その26
赤面でランジェリーショップを出る。今考えたら真剣に選んでた事が物凄く恥ずかしくなってきた。店員にもこいつ張り切ってんな......みたいな目で絶対見られてたし、あぁ死にたい.....。恥ずかしすぎて体がめちゃくちゃ熱くなってきた。
小鳥遊は嬉しそうに俺が選んだ下着が入った袋を抱きしめてた。そこまで嬉しくされると胸が痛い。下着なんて選んだ事なかったから悩んだ割には無難な物をチョイスしたからな。
「久我くんと会う度にこれを付けていくね?いつでも抱けるように。なんなら今からでも付けるよ?」
「いや別にそこまでしなくていいから。後抱かないから。」
小鳥遊は少し微妙な顔をした。なんだそんなに不満か?まぁいつかはそういう関係になるんだろうけどまだ早くない?
「ちょっとお腹空いたね?どこかで食べていく?」
「そだなー時間ももう昼だし.....。」
ってゆっても昼飯なんて食う金ねーぞ!ましてやこんな所の昼飯なんて高いだろ確実に。やだなー。
「大丈夫!お昼ご飯私が持つよ!」
「それが聞きたかった。パスタ食いてー。」
人の金で食う飯ほど美味いものはない。空腹の次に最高の調味料だなきっと。
「パスタかー。パスタなら美味しいお店知ってるから案内するね!」
と前を歩く小鳥遊についていく。百貨店を出て少し歩くと、いかにも上品そうな通りに出た。歩く人みんな金持ちそうだ。こんな所歩くとか俺大丈夫なの?貧乏罪及びパチンカス容疑で逮捕とかないよね?
「この辺なんだけどー.....。あったー!ここだよ!すっごい美味しいの!この店!」
外観からして高級そうなお店。なんか見た事あんな?なんでだ?ネットで調べてみっか.....。どれどれ?
「.....ってお前ここミシュランで星取ってる所じゃねーか!!!」
そりゃ見た事あるわ!テレビとかで取材されてんだもん!もちろん来た事はない。こんな所で飯食えるとか夢にも思わんかったぞ。......スーツしかダメとかないよね?入った途端黒い服の人たちにつまみ出されないよね?
「そうなの?気にしたことないけど凄く美味しいよ!入ろ?」
そりゃそうだろ星取ってんだから。いやまぁ星とるのがどれだけすごい事とか分からんけどさ!とにかくすごい事に変わりはないじゃん!
「お前マジで何者よ......。おうけい。入ってやるよ.....、入ってやるさ!」
謎の緊張からハイになって店へと入る。いやどんなテンションで行けばいいの本当。
結果から言います、メチャクチャ美味かった。
馬鹿舌だから基本なんでも美味しいと思うけど、今回はそんなん関係なく本当に美味かった。さすがミシュラン、恐れ入った。
会計の時はそそくさと電話に出るふりをして外に出た。値段なんて見れねぇ、罪悪感がマッハ。
小鳥遊がニコニコ笑顔で店から出てきた。カードをしまってるのを見て相当高かった事が想像できた。
「久我くんどうだった?お口に合ったかな?」
「逆に俺が料理に合ってないよね、うん、ここまで来ると。こんなん食えると思わなかったよ。美味かったありがとう。」
「そんな!こちらこそだよー。」
照れる小鳥遊。何がこちらこそなのかは全く分からんけど素直に感謝だ。こんな所俺1人じゃ一生来ないだろうからな。
「そんなに喜んで貰えて私も嬉しいよ!本当に!」
眩しく微笑む小鳥遊。
.....別に美味い飯食わされたからって訳でもないけど、小鳥遊は案外悪くないかもしれない。少しおかしい所もあったりしたけどそんな事どうでも良くなるほどにいい所が沢山だ。彼女としての能力も高いし、なぜだかわからないけど俺の事を好いてくれてるみたいだから、本当に好きになってみても良いかなって思える。後金持ちだし!将来の心配いらないし!
1歩、踏み出してみてもいいんじゃないか。そう思えるほどに俺は小鳥遊に心を許し始めた。
前を歩く小鳥遊に、
「なぁ.....。」
と一声。笑顔で小鳥遊は、
「どうしたの?」
と振り向いた。
「どこかゆっくりできる所はないか?少し話したい事があってな。」
「え?何か大事な.....。ぷぷぷ.....!プロポーズかな!?」
「ちげーから!雑談がしてーだけだよ!腹が膨れたからちょっとゆっくりしたいんだよ!.....後まぁお前の事ももっと知りたいしさ。」
ボソリという。あーなんか恥ずかしい!セリフ臭いし!小鳥遊も流石に笑ってるか?と小鳥遊を見ると。
「嬉しい.....。そんな事言ってくれるだなんて.....。」
静かに涙を流す小鳥遊の姿がそこにはあった。




