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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

誰かの理想郷

復讐期

作者: ナキタカ

※私の作品『「誰か」の理想郷』番外編

※百合

※R-15

※同居設定



塚本の部屋


塚本がいつも通り自室で過ごしているときのこと

ぼんやりと時計を見つめながらベットの枕側の反対に座り何をしようかと考えていた



“…何しようかな?”



結城はおそらく一ノ瀬と過ごしているだろう、海部は先に風呂に入っていると聞いた

考えていると、ノックの音が二回響く

その音の方向を見て「どうぞ?」というと、宮内が部屋に入ってきた


「こんばんは」

「…う、うん」


ニコニコしながら手を振って言う相手に少しだけ戸惑いながら塚本は返す

宮内は挨拶もそこそこにベットに乗ると相手の後ろから腕を回しギュッと抱きしめる


「ま、舞ちゃん!?」

「へへ…あっそぼ?」


無邪気なように振舞って相手は言うが、大抵こういうときは塚本が大体遊ばれる

…主にくすぐられたり、かわいいと言われ続ける…だけで終わってしまう


“舞ちゃん…かわいいなぁ…”


こういうときの彼女の声は同性ながらかわいさを感じてしまう

媚を売っているわけでもない、自然に、ただ彼女は遊んでいるのだろうと思わせる声


「…暇そうにしてるね?何しようか?」

“髪の毛…いい匂い…”


相手の顔が近づくので、相手のシャンプーの香りがフワリと届く

その感覚に、何かが自分の奥に何かが目覚めそうだった


「…どうしたの?話聞いてた?」

「えっ、その、ごめん」


そう小さな声で言う相手に、宮内は笑ってわき腹を一度つつく


「…ひゃっ!?」

「話聞いてなかった罰」


楽しそうに笑う相手

塚本は、その様子に胸の奥から何かが沸くような感じがした

…ほんの少し、ほんの少しの…何かが


「舞ちゃんも、悪いんだよ?」

「へっ?」


ニコッと笑って塚本は言う、そのトーンがいつもと違って宮内は思わず聞き返してしまう


「舞ちゃんが…かわいいから…」


そういいながら、相手の抱きしめていた腕を解くのに、宮内はその姿をただ見つめているだけだった

そして、振り返り髪の毛を触って匂いを嗅ぐ


「…な、なにやって?」


戸惑っていると、塚本は髪を滑らせて落とし、ニコッと笑いながら言う


「…舞ちゃんを楽しんでるの」

「…え、何…?どういう…」


言っている間に、塚本もベットに足を上げて宮内を徐々に追い詰めていく


「…今日は舞ちゃんがくすぐられよっか?」

「…えっ、いや、その」


反論をしようとするが、相手の笑顔になんとなく何も言えなくなった


「…それじゃ…どこがいいかな?

 …そうだ、まずは最初の仕返し」


そういって、ツンとわき腹をつつく


「…あっ…」


思わず出したことのないような声が漏れる

塚本は楽しくなったのか、二回三回と繰り返す


「…うぅ…くっ…う…」

「…指でなぞったら?」


今度は、指先で優しく何度かなぞられる

しばらく、反撃され慣れていない体は、その刺激に強く反応してしまう


「いやっ…っ…ふっ…」

「やっぱりかわいい…」


笑う相手に何も言えずに視線を逸らしてしまうが楽しそうなトーンで塚本は続けた


「まだこれからなのになぁ?もうそんなに鳴いちゃうんだ」

「その表現…何?」

「私も知ってるんだよ?…今まで使えなかっただけ」


そう言いながら、次の目標を探すように、指を体に滑らせる


「…次は、こことか?」


指を体から離すと首に手を回しそこをくすぐる


「ひゃぁああ!?や、やめっ…ひぁっ!」


腕で相手を遠ざけようとするが、力が思うように入らなくてそれも敵わない


「頑張ってるね?だけど…いつまでできる?」

「ふぅ…あぁ…いやっ…あぁ」


完全に抵抗すら楽しみだした相手の言葉に、だんだん「勝てない」という思いが大きくなっていく

少しずつ、首の刺激は弱まっていくのに、宮内の抵抗も弱くなっていく


そして、相手が完全に終わったと気を抜いた瞬間


背中に指を滑らせた


「あぁぁっ!?」


油断したところに襲い掛かった感覚は

普段からかいで他の友人からされるそれよりも遥かに威力があった

その様子に一旦は満足したのか塚本は背中から手を離す


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「それじゃあ、次は…」


相手が呼吸を整えるのを待つような少しの魔があって、一段と楽しそうな声で言う


「それじゃあ、寝転がってよ」

「まだ…やるの…?」

「コレで終わるのがおかしいと思うけど…ほら、早く…ね?」

「誰が…そんな、素直に…ひっ!!」


ほんの少し抵抗するように言ってみせるが、再びわき腹を執拗に責められてしまう


「はぁ…あっ…ふぅ…」

「ほら、言うこと、聞いて?」


優しげなトーンでありながら、どこか脅迫めいた言葉に逆らえないままベッドの上にその身を晒す

相手の表情は完全に“責める側”の恍惚の表情になっていた


「ありがとう…じゃあ、まずは…」

“…どうして…なんで?…”


宮内は未だにその状況の原因がまったく思い浮かばずに混乱していた

考えの巡りきらないままに、相手は次の目標を定めた

腕を顔の横について、そのまま首に顔を近づける


「い、いや、息くすぐった」

「だって、くすぐりたいから」


当たる息に、宮内は思わず顔を逸らすが、それは余計に首をさらけ出すことになってしまう

勿論相手は好都合とさらに密着してその匂いを嗅ぐ


「…ひぁ…ふ…ひゃ…」

「そんな声出しちゃうんだ、かわいいね」


そういうと、今度は舌を首に這わせる


「ひゃああ…あぁ…おふろ…まだ…」

「舞ちゃんの匂いがいっぱいしておいしい…大丈夫だよ?」


宮内が拒むように言うが、塚本はお構いなく何度か首を舐める


「ひゃ…ふ…おか…しい…って…」

「おかしい?舞ちゃんも似たようなことしてたじゃんか」

「わた…し…そこ…まで…っ…」


止めるように誘導するような言葉をどうにか発してみるが軽く流されてしまう

どうして、何がどうして、この状況になったのか?


相手の顔は首から今度は耳に向かう


「い、いや、そこは…いや…」

「嫌?だったら…声我慢できる?」


尋ねるように言ってフゥと耳に息をかける


「…っ…」

「一回くらいじゃだめか…それじゃ」

「耳元で…しゃべらないで…」

「…結構限界だった?」


震える声で言う相手に、気づかなかったかのように返す


「それじゃ…耳止めてあげるね?」


顔が遠ざかるのに一旦安心する、が宮内は思い直して身構えて言う


「…もう、やめよう…流石に…これ以上は…」

「私はこれで終わるつもりだったんだけど…舞ちゃんは期待してたの?」

「えっ!?ち、ちが…」


相手の予想外の言葉に、慌てて宮内は否定する


「…まぁそうだよね?くすぐられただけであんな声上げて…変な気分にならない訳無いよね?」

「違う!違うの!違う!!」


何度否定しても、もう相手のスイッチは入ってしまった


「そっか…そこまでしたかったんだ?」

「そういう意味じゃない!違う!」


塚本の顔は、宮内の目の前に来た

そして…ゆっくり近づいていく



“あぁ、もうダメだ”


そう思った瞬間



ダン!!


強い、扉を叩く音が一回


「…せっかくいいところだったのに…」


一言つぶやいくと塚本は宮内から離れる前に耳元で


「続き、楽しみにしててね?」


と残して扉に向かう

その扉の音の主に、宮内は見えないながら全力で感謝していた


“…た、助かった?”


塚本が扉を開くと、険しい顔をした海部が立っていた


「風呂」

「あ…上がったんだ、あ…ありがとう」


海部は明らかに塚本を睨んでいる

…おそらく事の一部を聞いていたのだろう


「どっちでも良いからさっさと支度しろ馬鹿共」

「海部さんもそういうことに興味…」

「それ以上言ったら…わかるな?」


笑顔で拳を作る相手に、塚本は何も言えなくなる

その雰囲気は、普段の彼女の物に戻っていた


「…はい、ごめんなさい、調子にのりました」


その言葉にため息をついた海部は一度扉から離れる

塚本はその間にすばやく着替えを持って出て行った



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