表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死亡フラグ回避に飽きたので、悪役令嬢らしく悪の組織をプロデュースすることにしました  作者: 高橋 淳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/15

新生•ナイトメア

「……まずはその服をなんとかなさい!」


アジトの埃っぽさを一掃するようなセレスティーヌの鋭い声が響いた。

彼女は扇子の先で、アルベルトたちが纏っているボロ切れを忌々しげに指す。


「いい、情報収集っていうのは『気配を消す』だけが能じゃないのよ。相手を気圧し、あるいは魅了して口を割らせる……見た目が悪ければ、まともな情報なんて入ってきやしないわ! そんな浮浪者のような格好で、私の組織を名乗るなんて許さないんだから!」

「い、今から買い出しに……?」

「当たり前よ。全員ついてきなさい。私の審美眼で、あなたたちを『見られる存在』にしてあげるわ」


困惑する四人を引き連れ、セレスティーヌが向かったのは王都でも指折りの高級仕立て屋だった。

公爵令嬢の突然の来訪に震え上がる店主に、彼女は一切の容赦なく命じる。


「この男たちに、最高級の漆黒の生地でローブを仕立てなさい。隠密性と機能性、そして何より——私を満足させる『威圧感と色気』を両立させること。予算に糸目はつけないわ」

「ボス、あの……この生地、金貨が何枚飛ぶんですか……?」


震えるアルベルトを無視し、セレスティーヌは次々と指示を飛ばしていく。


「カイン、あなたには耐火・耐酸加工を施した白銀のグローブを。素手で新しい薬を調合するなんて言語道断よ。ゼノ、杖を質に入れるなんて二度と考えないことね。魔力伝導率が最高の魔晶石をあしらった特注品を用意させるわ。リノ、あなたはもっと動きやすく、かつ闇に溶けるシルクを使いなさい」

その足で、彼女は魔法具店や化学兵器の専門店、さらには闇市場の武具屋までをも蹂躙した。


「これ、最新の蒸留器……!」「この短剣、触れるだけで凍りつく……!」と、カインやリノたちが子供のように目を輝かせるのを、セレスティーヌは冷徹に、かつ満足げに眺めていた。


買い物を終え、時計塔のアジトに戻る頃には、四人の手には抱えきれないほどの最高級品が握られていた。

セレスティーヌは侍従に一瞬で清掃させると、その上に、重低音を響かせて『袋』を置いた。

ずっしりと中身が詰まった、革の袋。隙間から零れ落ちたのは、鈍く輝く本物の金貨だ。


「……これ、全部使っていいんですか?」

アルベルトが喉を鳴らす。

「必要なもの、足りないものはここから買いなさい。実験道具でも、毒の材料でも、情報屋への袖の下でもね。いい? 私が欲しいのは『結果』だけよ。お金が足りなくなったらすぐに連絡しなさい。私の許可なく、安い仕事で小銭を稼ぐような真似は、二度と許さないわ」


彼女は窓辺に立ち、夜の街を見下ろした。


「……さあ、最高の舞台を整えてあげる。ナイトメア・ギルド——まずはこの王都の夜を、あなたたちの色で塗り替えなさい」


跪く四人の背中には、もはや悲壮感はなかった。

ただ、美しきボスの背中に、心酔しきった熱い視線が注がれていた。

次回、1/21投稿になります

よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ