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〜プロローグ〜恋は舞い降りた〜

今晩は。

藤井雪彦{べこ丸}で御座います。

ではお楽しみくださいませ。

〜プロローグ〜恋は舞い降りた〜
















「トロイさんのニンフの絵画が観たいって言ったよね。ホーくん」
















「うん」
















喫茶店トゥルーフーに来店した西京都私立饅頭高校の一年生のカップル
















スペインの世界的絵画家ムリーリョの描いた純真無垢の少年絵画のような【清水希望{しみずほうぷ}】と、イタリア、ミラノの世界的絵画家ラファエロの描いた温かな聖母絵画のような【守上雪実{もりがみゆきみ}】、そんな二人が付き合うきっかけになった出来事かあったのは約一ヶ月前に遡る。
















世の中はちょうど学校の一学期が終わりを迎え、街なかは大いに賑わい、沢山の人々で道中は混雑する夏休み。










当時、希望は一年一組の所属で同じ一組のヤンキー【雨傘功一{あまかさこういち}】のパシリだった。
















その日も同じ雨傘のパシリの親友【毒水与作{ぶすみずよさく}】といっしょに授業が終わり、休み時間に雨傘から命令された購買に売ってある焼きそばパンを買いに、もし焼きそばパンが売り切れだったら雨傘にいつものように暴力を振るわれることを恐れ、猛ダッシュで購買まで駆け抜けていた。
















共に猛ダッシュしながら毒水は口にする。
















「俺がやってることは、いわゆる【ボランティア】さっ!!
















もし俺がボランティアしまくってその姿を目にしたあの高嶺の花【ユキミィ】に惚れられたら凄まじい幸せだぜっ!!
















なぁ清水っ!!お前もそう思わないかっ!?」
















それは希望も極まりなく同感だった。
















守上雪実は天性のこの上ないルックスと、綺麗に整った黒髪のロングヘアーを薄紫色のシュシュでひとつ結びに束ねており性格もとても心優しく穏やかな友だち思いの一年一組の超アイドル的存在であり、男子にも女子にも大人気で通称ユキミィという愛称で親しまれ呼ばれている。
















当然、雨傘もそんな雪実を決して放って置かず、休み時間になると常に自身の真横に強引に他人の席などお構いなしに座らせ、独占していた。












購買にたどり着き希望は焼きそばパンを買おうとしたが、さっきの男子が買ったのを最後に今日は売り切れだった。
























希望はものすごく落ち込みながら、焼きそばパンを持たずに教室まで戻ると








雨傘が不機嫌そうに待っており、雨傘のすぐ隣にはいつも通り雪実を陣取らせ、希望が教室に入ってくると、雨傘は希望に険しい顔つきでガンたれた。
















希望の身体の全細胞が凍結した。
















「おいっ!!
















清水っ!!
















んっとにトロくせぇっ…!!
















たかだか焼きそばパン一つ買ってくんのに何年何ヶ月何時間何分何秒待たせりゃいいんだよっ!!
















この【俺の雪実】の前で俺に大恥かかせる気かよっ!!
















んで!?
















例の焼きそばパンはどうしたっ!!」
















希望は恐怖心の塊になりながらも恐る恐る口にした。
















「……焼きそばパン……
















……売り切れてまし……
















希望が言い終える間もなく雨傘は希望に急接近して思い切り希望の襟首を掴み、殴り飛ばした。
















机に希望は勢いよく吹っ飛び衝突して倒れる。
















希望の全身に痛烈な痛みが走った。
















「…っうっ…!!
















痛っ…!!」
















教室の生徒たちがどよめいた。
















雪実のつぶらな瞳は希望の姿をまっすぐに見ている。
















希望がなんとか痛みをこらえて立ち上がると雪実と視線が合った。












雪実は希望と目と目が合うと、とても心配そうに希望を見つめながら希望に口パクで一言………た…す…け…て………と言ってきた。
















雪実のまっすぐな期待と想いに希望は勇気が湧いてきた。
















希望は雨傘に対し、がむしゃらに立ち向かっていく。
















「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉっ!!」
















希望の思いの丈を振り絞った必死の拳は喧嘩慣れしている雨傘にヒョイと簡単にかわされもう一発反撃を喰らう。
















また机に勢いよく吹っ飛び衝突して希望の全身に尋常ではない痛みが走った。
















「……ぁ…
















…ぁ……
















痛…っ…!!
















……痛…っ…!!」
















ちょうどそのとき学校の授業の始まるチャイムが鳴った。
















数学の教師であり、一組の担任の古木{ふるき}が教室に入ってきた。
















古木は
















「君たちっ!!
























何をやってるんだっ!!」
















と叫ぶ。
















雨傘が
















「いや…
















清水が喧嘩売ってきたんで俺は買っただけですけど」
















と言う。
























雨傘の嘘にまんまと騙され古木は希望を叱責する。
























「清水っ!!
















この学校の運営にも御尽力して頂いてる雨傘財閥の御曹司であらせられる雨傘くんに喧嘩を吹っ掛けるとは何事かねっ!!
















雨傘くんに謝りなさいっ!!
















きちんと謝ったら保健室に行きなさいっ!!」
















毒水は、そんな古木を無視して希望を軽々と背負い、急いで保健室に連れて行く。
















「清水…
















大丈夫…
















じゃないよな…
















チッ…
















雨傘の奴、俺がおとなしくボランティアしてりゃ調子に乗りやがって…
















今に見晒せぇっ…」
















無人だった保健室では何故か毒水が手慣れた手つきで希望の傷口を手際よく消毒し、絆創膏やガーゼを貼っている。
















「よしっ!!
















これでとりあえず応急処置は済んだ


















一応、ニ週間はこのまま怪我の様子を自分でみてくれ」
























希望と毒水が保健室でしばらく過ごしていると授業中にも関わらず一組の雪実と仲よしの女子が、血相を変えて保健室に猛スピードでやってきた。
















「清水くんっ!!
















ユキミィが……
















ユキミィが……
















雨傘に思い切り顔面パンチを炸裂させたっ!!
















【ひたすら強者に弱く弱者に強く………












…最低っ!!……












お前に何ができるんか?
















うちはずっと待ってた…
















あの人の…








ホーくんの…









覚醒のときを…
















誰にも文句は言わせない…
















今日から清水希望くん絶対にうちの彼氏!!】
















って断言して……」
















「えぇっ…!?」
















希望と毒水は驚きを隠せなかった。












こうして希望と雪実はクラス公認の両想いカップルになったのである。










刻に西暦二〇〇二年、一学期が終わりどきの出来事であった。

御愛読誠に感謝申し上げます。

ではまた会いましょう。

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