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氷姫  作者: 秋元愛羅
出会い
4/32


「暇だ」


今日は部活見学の日。


みんな思い思いの部活を見に行っている。


中学と高校じゃ入れる部活の数も違うからな。


でも俺ら持ち上がりの野球部はほとんどがもう入部した状態だ。


ここの学校はいわゆる強豪と呼ばれる学校だからか経験者の確保が中学のときからされている。もちろん断ることも出来るが大抵は同じ部活に入る。


そのため持ち上がり組はもう先に練習に参加している。


だから意味あるのか無いのか分からないこの時間は暇だ。


ぼーっと外を見ていると珍しく制服を着ている一人で生徒が花壇にいる。


隣には用務員さん。


何か手伝うように言われたのだろうか?


でも建物の関係で顔は見えない。誰だろうと気にしていると花やりは終わったのか後ろを向く。


そして・・・・





“彼女”がいた。





ドクン


見つかった嬉しさなのかそれともみんながいう“惚れた”と言う感じの実感なのかやけに心臓音がうるさい。


数秒、数十秒だろうか、彼女の後姿だけをずっと見ていた。


そして偶然か、それともずっと見つける視線に気づいたのかくるりと振り返り俺のほうを見た。


そして何かが俺の中を通り抜けていった。


熱く燃え上がるような感覚。フワフワしてギュッと締め付けられる気持ち。


一瞬自分でも何が起きたか分からなかった。


そして彼女が不思議そうにこちらを見てくるりと後ろを向いてしまった。


正直に言うと俺の感想どおり綺麗だった。


それは着飾ったとかではなく・・・こう、高嶺の花のような人を寄せ付けないような美しさだと思う。


長く日本人形のように切りそろえられた髪も太陽の反射によって照らされていてより美しく見せている。


流石に過大評価しすぎだろうと思うがそれでもそういう言葉でしか言い表せない。


やばい、本当に惚れてるのかもしれない。






だけど隣では俺と違う意味で見つめていた。


「正志」


「どうした?」


ずっと外を見ていた俺が不思議だったのか一緒に外を向いていた伊織が深刻そうな顔になった。


「あれだよ。さっき話してたのは」


「え?」


「山内遥。氷姫」


何もいえなくなってしまった。


ようやく探していた彼女は今現在要注意人物だったなんて。


後ろで見えないが用務員さんの手伝いを積極にしている彼女はどういう気持ちなんだろう?


本当に彼女は噂どおりの人なんだろうか?


今の俺には確かめるすべも無い。






でも恋愛感情は理性で止められるようなものではない。


いわば無意識に意識するものだ。


気づけば俺は彼女を探し続けていた。


あの“曖昧な雰囲気”に魅入られたように。




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