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あのことから1週間がたった。
彼女は私のメニューに必死について来ていた。
「先、行ってるわね」
「はい」
別に無理なら無理と言ってもいいのに。
正直彼女の状態からしてメニューの変更は必須と感じていた。
でも彼女は一言も文句を言わずについて来ていた。
ほかの部員からには私は後輩いじめしてると勝手にほざいてるけれど。
「ハルちゃん」
「澪、珍しいわね。
そっちから声かけてくれるなんて」
「ん~あの子を構ってたらね」
彼女の視線の先には私たちの学園では有名の天才だった。
他の”five”候補たちも揃いも揃っている。
相変わらず騒がしい子たちね。
「ダブルスに変更になったって聞いたけど」
「ええ、そうよ」
「お気持ちは?」
「最悪だわ。
まさか私誰かとやるなんて思わなかったわ」
そう、素直に答える。
一つ年下の彼女は私と違っているが同じ存在。
彼女は私の気持ちは分かるはず。
だけど…
「意外に気が合いそうだと思うけどなぁ」
驚いてしまった。
あの子がこんなこと言うなんて…
「大丈夫だよ、ハルちゃん」
にこりと笑う彼女。
私の知らないもう一人のワタシ。