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「遥、カーゲームしない?」
「却下」
「良いじゃないですか!!やりましょうよ」
ほんと仲良くなったね・・・・タッグを組んでやらせようとしてる。
「城岡君は?」
「え?あ・・・ちょっと喉渇いたから飲み物買ってこようと思うんだけど」
「じゃあ、先に三人だけやるか」
「いってらっしゃい」
あはは・・・俺、ゲーセンにあるゲームって大抵下手なんだよね。クレーンゲームとか。
伊織たちとかと遊ぶときとはは気を使わなくても良いんだけど遥がいる前でかっこ悪いところを見せたくないんだよな。
ゴットンと出てきたジュース。
ようやく探し回って見つけた。
無駄に体力を使った気分だ。
まぁ、いい運動になったと思えば。
「城岡君」
「えっと、刹那君」
「ふう、ようやく見つかった。
あ、あと呼び捨てでいいよ。
こっちもそう呼ぶから」
「え?知ってるっけ」
「城岡正志でしょ?
一応クラス全員の名前は覚えたからね。顔が一致しているかって言われたら自信ないけれど」
「す、っげー」
「このぐらい普通だよ。
遥のこと守るためだと思えば全然軽いもんだし」
「そうなんだ」
誰が遥に何をしたって分かるためには人の名前覚えていないといけないしね。
それにしても約一週間で全員の名前覚えるなんて記憶力すごいな。
「さて、戻ろうか。
なかなか来ないもんだから二人は遊び始めてたし」
あれ?
刹那がいるとつまらないって言ってたのはどこの人だっけ?
「正志は遥のこと変な偏見で見ないんだね」
「変な偏見って?」
「金持ち」
「ああ。でもそんなに周りと変わらないと思うけれど。
ちょっと最初の時はとっつきにくいなぁっと思うかもしれないけれど、ほんとはそんなことないし。
時々ストレートの物言いで周りを凍らせることもあるけれど優しいときもあるし」
「そういう考えが多くなればいいのにね」
「そうだね」
そのときの刹那の声の高さがいつもと違うことに俺は全然気づいていなかった。
そして俺に対して何を思っているのか、も。