その2
小鳥遊は俺の事を知っているようだけど、俺には見覚えがない。自己紹介されるくらいだし。
話があると告げた小鳥遊は校舎の端に見える喫煙所に目を向けた。多分そこで話そうという合図だと思う。
「あー、じゃあモブここで待っててくれない?少し話してくるから。」
「えー.....。まー分かったけど寒いから早めにお願いねー。」
そして携帯をいじりだす秋、こいつ本当携帯好きだな。
喫煙所に向かい歩き出すと小鳥遊も隣に並んでついてきた。身長は俺の肩にちょうど頭がくるくらいの高さで、凄くいい匂いもした。これは滾る……。
小鳥遊は顔を俯かせながら静かに歩いている。時折こちらの顔を伺って目があえば慌てて下を向きなおしてを繰り返していた。
なんだこの子、可愛すぎるぞ。話ってなんだ合体か?合体してほしいのか?この子にならいくら払ってもいいけど今はお金ないから無料で一発お願いします!!
そんな邪な考えをしつつ喫煙所にたどり着く。
「あ、ついでに煙草吸ってもいい?小鳥遊さんは吸うの?」
「私は吸わないよ。久我君が煙草吸うだろうなって思って喫煙所にしたの。」
ありがとうと煙草に火をつけ、すーっと煙草をふかしながら小鳥遊に聞いた。
「話って何かな?」
「えっとその……、あ、その前に秋さんとはどういう関係なの?」
おお、初対面でそんな事聞くとかこいつグイグイ来るな。
「モブと?うーん、普通の友達だけど?」
まぁしょっちゅう飲みに行くし酔っ払ってお互いの家に泊まるとかもあったし、エッチしたいなって思った事はない事はないけど。それをしてしまうと壊れてしまいそうで怖い。
小鳥遊は小さな声でそっかと呟いて姿勢を直しまっすぐと俺を見てきた。さっきまでのおどおどした感じはどこにいったのか真剣な表情だった。
俺もそれに倣い一応体だけでも小鳥遊に向け聞く体制を整える。
小鳥遊は一度深呼吸をしてから俺の煙草を持っていない右手を握ってきた。
「ずっと前から好きでした!私と付き合ってください。」
告白をした小鳥遊の顔は真剣だったが小鳥遊の目には俺には到底わかりえない感情が隠れている気がした。
「まじか……。」
照れることもなく俺は煙草をもみ消し吸殻捨てに入れて考える。好きな気持ちを疑う気は全くない。恋愛感情は人それぞれ。それを否定、疑う事はその人自体を否定し疑う事に変わりない。問題は俺にある。今は別に彼女が欲しいなんて思ってないし彼女に金使うくらいならパチスロ打ちたいしなー。
申し訳ないけど断らせてもらう事にする。ま、俺みたいなクズと付き合っても多分なんのメリットもない。顔はいい方だと思うし勘違いしたんだろうな。顔だけで性格はわからんしな。
ここで気を使わないといけないのは断り方だ。ただごめんなさいと言うのは簡単だけど振るって嫌なんだよね。心が弱い奴だとなおさら、その人の性格とか大きくなれば人生を左右しかねない。
仕方ないけどここは小鳥遊からお断りするような好きな気持ちが萎えるようなセリフを言って幻滅してもらうしかない。心は痛むけど仕方ない。あぁ本当に仕方ない。
恋愛に傷つくのが付き物なら、せめて俺が傷つこう。
「2万くれたら付き合ってもいい、後今はお金ないから付き合ってもデートとか全部小鳥遊さん持ちでお願いします。それでもいいなら付き合ってあげるよ?」
我ながら完璧な答えだ。これで小鳥遊さんも幻滅して帰ってくれるだろ。一発くらい殴られても仕方ないかな。あ、お金だけでもくれないかな2万。殴るならせめてお金くれないかな!
すると小鳥遊は満面の笑みで予想とは全く違う反応を示した。
「本当に!久我君大好き!はい、じゃあ2万円。これからいっぱい思い出作ろうね!」
2万円を俺に渡してやったーと両手を上げてはしゃぐ小鳥遊は無邪気で普通な女の子のようだった。
「へ?」
2万円を手に取り呆気にとられる俺。
朗報?彼女ができました。




