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1話 新たな始まり

本日2度目の投稿!

 「…んぁ?」


 カーテンの隙間から、日の光が注ぐ。

 一階の方から聞こえてくる2人の会話。


 「もう、朝か…っ」


 ぐう〜っと伸びをして、ベッドから降りる。

 カーテンを開いて窓を開ければ、心地の良い暖かな風が吹き、鳥の鳴く声が聞こえてくる。


 「…♪」


 不思議と笑顔になってしまった。

 今日は大切な日だ。

 制服に着替え、ベッド脇にある小さな棚に置いていた指輪を、左手の中指につける。


 「2人とも早いなぁ…」


 誰も寝ていない2つのベッドを見て、思わずぽつりと呟きながら、部屋を出て階段を降りる。

 木製の廊下に、タンタンと音が響く。

 やがて下に降りてきた時、私はリビングにいたその2人に、声をかけられた。


 「おっ!やっと起きたのね、ミム!」


 「おはよう、ミム。能力はどうだ?」


 口々に言ってくる2人に、私は笑顔を向け、


 「おはよ、ソラ、カイト。能力なら大丈夫」


 答えると、2人はニコッと笑い、リビングの椅子に腰掛ける。

 私も、丸いテーブルの空いている席を座って、料理を見る。


 「いつもいつも、すごいね…」


 「ミムはその能力の代わりなのかってくらい手先が不器用だからね。私がやらないと」


 「強過ぎる能力の代償が手先の不器用さって、よくわからんけどな…」


 私は「ふふっw」と笑いながら、テーブルに置かれたブロッコリーを口に運ぶ。

 相変わらず、ソラの作るものは美味しい。




 ソラとカイトは、昔ながらの親友。幼馴染でもある。

 "親なし"という境遇も同じで、私達はこの街、リストロムで代理をしている、いわゆる村長に保護されている。なので、本当はここ出身ではないのだが……まあ色々あったのだ。


 ふと、ソラは私の方を見て、


 「ミム。制服似合ってるわよ。可愛いわ」


 「・・・はい?可愛い?」


 棒読みで返事をすると、ソラは目を見開く。

 窓からの光で、水色の両目がキラッと光る。


 「ミムは本当…自分のことをもっとよく見たら?」


 「黒髪赤目の如何にもな女性をどんな目で見つめ直せばいいんかね…」


 この赤目のせいで、周りの人間達からは魔物とのハーフなんじゃないかと噂される始末だった。

 能力で脅すなんてことはしたくないので、魔物を目の前で狩って証明したくらいだ。



 因みに。

 私、ミムの能力は〈精霊〉。名前の通り、精霊を支配できる。ただ、制約が色々あるけどね。


 ソラの能力は〈石能(せきのう)〉。ソラが"石"と認識したあらゆる物質の硬度や石言葉を力として扱える能力だ。


 この中で唯一の男性であるカイトの能力は、〈変永(へんえい)〉。情報関係の変化から、概念や事象の変更など、使い方は様々。真髄は本人にしかわからない能力だ。







 さて。私達はこれから、する事がある。


 「食べ終わったら着替えかあ〜…」


 「ちゃんとしなさいよカイト。やっと16歳になって、学園に入学できるんだから」


 そう。能力者だけが通える、特別な学園。

 リストロム領内にある、『公立能力者育成学園』だ。



 神々が与えたとされる、どんな状況下でも変わることがない、特殊な材質の壁が特徴である学園。


 今日は、私達3人が入学する日だ。

 今日の為に能力も魔法も調整してきた。おそらくは大丈夫だろう。


 「ミム。気を付けろよ。サングラス、していくんだろ?」


 カイトから、迫真として言われた言葉。

 私はそれに頷き、


 「勿論。それに、本気は出さないさ。出したら、二の舞になるかもしれないし」


 「…そうだな」


 〈精霊〉という能力。

 このままでどれだけ戦えるかが、きっと学園生活を送る上で大事なことだろう。




 因みに、サングラスは単純に赤い目を隠すためのもの。

 指輪も含めて、許可は取り済なので問題無しである。



 …え?指輪は何のためかって?


 能力を制御する為だよ。本当にね。

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