ミテイル.ファイル6
……高目くん、久しぶりだね。
高目慎二くんへ。
突然のメールで驚かせてしまって申し訳ない。
私は目共中学校で、当時3年2組の副担任をしていた、佐藤と申します。
もう10年以上経つけど……君の顔と名前は、今でもはっきり覚えているよ。
最近、大学生活はどうかな?
文学部に進んだと聞いたけど、ちゃんと単位取れてるかい?
……君が今、スマホかPCの画面を見て、このメールを読んでいる瞬間も、なんとなく想像がつくよ。
実は、最近またあの事件のことを思い出すんだ。
白馬のペンションで、クラス全員が消えた夜のこと。
他の26人+先生2人が、跡形もなく。
君と、あの女子生徒だけが、林道で発見された。
彼女は最後まで君の手を離さなかったよね。
君は「黒い影」みたいなものを口にしていたけど、すぐに黙ってしまった。
私は事件後、警察の聴取で何度も呼ばれた。
でも、正直に言うと……
私はあの夜、何も見ていないはずなのに、
妙な記憶が、ずっと頭の隅にこびりついているんだ。
例えば、
消える直前、クラスメイトたちが「外に行こう」って、ぞろぞろと部屋から出て行ったような気がする。
でも、私自身は動けなかった。
体が、誰かに見つめられているような……重い圧迫感で、ベッドに張り付いていた。
そして、
君とあの子の発見された場所。
私は捜索隊と一緒に山に入ったんだけど、
彼女が君に向かって、小さな声で何かを囁いていたのを、遠くから聞いた気がするんだ。
「ずっと、見てるよ」
……そんな言葉だったような。
今でも、時々夢に見るよ。
君の大学近くのカフェで、君が一人でコーヒーを飲んでいる姿を、
遠くから見ている夢。
私じゃない誰かが、ずっと君を観察している。
高目くん、
もしよかったら、近いうちに一度話せないかな。
君が今、何を感じているか……知りたいんだ。
あの事件の「本当のこと」を、君はまだ全部話していない気がして。
メールの返事は、いつでもいい。
急がないよ。
私は、君のことを……
ちゃんと、気にかけているから。
……それに、
君の周りで、最近「見られている」ような感覚はないかい?
もしあったら、すぐに教えてくれ。
私は、
君の味方だよ。
でも、
本当に、そうだといいんだけどね。
佐藤




