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氷姫  作者: 秋元愛羅
転校生とWデート
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右腕の独白


「刹那、ほんとは仕組んだでしょ」


城岡正志、三坂花梨と別れた帰り道ずっと沈黙だった遥が口を開いたと思ったらそんなことだった。


「まぁ、そうですね」


「怪しいと思ったら・・・・目的は?」


「言わなきゃだめ?」


「言わないと外してもらうわよ」


鋭い視線が本気だと言うことを示している。


「はいはい、言います。城岡正志を探ってました。


怒るから言わないでおこうと思ったんだけど」


「怒るに決まってるじゃない。


で、あんたの見解としてはどう思ったの」


「裏表のない普通の少年でした。


まぁ、優しすぎるってことぐらいか?


欠点のようで欠点じゃないところといったら」


「そうね」


少しは気づいているんかね、今の表情。


長年隣にいる俺でさえも見せてくれない顔してるんだぜ?





今も昔もこいつしか仕えないって決めた日から何年経っただろうか。


一年のうちの短い期間しか会えなくても遥は変わらなかった。


いや、実際は少しずつあの子たちのおかげで変わっていたけれどそれほど大きな変化ではなかった。


大きな変化があったのは高校一年の夏。


当たり前の変化なのに俺にとって違和感を感じたのは遥の人との付き合い方だ。


遥はケータイを使わない。


邪魔とか、だらだらと送るだけのメールは必要ないとかいろいろ理由がある。


だからめったにケータイを使っているところは少ない。


なのに来た日からよくメールをしていた。


友達でも出来たのかと思った。


よく画面をみてクスクスと笑う姿を見ていたから。


でも、内緒で受信履歴を見たらたった一人だけの名がずらっと並んでいた。


その名が城岡正志だった。


内心複雑な感情が芽生えた。


俺の気持ちも遥は知っているはず。なのに・・・・


見る限りただの世間話をしているように見えるメールの内容。


でもその奥にいる人物の気持ちはもしかすると、俺と同じだと思う。


なんとなくそう思ってしまう。


会ったこともない人間なのに。





それから月日が流れ確認できる日がやってきた。


俺を見て表情を変える遥。


・・・さすがにあからさますぎて逆にこっちが傷つくんですけど。


そして隣にいるのが、城岡正志。


普通の平凡な人間。秀でていることもなく劣っていることもない人間。


こいつのどこが遥を引き付けるものがあったのだろうか?




そして今彼女があいつに引き付けられた理由が見つかった。


あいつは遥が心の中で欲していた人間だ。


“ヤマトウ株式会社社長令嬢の山内遥”ではなく“山内遥”としてみている人間。


あの場所以外誰も見てくれないだろうと一度は諦めた人間の類の奴だった。


でも俺は気に入らないけれど。


まぁ、害はないと分かったわけなので無視しておく。



俺は俺のやり方で遥を守り抜く。


たとえそれが他人に批判されようとも、あいつが幸せに笑っていられる未来ならば俺にとって大正解だ。






だから遥、昔みたいに笑っていて。




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