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第3話 プレハブ庁舎

第三話の主な登場人物

佐山 光一  地域対策安定課 事務課長

日根野 麻衣 地域対策安定課職員

日下部 奈々 地域対策安定課職員

田辺 律子  地域対策安定課職員

羽村 奈津美 地域対策安定課職員

保谷 和典  地域対策安定課職員

津村 華美  事務課職員

岩佐 美波子 事務課職員

中村 竹蔵  金穂市長


第2話の続きから

日下部さんの運転する車でしばらく山道を走るとプレハブの建物が見えてきた。それは工事現場で良く見かける事務所のような形をした平屋だての小さい物を15個ぐらい無理矢理くっつけてたものだった。

「ここら辺には地元の方の大きな事務所が有るのですか?」俺は日下部さんに聞いた。すると彼女の口から衝撃的な一言が出てきた。

「佐山さん、その,,,あれが金穂市役所です。」彼女は少し申し訳なさそうな顔をして言った。

「えーーーーーっ、本当ですか?何で市役所庁舎があんなプレハブなのですか。」俺の人生で一番驚いたことだ。何で市役所がプレハブなんだよ?耐震性は大丈夫なのかよ?重要な書類の管理はちゃんと出来ているのかよ?俺はここでの仕事にかなりの不安を感じた。

「とにかくあのプレハブが金穂市役所です。全ての部署のデスクがあの中にあります。なので明日からはここに出勤してください。」

日下部さんは手短に説明しながら車を金穂市役所の駐車場に止めた。近くでプレハブ庁舎を見ると益々「大丈夫なのかよ?」と言う気持ちになる。

俺と日下部さんは庁舎の中に入った。中では10人くらいの人が仕事をしていた。

中は壁を無理矢理取っ払い、無理矢理コンクリートで複数あった小さなプレハブ小屋をくっつけて大きな一つの部屋を作ったようなものだった。

「皆さん、東京から佐山さんが到着しました。」日下部さんが入り口でみんなに声を掛けた。するとみんなが俺と日下部さんの方を向いた。そして市長室?と思われるデスクから1人のおじさんがやってきた。その人は白髪が目立つ中年の優しそうな人だった。

おじさんは俺に向かって「君が佐山君か。私は金穂市長の中村だ、宜しく頼む。」と言った。

行きなりすぎるだろ!心の準備まだだし。しかもこの人が市長かよ。俺はそう思いながらも慌てて「東京から参りました。佐山光一ですっ、宜しくお願いします。」と言った。

市長は「うん」と言って元いたところへ戻っていった。

何か自己紹介した方が良さそうな空気に成ったので俺はみんなの正面に立って自己紹介をした。

「東京から参りました佐山 光一です。金穂市では地域対策安定課と事務課の課長をします。前の職場では観光課で働いておりました。どうぞ宜しくお願いします。」俺は深々と頭を下げた。

パチパチとみんなが拍手をしてくれた。どうやら皆さんに歓迎されたようだ。

中村市長が「と言うことで佐山君を歓迎しよう、私からは以上だ。それではみんな仕事を再開してくれ。」と言った。すると何事もなかった様にみんな仕事に戻った。どうやら俺の自己紹介は終わったらしい。

俺と日下部さんは「地域対策安定課」のデスクが有る所に行った。ちなみに人数が少なく、仕事も何となく地域対策安定課に似ている「事務課」のデスクも同じところにある。他の部署もみんな仕事が似ているのか、複数の部署で一つのデスクのまとまりができていた。とは言えど1つの大きな部屋を複数の課ごとに3つ位のデスクの塊で分けているだけなので、違う課の人の所へは遠くとも30歩位歩けば余裕で辿り着ける。

俺は「東京から参りました佐山 光一です。宜しくお願いします。」と自己紹介した。しかし拍手一つない。まさか、変なことを言ってしまったか!?

俺はそう思いビクビクしていると、俺から見て一番手前のデスクにいる30代前半くらい女性が「地域対策安定課の田辺律子です。宜しくお願いします。」と立ち上がって俺に挨拶をした。田辺さんが地域対策安定課の最年長の人みたいだ。

「地域対策安定課の羽村奈津美です。趣味はカヌーです。宜しくお願いします。」続いて田辺さんの隣に座っている20代前半くらいの女性が俺に挨拶した。多分社会人2年目ぐらいかと思う。

「地域対策安定課の保谷和典です。宜しくお願いします。実家は金穂で農業をやっています。」羽村さんの次に立ち上がったのは20代前半くらいの男性職員である保谷君だった。地域対策安定課の男性職員は俺と保谷君だけだ。

「地域対策安定課の日根野麻衣です。今年高校を卒業した社会人一年生です。宜しくお願いします。趣味はバイオリンを弾くことです。実家は新潟市内で小学校教師をやっています。」保谷君の隣には新人職員の日根野さんが座っている。俺は日根野さんを見てまず「可愛い」と言う言葉が頭をよぎった。背は160センチ行くか行かないか位の大きさで学生服が似合いそうだ。髪の毛はピンク色のツインテールだ。

事務課には津村華美(かみ)さんと、岩佐美波子さんがいる。

津村さんは20代前半位の女性でツインテールが似合う。一方の岩佐さんは40代後半位のベテラン職員だ。

一通り自己紹介を終えて仕事をしようとしたとき、プレハブ庁舎のドアか「バーン」と勢い良く開き、外から怖そうな50後半ぐらいのおばさんが入ってきた。そしてこのおばさんの口から衝撃的な一言が... 。

           第4話に続く


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