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機甲見聞録1.0  作者: もにもに+マウンテンヘッド
ベルデの街の鉱山娘
7/93

日々は星々の輝きのように

     * * *



「最近地震が多いよね」



今さっきもあった揺れの後、そう言ったアリシア。



所変わって、翌日の鉱山の中。


この日の探検を終えてコウヤとアリシアは帰路の途中にあった。


今日は行きにガーディアンを使ったためかなり良いところまで行けて、コウヤも満足である。



「あなたを遺跡で見つけた日から揺れるようになったの」


「俺のせいってかあ?」


「そうじゃないけどさー」


そう言った後、むーと唸って



「なーんか起こりそうなんだよね」


「なんかって、何だよ」


「なんかね、悪い予感」


「そうかい?」




「…ねえ、コウヤはどんな所にいたの?」


足を動かしながら、アリシアがコウヤに質問をする。



「最初に言ったじゃんかよ。こことは違う世界ですーって」


「むー、そうやって人を煙に巻こうとする」


「本当だっての」


「…じゃあじゃあ、こことはどんな風に違うの?」



その質問に、コウヤは自分の元居た世界の情景を思い返し、


「んーと、なにもかもまるで違うんだよ。ほんと異世界」


「ふうん」


そういってしばらく間が空き、



「…えへへ、友達かー」



反芻するようにその言葉を言ってみるアリシア。


…コウヤも優しい表情で見ていた。



「そうだぜ」




「ねえ」


「うん?」


「ありがとっ!」


「おおっ」




言いながら二人は出口までの道を歩いていった。




     * * *



その日の夜。猫の足跡亭は、理由はないが大宴会だった。


帰ってきたばかりのアリシアとコウヤも巻き込まれ、これで歌い納めかのように、皆歌って、歌って、歌って…






少年が目を覚ましたとき、壁の時計は朝の四時過ぎを指していた。

大人たちは皆眠りこけているようで、しかしその中にアリシアがいない。


寝ぼけた目を擦りながら広間を見渡してみると、バルコニーへの扉が開いていた。



バルコニーに出ると、手すりを掴み、山の方を見ているアリシアが一人。


…冷えた風が心地良い。


その隣にコウヤも立った。




一緒に山の方を見てみる。



ベルデの朝は早い。

和らいだ闇の中、深い群青色の中に山の稜線が浮かんでいた。




「ねえ」


「うん」


「ーー帰っちゃうの?」


「…うん」


「…そっか」




「…私ね、ちっちゃい頃、スラグ捨て場にいたところを見つけてもらったの。そしてここの皆に育てられて…」


そう言いかけて、


「ーー私は、山から生まれた大地の子! だから、この山が好き! そして、みんなが大好き! レイチェルさんも、貴方のこともっ、みんな、みーんな大好きー!」


心の中を全て吐き出すように、そう山に向かって叫んだアリシア。


「…えへへ」


つられて、コウヤもやってみることにした。


「…俺もお前達が好きだー!」


そう言われ、呆気にとられるアリシア。


「…にひ」


コウヤは笑って見せた。




鉱山の街、ベルデの朝は早い。


ーー夜明け前の空は白ばみ始めている。



「…戻ろっかっ」


「…ああっ」


部屋に入りかける間際、まずは大人たちに毛布を掛ける作業だとコウヤは思った。



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