表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

消しゴム少年その5

「と、言うわけなんだ」

陸は職員室のことを話した。

「それって、すごく不利なんじゃないの」

砂井が言った。

「でも、決まったことだし、後には引けない」

「勝てるの?」

「大丈夫だよ。絶対」

陸は強い口調で言った。

しかし、本音としては、勝てる見込みはなかった。

「私のために、そんなに一生懸命ならなくてもいいのに・・・・。もし、負けたら、1ヶ月は消しゴム当てできないのでしょ」

「そうだけど、元は言えば、俺のせいだし、俺が何とかするよ」


陸は孝明の家に来ていた。

大型消しゴムを倒す秘策が思いつかないので、孝明に相談にきたんだ。

「うーん、あの消しゴムとねー」

「なんとか。知恵を出してくれよ。普通にやったら、ほぼ100%負ける」

「わかったよ。しかし、どうしたものか・・」

孝明は腕を組んで考えていた。

「そうだ」

孝明は隣の部屋に行き、帰ってきた。

手には、大きいさいころが握られている。

「これは、あの巨大消しゴムと同じ重さだ。じゃ、まずこれにお前の消しゴムをぶつけてくれ」

大きいさいころを机の上に置いた。

「わかった」

陸は自分の消しゴムを机の上に置き、大きいさいころに狙いを定めた。

「おりゃー」

思いっきり、叫びながら指を弾いた。

大きいさいころは少ししか動かなかった。反対に、陸の消しゴムの方が大きく跳ね返された。

孝明はものさしを持ってきて、机の上に置いた。

そして、弾かれた距離を調べ始めた。

「2cmだな」

「あんなに強く弾いたのに全然だめだな」

「そうだね。学校の机の長さが1メートルだから、相手を倒すには50回は当てなければならないね」

「実戦でそんな連続して当てれるか」

「無理だね。こっちが一方的に攻めれるならともかく、相手と交互にやるのがルールだからね。相手を机の下に落とす前にこっちがやられるね」

陸はため息をつきながら、

「それじゃ、どうやっても勝てないじゃないか。お前なら何とかできると思ったけど、無理なのか」

「普通にやったらね」

意味ありげなせりふを言う孝明。

「何か、秘策があるのか」

「消しゴムに穴を空けて、鉛を埋め込めもう。そうすれば、重たくなり、多少はましになるはずだ」

「でも、山田先生に見つからないか。それって」

心配そうに聞く陸。

「大丈夫だよ。片面だけに穴を開けるのだから、見つからないさ。本番では、穴を開けていない面を上にすればいい」

「わかった。その方法でやってみるさ。相手と同じくらいの重さのけしごむでなら何とか勝てるさ。なんせ、俺は、消しゴム当ての達人だからな」

元気いっぱいに答える陸。

どうやら、いつもの調子が戻ってきたようだ。

「まあ、せいぜい頑張って砂井にいいところをやれよ」

陸は急に顔を赤らめた。

「なぜ、それを!?」

動揺のためか声が大きくなった。

「そりゃー、わかるさ。学校での日頃の態度を見ていればな」

「別に、僕はあいつのことはなんとも思っちゃーいない」

「別に、からかう気なんかないよ。ただ、ここで勝って彼女の好感度とやらをよくしておけよ」

「ああ」

陸は恥ずかしさのあまり、うつむきながら答えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ