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「なんで今日は静かなの」
次の日だった。
やけに正志が静かだったのは。
それはもしかして昨日私が拒絶してしまったためかと思いきや違うみたいで私を見ると言いたそうにしていた。
見当はつくけれど。
でも・・・ここまで来るとむかつく!!!
「え?」
「いつものへらへら顔がなくて気持ち悪い」
「俺、へらへら顔しているの?」
「そこじゃないわよ。
言いたいことがあるなら言いなさいよ。
帰りまで待ってたんだからね」
今現在いつもなら普通にしゃべっている何気ない道だ。
まだ夕日に染まって茜色が綺麗だ。
「だって華音が言っても答えてくれない可能性が高いって」
「確かに言いたいこと分かってるわよ。そして華音の言う通り言わないわね。
でも、よそよそしい態度だけはやめてよ。
寂しかったんだから」
「え?」
「だ~か~ら、他人行儀な態度は取るなって!!分かった?」
「あ、うん」
なんでこんなことを言わないといけないんだ。
恥ずかしいじゃないか!!
うう・・・なんか損した気分。
「帰る」
「ちょ、ちょっと待って」
追いかけるように自転車を押して隣に並ぶ彼。
チラッと表情を見るといつもの穏やかな顔だ。
ツンッとした態度はいつものことだから仕方ないしこれでも直そうと考えている。
なかなか直んないけれど。
でもそんな私でも隣にいようとしてくれる人がいると嬉しい。
誰も認識してくれないあの空間は寂しいものだから。
「遥、また明日な」
あの時ちゃんと答えておけばよかったと思う。
こんな些細な言葉ぐらい。
どうして意地張って言えなかったんだろう。
数十秒後私の世界は突然真っ暗になった。