4
「強敵だな」
遠くからまだ遥と刹那君が話をしているを見て伊織は言った。
「え?」
「遠藤刹那。絶対あいつ遥のこと好きだと思うぜ」
「そうなのか?」
「俺だったら好きなやつ以外こまごまと世話しねぇよ。もし一生、仕えろって言われても」
「でも伝統みたいものでしょ」
「・・・・・」
お前なぁっていう目で見られていることはなんとなく分かってるけど・・・・
俺からみて遥と刹那君はどう見ても仲のいい二人に見える。
恋愛感情があるようには・・・見えないこともないけど感じられない。
「もういいよ。俺が悪かった」
そのままどっかいってしまった。
何がしたかったんだ?
気づいたら華音も加わってがやがやと騒いでいる三人と、
「華音、後で聞きだしてやる」
「まぁまぁ」
「先輩はいいじゃないですか。
俺の苦労に全然気づいてくれないんですよ。
いまだに櫻樺は華音のこと狙ってるし」
「いや、まぁ」
同じ痛みを現在進行形で味わっている同士がいる。
「あ、あの・・・・」
「どうした?ピンク」
部活が終了し遥が待つ校門へと向かおうとしたらピンクに声をかけられた。
「来週の日曜日って空いていますか?」
「あ、うん。多分だけど。どうかした?」
「今上映中のアルトの券が持っているので一緒に行きませんか?」
「え?別にいいけど、ピンクの友達とか櫻樺とかじゃなくていいの?」
「それが・・・・外国の映画無理とか、もう見たとか」
「ありがちな答えが。いいよ、行こうか。
駅集合でいい?」
「はい!!」
嬉しそうにありがとうございますと言って走っていってしまった。
よっぽど見たかったんだなぁ。
俺はこのとき思いもしなかったんだろう。
まさかこんなことになるなんて・・・・