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ミテイル

ミテイル.ファイル6

作者: 佐藤隆
掲載日:2026/03/27

……高目くん、久しぶりだね。

高目慎二くんへ。

突然のメールで驚かせてしまって申し訳ない。

私は目共中学校で、当時3年2組の副担任をしていた、佐藤と申します。

もう10年以上経つけど……君の顔と名前は、今でもはっきり覚えているよ。

最近、大学生活はどうかな?

文学部に進んだと聞いたけど、ちゃんと単位取れてるかい?

……君が今、スマホかPCの画面を見て、このメールを読んでいる瞬間も、なんとなく想像がつくよ。

実は、最近またあの事件のことを思い出すんだ。

白馬のペンションで、クラス全員が消えた夜のこと。

他の26人+先生2人が、跡形もなく。

君と、あの女子生徒だけが、林道で発見された。

彼女は最後まで君の手を離さなかったよね。

君は「黒い影」みたいなものを口にしていたけど、すぐに黙ってしまった。

私は事件後、警察の聴取で何度も呼ばれた。

でも、正直に言うと……

私はあの夜、何も見ていないはずなのに、

妙な記憶が、ずっと頭の隅にこびりついているんだ。

例えば、

消える直前、クラスメイトたちが「外に行こう」って、ぞろぞろと部屋から出て行ったような気がする。

でも、私自身は動けなかった。

体が、誰かに見つめられているような……重い圧迫感で、ベッドに張り付いていた。

そして、

君とあの子の発見された場所。

私は捜索隊と一緒に山に入ったんだけど、

彼女が君に向かって、小さな声で何かを囁いていたのを、遠くから聞いた気がするんだ。

「ずっと、見てるよ」

……そんな言葉だったような。

今でも、時々夢に見るよ。

君の大学近くのカフェで、君が一人でコーヒーを飲んでいる姿を、

遠くから見ている夢。

私じゃない誰かが、ずっと君を観察している。

高目くん、

もしよかったら、近いうちに一度話せないかな。

君が今、何を感じているか……知りたいんだ。

あの事件の「本当のこと」を、君はまだ全部話していない気がして。

メールの返事は、いつでもいい。

急がないよ。

私は、君のことを……

ちゃんと、気にかけているから。

……それに、

君の周りで、最近「見られている」ような感覚はないかい?

もしあったら、すぐに教えてくれ。

私は、

君の味方だよ。

でも、

本当に、そうだといいんだけどね。


佐藤

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