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街カフェ バージニア  作者: 畑々 端子
8/25

向き不向き

「どうしてミルクはコーヒーの中に沈んで行くと思う?」


 七夕から淡々と日々は過ぎて、前期試験の日程と提出課題や諸々が出そろった頃合い、私達はやはりバージニアに居た。

 

「ミルクの方が比重が重いとか?」


 そんなことを考えたこともなかった私は、いつも通り適当に答えた。すると彼女は少し黙り込んだ後、


「万有引力のなさる業なのよ」と笑いをこらえるように言った。


「ニュートン先生は万引きを発見しました」


「万引きって……」彼女は「一気に安っぽくなった」と言いながら少し声を出して笑った。


 七夕の日まで彼女はあまり笑わなかった。無表情か眉間に皺を寄せていることが多かった。だが、あの日を境に、少し笑うようになった。

 笑顔の方がずっと良いと思ったから、私もつられて笑顔になった。


 バージニアには勉強をする目的もあった。だが、2人とも、カフェやファミレスで誰かと勉強をする、というのが不向きだったようだ。いつもより長くバージニアで話をして、彼女が駅前に買い物に行くと言うのでついて行った。

 日用品といくつかの食材を買った後、別れ際に、


「試験の事とか聞きたいから、メールアドレス教えてくれると助かるんだけど」と私。


「そういうのって電話の方がよくない?」と彼女。



 そんな短いやり取りの後、結局、メールアドレスと電話番号を交換した。

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