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氷姫  作者: 秋元愛羅
プロローグ
1/32


入学式


まだぶかぶかの制服。見慣れた人もいれば見知らぬ人もいる。


いや、この学校はほとんどが持ち上がりに近いのでほかの中学から来た人の方が俺にとっては目立ってしまう。


男も、女も。


そして俺は出会った。いやこの時はすれ違ったと言うべきか。


寂しげな雰囲気を出す俺の初恋の君に。





私立聖華学園高等部に上がった頃の俺は同じ系列校であるが全く世界が違う学校出身の“氷姫”と名づけられた少女に振り回されることをこのときはまだ知らなかった。








3年後の春



「ありがとうございました」


「「ありがとうございました」」


40人程度となった野球部の部長に去年から任された俺は夏の大会に向けて頑張っていた。


「そこのピンク、さっさと動いて」


「はい!」


「先輩!!私にだけたくさん仕事を押し付けるのはいじめですよね?いじめですか?いじめでしょう

が!!」


「華音、うるさい。さっさと仕事しなさいよ」


「うるさいじゃありません!!」


相変わらずの会話に2年生や3年生はもう苦笑いだ。これを1年も続けられていると嫌でも対処法が分かる。


一番良いのは無視して黙って片付けることだ。


前に帝楠学園と練習試合をしたときあの二人の対処法を教えてもらってからはそうやってきた。


もちろん監督も何も言わない。


だがまだ慣れていない一年生は戸惑っている。


今回一番可哀想(被害者)なのは二人の間に挟まれてしまった遥曰くピンク。


さて、誰が二人を止めるのでしょうか?・・・と言ったって一人しかいないんだけど。


トホホ・・・部長もつらいよ。


「二人とも~~~早く片付けしないと遅れて門が閉まるよ」


その言葉に綺麗にピタッと同時に止まる二人。


さすがに5年も先輩後輩をやっているとそうなるのだろうか?息ぴったり。


それから二人同時に時計のある方向を向いて確認したのか無言の牽制の後何も無かったように片付け始めた。



「ありがとうございました」


ぺこりとまだ中学生のような感じを残しているピンク。


ご愁傷様、そしてお疲れ様でした。


それから彼女がスタスタっと片付けに行ったのと同時に伊織がやってきた。


「相変わらずの二人だな」


「まぁ・・ね。でも二人のおかげで明るいのは確かだしそれもそれで良いんじゃない?」


「あれがもう少し経ったらなくなるって何か寂しいよな」


「だから少しでも長く見れるように頑張んないと」


「それっておかしくね?」


小突きあって二人で笑っていると遥の痛い視線を感じてもう一度顔をあわせて笑いあった。


遥たちからしてみればちょっとした喧嘩なんだろうがこっちからしてみれば漫才に近くなってしまった。


氷姫VS黒蝶(笑)



見れなくなるとき、それは引退を意味している。引退をするとき少しでも変わってくれたらいい。


部員とマネージャーという友人のような関係から。



「それから、あのピンクには気をつけろよ」


「えっと・・・三坂さん?」


「ああ。正確に言うと彼女の周りだけれど本人を気を付けておいたら多分大丈夫だから」


「いい子だと思うんだけれど・・・伊織が言うなら気をつけるよ」


彼女を警戒する理由は分からないけれど伊織の言うことだから信憑性はある。


最近は無くなったが一時期遥を標的にしたいじめに近いものを決行されていたときがある。


一部の人間だしその頃は遥に対する信頼がある人物が多くいたからすぐに終わったけれどそれでも彼女を敵視する人間がいなくなったわけではない。


もちろん1年生でもいることを聞いている。多分彼女の友達は野球部に入ることに反対だったのだろう。


だからいじめるような感じがあれば攻撃を仕掛けるようにしているのだと思う。


実際は遥にとっていじめのようなことをするのはある意味愛情表現の一種だと思う。華音しかやらないから。あ、最近はピンクにも少々。でもそう感じられない程度だから大丈夫だと思うけど。





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