その18
秋が店の中に入るのを見て小鳥遊を追いかける。
少し走ればすぐに小鳥遊の姿が見えてきた。落ち込んでるもんかと思いきやカツカツと足音を凛と立てながら歩いてた。
「小鳥遊ー。」
呼びかけるとお嬢様のように振り向いた。街灯が霞むほどの明るい笑顔で。
「なんかごめんな?彼女置いてほかの女誘うなんて。」
小走りで近づいて物凄く申し訳なさそうな顔をする。勿論悪いなんてこれっぽっちも思ってない。悪い事って自覚はあるけどな。一般的に見ればな。
「ううん大丈夫。久我くんのそういうとこ本当好き!じゃあね!」
と、にかっとハニカンで颯爽と振り返りまた駅へと歩いていった。
「なんだ、あんま気にしてないんか。追いかけてきて損した。」
タバコに火をつけて店の前に戻るとわらわらと秋達の団体が出てきてる所だった。すかさず秋を見つけ近くに行く。早めにこの場を離れたい。友達の友達と絡むの本当に嫌だし。
「もう終わったん?早く行こ。」
秋にそう声をかけると隣のパツキンアマが、
「あー!ゴミじゃん。まだこんなんとつるんでんの秋?」
ちっ。と舌打ちをする。やっぱりいたか.....。そんな感覚。
「ちょっとゆっちゃん!そんな言い方ないでしょー!ごめんね久我?ゆっちゃんちょっと酔っててさ。」
「.....別に気にしてない。あながち言ってる事は間違ってないし。」
「そうそうー!こんなんとつるんでてもいい事ないじゃん?高校生でもあるまいし。おいゴミ。友達いねーからって秋に依存してんじゃねーぞ。」
ケラケラと嘲るパツキンアマさん。相変わらず口悪ぃ。
見ての通り俺は友達が少ないわけで、生活態度も宜しくないため秋と後1人以外はこんな感じで俺のことを嫌ってる。というか下に見てる。まぁこうもすっぱり悪口言ってくれる方がわかりやすくていいけどな。授業の課題とかで俺とペアになった途端こいつと組むのかよくそがって空気を匂わせてくる奴らよりかはマシだ。感覚麻痺してるかな。
「そっすねー!いや秋に捨てられたら俺本当大学で生きてけないわー!はい、秋飲み行こ飽きた。」
内心腸煮えくり返ってる。秋の友人だからなんも言わんけどさ。てかなんでこんな奴と友達してんの秋?見る目無さすぎて笑うわ。
そっと秋の肩に手を寄せてこの場を離れようとすると俺の肩に手が掛かる。
「ちょっと待ってくださいよ。あんた誰すか?」
振り向くとさっき秋にキスしてた奴だ。あ、やべ、これめんどくさい奴だ。
「お前こそ誰?とりあえず肩から手放してくださいよ。性感帯なんで。」
は?って顔してる。そりゃそうか。
「あ、すんません。長谷川っていいます。秋さんの後輩やってます。で、あんた誰すか。」
目がギラギラしてるな。ふむ.....、そういう事か。こいつそういう相手に酔ってキスするとかクソ野郎だな。今度使お。
「どうも久我です。秋のセフレです。」
「嘘つくなぼけ!」
頭をべしっと叩かれる。痛てぇ。こいつチビのくせに力あるんだよな。
「こいつは私の友達。普通!の友達だから!」
友達の所をやけに強調された。逆に怪しく感じてくるな。なんもないけど。
「そうそう普通!の友達の久我でーす。たとえ肉体関係があろうがそれは秋の中では普通!なのですー。」
「おいばかやめろ。」
秋がじろりと睨む。怖くねー。だってこういう奴からかいたいじゃん?
長谷川とかゆう奴は渋めの顔をして俺を睨んでる。疑ってんのかな。若いな。
「そうなん.....すか。今から2人で飲むんですか?俺もついてっていいですか?ついでにゆっちゃんさんもどうすか?」
「え!?私も?私は.....別にいいけど.....。」
おいおい何勝手に話進めてんだ?パツキンも乗り気になってんじゃねーよ!てか何そのしおらしい態度?きもっ!!
「うーん.....、残念だけどちょっと相談したい事があってさ。今日は久我と2人で飲みたいの。また今度一緒にいこ?」
意外にも秋が断った。まぁそうだわな。後輩くんのおかげで飲むことになったんだし。本人連れてきたら意味わかんないしな。
「そ!だからまた機会があればな。飲み足りなきゃそこのパツキンと2人で行ってこいよ。秋じゃあ行くぞ。」
秋の肩を引き寄せて肩を組んでその場から抜けていった。あー背中から感じるわ、嫉妬の目線を。この優越感たまんねー。
「長谷川くん。私たちだけでも行こ?ね?」
「ゆっちゃん先輩俺明日予定あるんで帰ります。また今度行きましょう。」
「そっか.....。うん。仕方ないね!」
そんな会話が後ろから聞こえてきた。パツキンざまぁねーな。気分良すぎる!日本酒飲むか!!
少し歩くと秋が恥ずかしそうに肩にかかる俺の手を払おうとしてきた。
「ちょっといつまで肩組むの?」
「え?いや決めてないけど。恥ずかしいん?こんなんが恥ずかしいとか、え?秋さんもしかして処女すか?うわー!膜くせー!!!」
「死ね!!!!」
思い切りビンタをくらった。酷い。何が酷いって耳までビンタを食らったことだ。耳鳴り凄い。
「次膜臭いとかゆったら殺す。そして今日奢らなきゃ殺す。」
「わかったよ。すまんかった。ま、今日は奢るつもりだったし、たんと語るとするか。」
お互い軽い笑みを浮かべ俺たちはいつものバーのいつもの席に向かう。




