表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズライフ!!  作者: み9
小鳥遊の偏愛
9/41

その8

 小鳥遊とパチ屋を出た時時刻は夜の8時くらいだった。

 お金を借りてから怒涛の追い上げを見せて小鳥遊に貰った2万まで返したとしても結構な額が手元に残る形で勝負は終わった。

 一応秋との約束を守るべく小鳥遊に先ほど借りた分と合わせて5万を渡す。

 「え?なんで2万円多いの?」

 不思議そうにする小鳥遊に説明する。この2万で優位に立たれるのも尺だしな。あーでも嫌だ本当は返したくないよおおお!!

 「あの女そんな事いったんだ。へー。わかった。そういう事なら受け取るね。」

 表情なく小鳥遊はお金を受け取った。結構束縛が強いタイプなのかなこの子は。

 「それじゃ勝ったし飲みにでも行くか!余裕もできたしおごってやるよ。」

 少し雰囲気を変えるために楽しい話題を振る。

 小鳥遊は無邪気に笑う。

 「うん!久我君と飲めるなんて嬉しいなー。今日赤ちゃんできちゃったらどうしよー。」

 「いやちゃんと終電ある時間で帰らすからな。」

 朝から思ってたけどどういうつもりで言ってきているのかわからない。別に小鳥遊とする事が嫌って訳でもないけどこうグイグイ来られるとなんだか裏がありそうで迂闊に手を出せない。

 小鳥遊なりの距離の詰め方なのか純粋に俺と愛し合いたいのかはたまたそういった感情とは全然違う何かか……。

 


 パチ屋からタクシーに乗り駅前に着く。居酒屋とかに詳しい訳でもないので結局秋とよく来る場所に来てしまう。

 「ここでいいか?味は保証するし。」

 「久我君と一緒ならどこでもいいよ!」

 店に入り席へと案内される。適当に注文をしてから先に来た飲み物で乾杯を済ます。

 そこからは出てくる料理をつまみつつ小鳥遊の他愛のない質問や話に適当に相槌を打っていた。

 小鳥遊は彼女としての能力が非常に高い。

 話の中で彼氏をさりげなく上げつつ会話を止めないようにするのも上手く気遣いもできていた。

 そして前々から知っていたかのように俺の好みや趣味も理解していた。

 容姿もそれなりに可愛くコミュニケーション能力も高いし他の人なら他人に自慢するような彼女だろう。

 だが俺は少し違った印象を受ける。

 まだ知り合って、そして付き合って二日目にしてこういう事を言うのは的外れな気もするが小鳥遊が焦っているように感じる。早く自分のモノになってほしい。そんな感情がひしひしと伝わってくる。

 そういえば聞いていなかった事を聞く。

 「あー話変えて悪いんだけど、小鳥遊はなんで俺の事好きになったんだ?自分で言うのなんか恥ずかしいけど一目ぼれって奴?」

 「あ、えーっと……、うん。そう、一目ぼれかな。」

 何か言葉を飲み込んで少し悲しそうに応える小鳥遊。

 少し会話が止まるがまた小鳥遊がしょうもない話を始めて雰囲気が戻る。

 なんだろうこの感覚……。

 あ、わかった。面白くないつまらん帰りたい!

 別に相槌を打つのも大変ではないがなんか疲れた。楽しくない!

 そう思うとなにもかもがマイナスに感じてくる。

 小鳥遊が俺の趣味の話をしてくるのもなんだか合わせてもらってる感がして非常に気分が悪くなってくる。

 後ここ俺が払うの?なんか腹立ってきたんだけど。

 こういう時は帰るに限るのでなんか適当な理由をつけてお開きにさせてもらおう。1時間くらいいたし十分だろう。

 「あー、思い出した。すまん小鳥遊俺家に洗濯物あったんだったわなんか……そうあれだし帰らなきゃ。」

 「ん?洗濯物なんてなかった気がするけど……。あ!」

 と小鳥遊は何かに気づいたようだ。察してくれたか俺の気持ち!

 「うん……。そういって部屋に連れ込む予定だったんだね……。わかった!」

 「いやなんもわかってないから!」

 駄目かー。このまま強引に帰ろうとしても終電まだあるしついてきそうだなこいつ怖い。

 何かこの場を打開する手はないのかとない頭を振り絞り考える。

 この場が楽しくないから帰りたいのになー、楽しくない?

 「そうか!」

 いい考えが思いつき携帯に手をかける。

 「どうしたの?誰かからメールでも来た?」

 小鳥遊の声色は少し低い。

 「秋いるじゃん!呼んでいい?呼ぶわ!」

 この場を楽しくすれば万事解決じゃん!俺って天才!

 小鳥遊の顔をチラリと見るといつもと変わらぬ可愛い笑顔だった。目は笑ってないけど。あれ?悪手だった?



 「そして私が呼ばれたと……。」

 秋は溜息をつきながら呟いた。白い息が宙を舞って消えていく。

 秋に少し説明するため店に小鳥遊を待たせて二人で外に出ている。こんな会話聞かれたらやばいからな。

 「頼むって!あいつと飲んでても死ぬほど面白くないから!今回だけ助けてよモブえもん。」

 「誰がモブえもんよ!私あんまりあの子と関わりたくないんだけど……。」

 秋は少し怯えてるようで本当に嫌そうだった。

 「何があったかは知らんがここは俺を助けると思ってさ!頼む……。」

 ちゃんと手をついて頼む。もちろん壁に。

 「どんな頼み方よ……。はぁ、わかったわ今回だけね。きっと今回みたいな感じなら大丈夫だろうから……。」

 秋はよしっと気合を入れて店の中に入っていった。本当に何があったんだろう。

 だがこれで最悪の事態は免れた。もしあのままだらだらと終電まで世界一無駄な時間を過ごした後終電を逃してみろ。デンジャラス貞操タイム開始だ。別に純潔じゃないけど。

 俺も秋について店の中に入っていく。これからさっきより地獄のような空気になる事とは知らずに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ