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氷姫  作者: 秋元愛羅
私とあの子と天才と
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「もう・・・」


呆れた声で肩をすくめる遥。


まぁ、長年一緒にいれば分かるよね・・・


「でも意外だな。華音とはかなり息ピッタリなのに」


「だって・・・」


「だって?」


「・・・この話やめようか」


「え?」


「なんで聞きたいのよ」


「気になるじゃん」


「・・・・」


目がキョロキョロしてる。多分、迷ってんだな。


言い方からしてかなり砕けてたから。


「華音と静音をもので例えるなら太陽と月みたいだから」


「太陽と月?」


「卓球の戦術も性格も行動もそう。


華音は徹底的なシングル向きだった。


むしろダブルスには完全に向いてなかったのよ。


性格も今とそこまで変わってないのだけれど、結構奔放にやってたから。


まぁ人の迷惑にもならないし気づけば周りは笑ってたりするからそんなに気にしなかったけれど。


でも、静音は違った。


彼女は自分を殺す戦術だった」


「ごめん、よく意味が分からない」


「自己主張しないのよ、彼女のやり方は。


たぶんどの複数人するスポーツに共通することだと思うことだけど、必ず相手を気にしなければならない。


たとえば相手のいる位置、得意とする戦術・・・


でも彼女は逆に相手に徹底的に合わせるのよ。


一緒にやっていて彼女が積極的に点を取った覚えがないわ」


「えっと、遥はどっちなの?


さっきの話を聞いてると華音とは相性が合わないって言ってるけど前に組んだときいい感じだったのに」




華音が来た初期の頃、正確には華音がスポーツ雑誌に特集が組まれるほどの実力があるということを学校中に知られたとき卓球部の二年生と一部の一年生が華音に喧嘩を吹っ掛けてきたのが始まりだった。


それに遥まで煽られてダブルスで対決することになった。


もちろん完封勝利。


最後には「よわ」っと吐き捨てたほど。


一応彼女らの実力は全国大会にいけるほどの強さだったとか。



「あれは・・・その、目的が同じだったから組んだけど普通に組めって言われたら最弱のペアになってたと思う。


元々華音とは卓球だけは相容れない存在だったから。


静音がいなければ今みたいな関係じゃなかったし」


「そうなの?」


「まあ・・・」


正直に言おう。


今の俺はそのきっかけを知りたいと思う。


だって今の華音と遥の関係は被害者は出るけどかなり仲がいい。


それが昔は違ったなんて・・・気になる。


「言わないわよ。私だって言いたくない過去の一つや二つぐらいあるんだから」


「あ、ばれた?」


「目で訴えてた。


さて、勉強するわよ。今日の目的でしょ?」


「教えては・・・」


「今度の定期テストで私に勝ったら教えてあげる」


すみません、無理です。


現に万年2位君でさえ足元に及ばないんだから。










教えられるわけない。


あの頃の私は澪と同じように周りが大嫌いだった。



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