不死鳥の秘水
どうも、狐in boxです。
第一部を読んでくださった方、読んでくれてありがとうございます。
今回から、1話であります。前作は序章であり、一話ではありません。
では、『殺された王子の復讐記』第1話、どうぞごゆっくり
「ここは・・・どこ・・・・」
ガルデナ王国は王家全員が暗殺され、水攻めにあい完全に滅んだ・・・・はずだった。
「なぜだろう・・・少し冷たい・・・」
俺は目を開いた。
そこは、明らかに水のなかだった。
ガルデナ王国のほとんどがきれいに水没したような光景だった・・・このときはまだ生きている実感はなかった。
(なぜだろう、水中で普通に歩けるし息もできる。)
後ろには先ほどと変わらず妹たちが死んでいる。
(そうだ・・・俺は死んで幽霊になっているんだ、妹たちをさわることもできないんだ。)
そう思った俺は、妹たちにさわれるかどうかを試すことなく俺はその場を立ち去り、城の外に出た。
城の外に出たのはまだ数回目だが妹たちと探検気分で走り回ってたからか道は覚えている。
ただこの国の外には出たことはなかった。
理由としては外には「外には魔物がいるから危なすぎる。」と親に言われ、国の外に出させてくれなかったからである。
(せっかくだし国の外でも見てから成仏されたいな)
数時間歩き続けてやっと外壁の門までたどり着いた。
ここに来るまでにもたくさんの住民が死んでいた。
死んでいる人たちを見るほど俺はあの暗殺士の顔が頭の中に浮かび、殺したいと思ってしまう。
(許せない・・・絶対に許せない・・・)
そう思いながらも前に進み門をでて、陸地まで歩いた。
陸地にでたあともう一度国の方を見てみるがそこはもうただの広い湖だった陸地もほとんど草原地帯で、とっくに日が沈み、夜になっていた。
(国がこんなになってしまうなんて・・・)
そう思いながら立ちすくんでいるとき、魔物たちに囲まれているのに気がついた。
「なんで・・・幽霊だから普通見えないし臭だいもないはずなのに・・・」
(何をいっている・・・お主はまだ死んでいないじゃろ・・・)
「だれ?・・・死んでいないってどういうこと?」
(?・・・何を言っとるか分からんが、姿は見せてやろうか・・・)
魔物が急に後ろに下がり、高さが3メートルくらいの悪魔みたいな馬が現れた。
「我の名は『グリムノア』いちおうこの草原の魔物たちの長だ」
「長?・・・長が俺に何の用?・・・俺はもう死んでいるんだ。急に現れた暗殺士に胸を刺されてな。」
「暗殺士?・・・お主本当に生き返ったのか?」
グリムノアは驚いた顔をしていた。
「生き返ったよ。ほかのみんなは生き返らなったけど」
「やはり・・・お主は『不死鳥の秘水』を飲んだか?」
「なにそれ?」
そんな名前の水はじめて聞いた。
「世界に5つしかない秘薬の1つだ。それぞれの秘薬には違う効果があり、不死になるのは共通だがもう1つの効果があって、それは共通ではない。」
俺は少し興味をもった。
「どんな効果があるの?」
グリムノアは説明してくれた。
「まず『水中で自由に息をしたり動けたし、いろんな魔物に変身できる力』、そして『水を凍らし、その凍らしたものを自由に操作する力』、『大地を自由に操り、土からどんなものでも作れる力』、『炎を自由に操り、どんなものでも溶かす力』、『未来視が使える力』がある」
この世界には魔術などがあるが魔術で操ることごできるのは物体や風や水ぐらいである。炎や土などは爆発させたり地面を盛り上げたりする程度である。
「その水ってどんなものなの?色とかは?」
「色は全て透明じゃ。ただの水と見た目は変わらない。飲んだ心当たりでもあるか?」
心当たりが一つだけあった。
宝物庫にあった水の入った瓶だ。
おそらくあれが『不死鳥の秘薬』なのだろう。
「たぶんその水飲んだと思う。城の宝物庫に水の入った瓶があってそれを飲んだ」
「・・・お主運がよかったのう」
「運が良ければみんな助かってこの国も滅びてないさ」
確かに俺は運が良かったのかもしれない。しかし周りの人たちが助けられなかった時点で運は最悪だ。
「お主その暗殺士に復讐したいと言う気持ちはないのか?」
「もちろんある。だけど俺にはまだ力が足りないんだ。絶対にいつか殺してやる」
俺は体全体が悲鳴をあげるくらい力を入れた。
落ち着き始めてからグリムノアは言った。
「お主、名前は?」
「俺はソウタ・・・それがどうした?」
「ソウタ殿・・・一つたのみがある」
グリムノアはさっきの話しているときよりも真剣な顔で俺を見た。
「われらのガルデナ草原地帯の王になってはくれぬか?」
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。
ここから王子がどのように変わっていくのかをお楽しみください。
では第2話でお会いしましょう。
ありがとうございました。