表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街カフェ バージニア  作者: 畑々 端子
21/25

青汁恨み歌

「修理に最低でも3週間かかりますって言われて……」


 足元から冷える1月の下旬。彼女はマフラーに口元を埋めながら、唸るように言った。


 卒論執筆の為に、実家から父親のおさがりのノートPCを持って帰って来た彼女だったが、キーボード部分に青汁をこぼしてしまったらしい。


「まず、どうして青汁なんぞ……」と言う私の一声に、


「朝ごはん食べないなら、せめて飲みなさいって言われて」と彼女は困った顔をしていた。


「3週間かあ。とても待ってられないし、かといって大学のパソコンもなあ」


「水だったら、ドライヤーで乾かせばなんとかなる場合もあるけど……」


「青汁は駄目?」


「うん…コーヒーでも駄目だから……青汁は…駄目だわ」


 絶望的だ。


「あぁ。お金ないのに、時間もないのに……文字が打てないとパソコンの意味ないよ、もぉ」


「キーボードが使えないだけ?」


「そうなの。マウスでネットはギリギリできる。検索とかは無理だけど」


「あーなら修理出さなくても使えるかも」


「え、本当!」


 彼女の表情が一気に明るくなった。


 それから少しばかり彼女に、説明をしてから、家電量販店へ行き、一番安い外付けのキーボードを買った。


 そして。その日の夕方、「 [パソコン使えるようになった! ありがとう助かった!] 」と彼女からメールが来た。


 年始に私が危惧していた通り、私も彼女も大学へ行く機会は減り、その分バージニアで会う回数も減った。


 彼女はメールでも会話と言うものをしない人だった。だから、彼女から要件のないメールは来なかった。

 


「 [次、学校いつ行く?] 」

   

 

 幾度となく送信した文言。


 それは、彼女に会いたい私の気持ちの表れであった。


 やがてそれは回を重ねるごとに、虚無感へ、そして、苛立ちへと変わっていった。


 求め続けることの辛さと求められたい願望との狭間で……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ