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「これは・・・」
結局口論をする私たちに危機感を覚えた誰かが全生徒のメニューを管理する美紗紀さんを呼び出したみたいだ。
「さすがに初期のこの段階で量の多いメニューは体に負担がかかるわね」
「でも、もう時間がありません」
「だからって」
「大丈夫です。ご迷惑おかけしました」
大声で会話を遮ったのはあの後輩だった。
「大丈夫って・・・」
「そうだよ、別に先輩だからって遠慮することないんだよ」
あんたは遠慮しなさい。
「先輩の仰る通り私たちには時間がありません。
あと3ヶ月でレギュラー入りは正直難しいと思います。
この練習メニューでかまいません」
「そっか、もうすぐだっけ・・・」
「メニューを見てくださりありがとうございました。
先輩、明日からそのメニューで大丈夫でしょうか?」
「え、ええ。大丈夫よ」
正直拍子抜けした。
私から見た彼女は周りの空気をあわせる子に見えていたから。
こんなに強引にやる子なのかしら・・・?
「珍しいね、他人のこと気にするなんて」
「うるさいわね」
系列校に通っている刹那に通常連絡をしている。
通常連絡って言ったって今日何をしたかって言うことを話すだけどね。
「だいたい監督も監督よ。
私にダブルスは不向きだわ」
「そう?彼女ならいけそうな気がするけど」
「なんで」
「話し聞いてて思ったから」
「馬鹿」
感情任せに勝手に電話を切ってしまった。
正直、無理に決まっている。
私とあの子じゃ全然違いすぎるもの。