その17
途中で久我と秋で話し手が変わります
初めてあんな秋の顔を見たかもしれない。心配して外に出たのは言いものの何を話そうか.....。あの顔みて心配はしてるけど正直どんな感情かわからんしなぁ。
タバコを付けながら声を出す寸前までどう声をかけるか入念に審議して、
「秋さんー。楽しそうっすね?」
と、審議した結果がこれです。っだー、だめだ。どうも真剣な感じを出せなず軽くなってしまう。秋もなんとなくの返事をして二人の間に沈黙が出来てしまった。秋は淡々とタバコを吸い宙を見つめていた。
やっぱり俺から話切り出すしかないよな。秋からは切り出しにくいだろうし。でもどう切り出した物か.....。
「さっきの男って誰?彼氏なんていたっけ?」
なんだこれ。切り出し方下手くそかな?彼氏いないのなんて知ってるし。いや待てよ.....、サークルの事も聞いてないし.....。わんちゃん?え、それは本当に悲しすぎるんやが!
「あー、ただの後輩よ。酔っ払って盛ったんでしょーね。」
ふぅー!あっぶねー!あっぶねー!危うくそのまま電柱にダイビングヘッドかます所だったわー!っぶねー!
「そうか.....。大丈夫なん?」
「大丈夫大丈夫!子供でもないしそんなん気にするほど乙女じゃなくってよ?」
たははと、笑いながら返事をする秋。.....これは大丈夫じゃないよなー。仕方ない。
「.....秋。俺バイト終わって疲れたしビール飲みたいな。今から飲みに行くしついてこいよ。これ決定。」
なんでそうなってんのか知らんがお前が落ち込んでるようなら励ますさ。とかカッコイイ事を考えながら飲みに誘う。まぁ飲んでどうこうなるって訳じゃないけど話すだけでも幾分マシだろうさ。
秋も了承したようで笑顔になるが急に顔が歪む。え?歪む?嫌だったの?本当は嫌だったんかな!デリカシー無いとか思われた!?やばい!これは恥ずかしい!
恥ずかしさで死のうか迷ってると、突然肩に手を置かれ背中がぞわりとした。
「こんばんわー久我くん。秋さん。こんな所で何してるんですか?」
「げっ。」
小鳥遊がそこにいた。偶然.....だろうか。バイト先も教えてねーし。
そんな事よりこのタイミングで会いたくはなかった!まだ埋め合わせもしてないしと言うか彼氏がほかの女飲みに誘ってる所見られたか?いやでも秋だし大丈夫か?大丈夫だな完全に。体は小鳥遊のが3倍くらいエロいし。うん。クールに行こう。
「お。小鳥遊じゃん偶然か?この前は悪かったな。どうした?」
見たか、この謝罪を質問でサンドイッチ大作戦。これで謝られたけど返答もしなくちゃいけないしと混乱させることにより謝られた事への印象を薄れさせ結果別に埋め合わせしなくてもいっかって思わせる暴論。
「ううん気にしてないよ。で、何してるの?」
んん?作戦は成功か?でもなんか雰囲気怖いよーな.....。服もなんか全体的に暗くて小鳥遊っぽくないし。
「いやー!久我やめてよー!小鳥遊さんとの飲みに私を誘うなんて!小鳥遊さんと会うの久しぶりだからってどれだけ恥ずかしがってんのよー!いや本当シャイボーイなんだからー。」
秋は焦ったように早口になっていた。
「は?」
何言ってんだこいつ。どこに気使ってんだ?今一緒に飲むべきはお前じゃないのか?
「いや馬鹿かお前。お前がそんな気回すなよ。そんな軽い間柄でもないだろ?小鳥遊。今から秋と飲みに行くんだがちょっと野暮な話があってな。お前も誘ってやりたいけどすまんが今日は遠慮してくれ。」
バカはお前だこんちくしょー!!!!
てめーがそんな気回すなよ!最悪のタイミングだ!見て小鳥遊さんの顔!これ以上ないくらい崩れてる、作画崩壊みたい!めっちゃ怖い、超睨んでるし!久我全然見ないじゃんなんで!もうここは逃げるしかない!
「いやいやー!本当勘弁だよー!こんの幸せ者!私は飲み会戻ってちょっとしたら帰るから後は若い2人で頑張ってね!」
タバコを投げ捨て一目散に店の中に避難する。この空気耐えられない。魔界の瘴気かってくらいどんよりしてる。魔界とか行ったことないけど。
「待てよ。」
勢いよく腕を引かれる。
「こんなん彼女の前でゆうのはなんだかなと思うけどお前どうかしてんだろ?じゃあほっとけねーやん。飲みいくったら行くぞ。」
え.....、久しぶりにときめいちゃったよ?そのセリフすっごいときめくよ?この場じゃなかったら即落ちだよ?どーしてこの場で言うの?なんだかなと思ってやめとけよ。なんだそのずぶずぶの言葉の審査は。あ、ちょっと今かっこいいセリフ言ったみたいな顔してるどつきてぇー。満足気なドヤ顔めっちゃ腹立つなこいつ。
そんな気もお構い無しに久我はドヤ顔を近づけてくる。やば、恥ずい.....。
「いや.....。本当気にしないでいいから.....。」
と女子中学生みたいに恥ずかしがりながらもちろりと目で小鳥遊さんを確認する。意外にも先ほどの作画崩壊からは一転して普通の顔に戻っていた。けど、目だけをこれでもかと言うくらい大きく見開き私の顔を凝視していた。その瞳は吸い込まれそうなほど綺麗な黒色でどんな感情かはわからない。でもハッキリと、これがいい感情で向けられた目でないのだけはわかる。
「そうですか。そうですか。」
機械のように淡々と声を出した小鳥遊さんは小さく頷きにっこり笑顔になる。
「そういう事なら私は帰ります。2人でしか出来ない話もあるでしょうし。とても残念です。では秋さん。また機会があれば。」
颯爽と振り返りカツカツと音を立てながら小鳥遊さんは駅の方に歩いていった。
その様子に久我はほっと胸を撫で下ろしていたが私は不思議で仕方なかった。私の知ってる小鳥遊さんがこうも素直に帰るとは考えられなかったからである。何か.....。何かおかしい。でもそれ以上は考えられなかった。
「じゃあ秋飲みいくぞ!早く飲み会終わらしてこい。この時間ならもう出るところだろ。」
ケラケラと久我は楽しそう。
「わ.....わかった。」
真相は分からぬまま、私は店の中に戻った。




