ中年というにはかなり早い気がするが十分に大きくなり始めたお腹を叩きながらつぶやいてみる。


 さて、原稿用紙の使い方がだいたい把握できたところで、これからどうするかだ……。


 やっぱり目指すところは才能ギフトを使って小説家デビューして、作品を売りまくる。

 この基本的な方針はほぼ確実だろうな。


 純文学でノーヘル文芸賞目指すか、それともラノベ作家としてアニメ化してグッズ売りまくりを目指すか。


 こればっかりは、いくら考えてもよく分からない、というのが正直なところだ。なにせ、転生前にはとろう系作家としてはようやく底辺を脱出しつつあったというだけで、商業ベースとは無縁だった。純文学だのラノベだのといった業界のことも、ネットで適当に検索してみてたまたま出てきた海の物とも山の物とも分からん記事を眺めていただけだ。実際のところは半ば想像の域を出ていない。


 じゃあ、どうするか。


 とにかく最終的には、どっちかに決めるにしても、当分の間は慎重に考えながら進めた方がいいだろうな。例えば、50枚くらいの短編書いてみてどこかの新人賞に応募するとか、出版社に持ち込むとか。あっ、できるだけ原稿用紙節約するためにも、野子に読んでもらった作品を流用するのもありだな。少なくとも、出版社に持ち込みする時に参考にしてもらうサンプルというくらいであれば十分使えそうだ。


 それにしても中途半端に世の中に出してしまうと、出方によって色々制約が出てしまう気も何となくではあるがするので、まずは息を潜めてうっかり変な露出の仕方にならないようにしないと。俺が目指すのは、大、大、大、大ベストセラー作家だ。あの才能ギフトを使い切ったらもう後がない。小さくまとまったどこにでもいる売れっ子などで終わるもんか。そのためには、中途半端な誘惑に絶対に乗らないようにしないとな。売り出す時は、道筋つけてから一気に出る。それまでは、さなぎになってじっと力を溜めて動かないよう辛抱だ。


 ……力を溜めるも何も、最初から神様からもらったチートな原稿用紙頼みなのだが、そんなことはもはや頭の片隅にもよぎらない。大事なのはデビューまでの道筋、そのための情報だ。


 もう、この西暦2万7025年の日本で『情報』といえば、あいつだ。まだ2回会っただけだったが、もう俺の中で上実に対する信頼は揺るぎないものになっていた。明日から、上実に色々教えてもらえばいい、何とかなる。


 俺は、上実に尋ねたいことを頭の中で思い浮かべながら、床についた。


 ……あと残り、703枚。




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