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私は独りだ。
今まで生きてきた中でもこれからも私は独りだ。
だから自分の力でトップに立ってきたつもりだった。
でも・・・・あの、試合がすべてを変えた。
今まで生きてきた中での絶望。
何かが崩れた・・・気がした。
周りから天才ともてはやされている後輩に負けてから。
いやあの試合によって私は彼女に勝てないと悟ってしまったあの日から。
「ありえません、撤回してください。
先生も知っていますよね?私はシングルス向きだって」
「決定事項だ。
これからは静音と共に練習してもらう」
「そんな・・・」
春になって私の嫌いな後輩が“five”のメンバーに加わることがうわさされた頃私は彼女の双子の姉とペアを組むことになった。
冗談じゃない、私は誰かと一緒にいることなんて・・・・
決定事項を言われて先生は彼女を呼んだ。
雰囲気も性格も反対だと知っていても無理だわ。
「はじめまして、遥先輩」
律儀に礼をする彼女。
「はじめまして、山ノ部さん」
笑っているかしら、私。
この時点でもう逃げだしたい・・・
「えっと・・・」
「先輩、!!私の静音いじめたら怒りますからね!!」
とりあえずの挨拶をしていたところに割って入ってきたのは私の嫌いなほう。
「いじめないわよ、私のパートナーにそんなことすると思う?」
「あなたのそういう態度が嫌いです」
「ありがとう、ほめ言葉として受け取るわ」
部員たちの目に耐え切れなくなって私はこの場から逃げだした。