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機甲見聞録1.0  作者: もにもに+マウンテンヘッド
ベルデの街の鉱山娘
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再びの学校探訪




にんじんジャガイモたまねぎその他色々。


基本的な食材はそろっている訳で、であれば付随して各種レシピも充実していると考えなかったのがミスだった。


カレーは一通り説明したあとでレイチェルが納得した顔で作りおきの物を出してくれたし、

チョコレートはチョコがけのパン菓子が無難な価格で露店で売られていた。

フライドポテトとポテトチップスは言うに及ばず、ハンバーガーもあったし、果てには牛丼屋やラーメン屋台まであった。



「…節操が無さ過ぎるわっ! いや嬉しいけど」



こうしてこの世界に無い食べ物を売ってウハウハになるというコウヤの異世界成り上がり計画は頓挫したのだった。



「どうしたのさいきなり大声出してさー…ふわ」


アリシアはどうも朝に弱いらしく、目をこすりながらの登校である。



そう、登校。



二回目のダンジョ…鉱山探検を目前に控えた週中のある日。


部室を使っての準備があるということで、コウヤも付いてくることにしたのだ。


あんまり大きな荷物を部屋に持って帰るわけにもいかないからねー、とはアリシアの談である。


「昨日一日とレイチェルさんにもらったお小遣い全部使っての研究結果だ」


「なにそれ」


昨日、街の案内をしていないと言うことでアリシアに連れられて市内散策をした際、真っ先に目に付いたのがそうした食べ物屋の数々だった。

お陰でレイチェルに持たされたお小遣い全額と引き替えに腹は満たせたとはいえ、ますますどういう異世界なのか分からなくなったコウヤである。


大切に使わないと駄目だよーとアリシアは言うが、コウヤとしては、この世界から帰れなかった場合の想定を真剣にやっていたつもりであった。


…決して食欲に理性が負けた結果ではない。


行った事は無いが、アメリカ並みに安く物が食える世界なのだなーとコウヤは思った。


「なんでもいいけどさ、私はお金あまり貸せないからね。貯金中なの」


「ありがとさん」


アリシアの心配りが胸に染みるという物である。


ーーそうしている内に学校の校門へと着いた。




「それじゃまた後でね!」


「おう!」


そういって二人は校内で分かれていった。



     * * *



「…とはいえどうやって時間潰すっかなーっと」


アリシアの学校が終わるまで待つことにしたが、行く宛のないコウヤは校舎の一階をぶらついていたのである。


アリシアが授業を受けてるところを覗いてみようかとも思ったものの、迷惑になるのは避けたかった。


今日は短縮授業のため二時間で授業が終わるというので、それが救いと言える。



とりあえず木造の階段を昇り、張り出されている作文などは字が読めないためホールに展示してあった校舎の模型や絵などを見ていたコウヤ。


「…本当に学校って感じだな」


二十分ほどしばらくそうしてると一時限目が終了したチャイムが鳴って、生徒が教室から出てきた。


「…あっ」


教室の一つからアリシアも出てきたのが見えたが、なにやら共に出た気の強そうな眼鏡の委員長っぽい女の子と口論になっているようだ。


ぼーっと成り行きを見てると、


「…余所者!」


「!」


ぴしゃりと言ってその眼鏡っ娘は立ち去っていき、後にはショックを受けたような、それでいて半ば諦めた様な表情のアリシアが残された。


思わず駆け寄るコウヤ。


「アリシア、どうしたいじめか?」


「そうじゃなくてさ、あなたを学校に連れて来ちゃった事でちょっと怒られちゃった」


「怒られたって、おい」


「あはは…こんなに同い年の男の子と親しくなったこともなかったしさ、ちょっと浮かれちゃってたのかもね」


だから同い年じゃないっちゅーに! と突っ込めるムードでもなかった。


「…」




……アリシアは…


つまりこれは…ぼっち…。



「…あはは」


「…」



「…アリシア」


「えっ」


「友達になろう!」


「!」




漫画なら横いっぱいの縦線が描かれてそうな顔から一変、溢れんばかりの笑顔を輝かせたアリシア。



その様子を見て、コウヤは決心した。



――俺が帰るまでに、アリシアに友達いっぱい作らせよう、と。






※アリシアはちゃんと同性の友達がいます


 

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