その13
新キャラ出ます
デートすっぽかしから2週間ほど経ったか。埋め合わせなど思いつくはずもなくただただ自堕落な日常を過ごしていた。
あれから小鳥遊と連絡は取るが会うことはなく大学でもその姿を見ることはなかった。別に向こうから埋め合わせの件について特に何か言われる事もないのでこのまま何も埋めることなく終わらせたい。
今日は大学終わりにアルバイトが入っているから凄く憂鬱だ。授業をほとんど寝て過ごして体力を温存する。これぞ兵法。
俺のバイト先はいわゆる自営業の大衆居酒屋みたいな所で、店員少ない癖して安く飲み放題とかするから大学のサークル飲みとかある日は忙しくて仕方ない。まぁ席数はあまり多くないし店長も優しいし長いこと面倒見て貰ってるからいいんだけどさ。
今日は俺が通う大学のサークルの団体予約があるらしく助っ人として急遽働くことになった。ビチクソが、どこのサークルだゴミめ。華金だからって調子こいてんじゃねーぞ。家帰ってしこしこして死ね。あぁなんで忙しいって分かってんのに助っ人了承しちゃったんだろう。やっぱり頼まれたらNOと言えないね、日本人だもの。そうやって上司に都合のいいように使われる下っ端のみんなに乾杯。
お店自体は夕方から日が変わる前までやっていて俺はオープンから1時間ほど経った頃からのシフトだ。就業時間五分前にバイト先に着くという素晴らしいアルバイターぶりを見せつけ、ちゃっちゃと着替えて働き始める。2組ほどお客さんが座っていて忙しくはなさそうだ。店自体は広くなく店長の知り合いくらいしか使わない狭いカウンター席と4人の席が三つ、20人くらい入る個室のような部屋が一部屋って配置。だから基本シフトは1人で土日とか団体予約がある場合は2人入るって形だ。
「あ、来てくれたんですね!助かりますー!絶対来ないと思いましたよー!」
わざとらしく声をかけてくるのは後輩ちゃん。ここの近くに住む三つ下の現役女子高生だ。三つしか変わりないけど自分より若いせいかピチピチ感があり可愛らしい。名前は覚えていない。なんか名前で呼び出したら手だしそうでマジで怖い。
「お前がぶーぶーぶーぶー携帯鳴らすからだろ!クソ鬱陶しかったわ!帰りチョコレート奢れよなまじで!」
「はいはいわかりましたよー。その代わり頑張ってくださいねー。大学生の相手、しかも飲み会のとか。絡まれるの凄く嫌なんですからー。」
誰でも見たらわかるような嫌そうな顔をする後輩ちゃん。
「お前その顔客の前で絶対すんなよ.....。」
後輩ちゃんとは短くない付き合いで、俺が入って1年くらいで入ってきたから丁度1年くらいか。最初入ってきて俺が担当して教えてた時は緊張してあまりこんな感じで話せていなかったけど仕事に慣れていくにつれ打ち解けてくれたのかこんな感じで素を見せるようにはなってくれた。やっぱりどんな仕事でも人間関係は大事だな、仕事自体が大変で面白くもないのに人間関係まで大変ってなるともう生きている意味ないかな?ってくらいしんどくなるよな。
飲食のバイト、しかも接客なんて半年もすればベテランで後輩ちゃんはテキパキと働いていた。俺はというと、
「店長聞いてくださいよー。あそこのパチ屋最近全然出してないんすよー。前行ったらどの台も出てないんすよありえなく無いですか?」
「へー、今そんな感じなのか。昔は結構イベントとかも告知して頑張ってたんだけどなぁ。当分行ってないからどうでもいいけどな。」
ホールは後輩ちゃんに任せキッチンで料理を作ってる店長とパチ屋トークをしていた。店長は寡黙な雰囲気漂うダンディーって感じだけど実際そんなことはなく気さくで何を話しても聞いてくれる優しい人だ。最初こそビビってはいたがミスをしても怒る事なく優しく言ってくれシフトの融通も聞かせてくれる。大変チョロい。.....だからこそこーゆう日は手伝いたくなるんですけどね。俺がチョロいな、これは。
30分ほど適当に働いているとお店の入口からゾロゾロと同じ大学の有象無象が入ってきた。あぁ今から地獄か.....。
「いらっしゃいませー。ご予約のお客様ですね?人数は18人で宜しかったでしょうか?こちらの個室へどうぞ」
ウェーイと半角文字の言葉で返事をし個室に流れ込んでいく有象無象。流れに合わせ顔を見ながら人数を数えていく。ていうか同じ大学のサークルだけど全く見たことねーなこいつら。ほんとに同じ大学か?そういえば俺話せる友達全然いなかったわ。めっちゃおもろい。ん?
「あ.....。」
そこには凄く顔なじみがいた。こいつサークルとか入ってたんだ.....。知らんかった.....。
「あんた今日働いてたんだ。へー最近は大学もちゃんと来て関心関心。.....って何よその嫌そうな顔は!」
「お前サークル.....。いや.....その前にモブ、お前いい度胸してんな、お前らのせいで俺今日休みだったのに駆り出されたんだぞ。この恨みは生ビール3杯とチャンジャときゅうりのどぼ漬けでしか許さんからな。」
「何それ、はいはい分かったから。店員さん席にご案内してくれますか?」
くすくすと笑う秋に舌打ちをかまし席に案内した。
いやサークル入ってたなんて知らなかったんですけど!!!!
いつから入ってたんだよ!別に相談とかいらんけどさ!2年とかの付き合いなのに教えてくれないってやばくないか?いや聞かなかった俺も悪いんだろうけどさー。なんか寂しい。
頭をくしゃくしゃとしながら言いようがない悲しさに打ちひしがれているとトントンと背中を叩かれ耳元で小さな声が聞こえた。
「あのー久我さん。あの人お知り合いですか?結構可愛い感じですけど彼女ですか?」
なんだ後輩か.....。
「ちげーわ。そんなん気にする前におしぼり持ってって注文聞いてこい。マセてもなんもなんねーぞ、どうせ時間が経てばババアになんだから。」
先輩として後輩へ人生のアドバイスを挟みつつ仕事の指導もする。なんていい先輩。これが教育っ。
「マセてないですから!これくらい普通に聞くことの範疇ですよ!考え古いんじゃないですかー?」
死ぬほどバカにした顔でおしぼりを持って早足で個室に逃げていった。くそ.....、別にそうゆう色恋沙汰の話が好きじゃないだけだっつーの。
その後は雑談などする間もなく怒涛のように注文が入り飲み物を入れて出しまた言われ出しの繰り返しで死ぬかと思った。広い店なら多少遅くても文句は言われないが狭いために客が店員の動きを把握出来てしまうのがこの店の難点だな、忙しいのにサボれない。
そんなこんなで飲み放題の残り時間も30分程になった時少し不愉快な事が目に入ってきた。




