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問題点を整理してみよう!その1

 翌朝、完徹した俺は、全然眠くはなかったが少し寝ることにした。

 時間はいっぱいある。だが、才能ギフトには限りがある。今度こそ頭冷やしてちゃんと完璧な未来を計画しないとまた取り返しのつかないことしかねない。


 寝る前に、一度外に出て軽く散歩してみた。文字通り頭を冷やしたかったし、そのまますぐには寝られない気がしたからだ。もう月曜だが朝6時ちょい過ぎ、急ぎ足で通勤するやつの姿もまだまばらだ。いつものコンビニの前を通る。『日中の時間帯時給1200マネ~』と張り紙が見える。


(そうか、落ち着いたら当面バイトくらいは一応考えてみるか。才能ギフトの使い方はゆっくり考えたいしな)


 20分くらい近所を歩いて戻った俺は、とりあえず布団を敷いて横になった。


◇◇◇


 午後2時頃になって俺は目を覚ました。思ったよりは早く寝付けたようだ。時差ぼけのようなすっきりしない感じは残っているが、それでもある程度はちゃんと眠れた感覚もある。


 ひと眠りしてみると、確かにだいぶ冷静にはなるもんだな。徹夜の間は世界の頂点に立ったままあらゆる妄想が天上界に向かって広がっていたが、一応は、地上には戻っているようだ俺の意識。冷静になってみると、色々問題はありそうだ。


 第1に、やはりあの原稿用紙の枚数の制約がそれなりに厳しい。


 昨夜考えたように、本格的な純文学で書けばより広い読者層に浸透して金も人気もラノベよりもずっと本格的なものが期待できそうだが、それでお終いだ。分量的に1本しか書けない。完全な一発屋になるだろうな、原稿用紙がなくなったらもう下手な文章書いて世に出すわけにも行かない。一生遊んで暮らせる金が入るかもしれないが、余計なことしてボロが出ないようにしているうちに隠遁生活とかになりかねん。一発当てた時だけが人生の頂点で、その後の長い人生はただ右肩下がりで這い上がる目はない。なかなかシビアそうだな。それに、そんな簡単に大金が入るのかすらやってみないとよく分からんところもある。万が一しくじったらもう取り返しはできない。やっぱ危険過ぎる……。


 ラノベなら、2本プラスαくらいは書けるので、失敗した場合のことを考えると保険があって少しはましな気がする。金銭的にも、必ずしもラノベが儲からないわけじゃなく、むしろ、平均すれば純文学よりも金にはなる的なイメージもある。ただ、それでも所詮は2本だ。焼け石に水、という気もする。それに、ラノベはコミックに近いところもあり、人気作になればすぐにシリーズ化して何10巻にも育てていくのが王道だろう。それでこそ商業的にも潤うというものだ。それができないとなると、かえって純文学よりもやり方が難しい面もありそうだ。


 第2の問題として、まだあの原稿用紙の使い方や効力がどんなものなのかイマイチちゃんと分かってない。俺が何か作品を書けば、それが自動的にすごい名作になるらしいというところはまあ確かなようだが、そもそも何書けばいいんだ?作品って何だ?文字は古代文字でも大丈夫そうだが、じゃあ、読めないような走り書きでもいいのか、外国語でもいいのか、落書きでもいいのか、文字ですらなくイラストとかはどうなんだ、などなど、考え出すときりが無い……。


 第3の問題もある。原稿って、どうやって本になるんだ?

 俺は、とろうのサイトに投稿はしていたのでネット経由でのデビューの流れは何となく分かっていたつもりだが、ここにはネットがない。完全に紙媒体しかない世界での出版って、昭和な感じなんだろうか?何か文学賞のようなものに応募するのか、それとも飛び込みで出版社に売り込むのか?原稿を出版までこぎつける手段をちゃんと考えないと、失敗する気がする。


(そういや丸山文庫の独占なんだったなこの時代の日本は)


 俺は、ふと、そんなことを思い出した。





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