その34
タバコを吸うと意識の朦朧がマッハになってきた。なんとなく分かってたけど吸っちゃうの本当ニコチン中毒だわ。
小鳥遊はなんだか時が止まったかのようになんとも言えない表情で虚空を見つめてた。まぁ俺が言った事が原因なのは一目瞭然なんだけどさ、そんなショック受けるか?半年も付き合ってないのに愛が底なし沼すぎない?
沈黙とタバコの煙が漂う中、小鳥遊の瞳にすっと涙が落ちるのを見て少し罪悪感が顔を出す。ここで情を出すのは簡単だが、それはイケないと理性が警告をする。とても残酷な行為だからだ。
帰ろう。タバコをシンクに捨てて靴を履く。それと同時に背中に思い切りのしかかられた。
「ま!待って!やだ!セックスだけでも!ね?セックス気持ちいいよ?ね?好き!好き!」
必死に背中にしがみつき、倒そうと引っ張ってくる。引き剥がそうと振り向くと小鳥遊の顔が見えた。必死な小鳥遊の顔なのだが、とても言葉では言い表せない、いつもとはちょっと違う小鳥遊の顔だった。
「やめろって!愛を履き違えてるよ!」
思い切り突き飛ばす。頭が揺れたせいか意識が掠れてきた。
「う......、うぐ......。」
倒れながらダミ声で啜り泣く小鳥遊にかける言葉はなかった。こいつが俺を本当に愛していようとなかろうと、俺はその感情を愛とは見られないし認められない。お互いを思う気持ちがかち合わなきゃ、それを愛と呼んではダメだと思う。俺にはこいつが愛と呼ぶものが何一つ理解出来ない。
立ち上がりドアノブに手をかける。小鳥遊はうずくまってずっと、
「好きなのに......、わかんない。何が違うの?わかんないよ......、うぅ......。」
そう呟いてた。
わかんないか、そりゃわからんだろうさ。セックスが愛の最高傑作だとでも思ってるんだろ?それは違う。そんな簡単な訳がない。ただの表現のひとつだろう?
「わかんないでいいよ。俺もお前の事よくわからんし。」
そう吐き捨て部屋を出る。
廊下に出るとオレンジ色の照明で床が照らされていてひどく静かだった。壁を這いながら進むと途中で高そうな木にぶつかってしまった。
ガンっと大きな音を響かせてから倒れてから数秒。俺は限界が来たのか意識を手放した。あー秋の事バカにしてたのに.....ブーメランすぎ.....と、くだらないことを最後に思った




