【超短編小説】夢ならどんなに良かったでしょう
「なんの為に使い勝手の悪いアプリをダウンロードしてまでこの店のユーザーやってると思ってんだ!」
俺はレジに立った店員に対して絶叫しながら、それが単なる八つ当たりなのは理解していた。
店中の注目とヘイトを集めている。
あぁ、クソが!
俺は重たいガラス戸を押し開けて外に出る。さすがにレジカウンターでクソをするほどのニヒリストにはなれない。
俺の背中に向かって「またのお越しを〜」とレジの男は声を投げかけてきた。
お前はどこでクソをするんだ?
あぁ、クソが!
俺は商店街を歩く。
限界が近い。
膝の上を叩いたりして何とか我慢をしているが、もう終焉の時は近い。
都会には茂みも無いしな、と厭世的な笑みが溢れ出たその瞬間に公衆便所を見つけた。
まるで教室にある掃除用具入れの様にやたら細長い入り口をしているが、そんなものは関係がない。
やったぜ、クソが!
俺は隙間に身を滑り込ませた。
そして絶望を見つけた。
そこにあったのは便器では無かった。そこにあったのはタイルの床に埋め込まれた洗面器だった。
だが限界だ。
もはや一刻の猶予も無い。
俺はチャックを下ろしてズボンを下げたがもう間に合わない。
ゆっくりとボクサーパンツの中に糞をひりだした。ついでに尿が溢れていく。
少なくとも街中で自尊心を失う事はなかった。
それで良い。
俺は膨れゆくパンツを見ていた。
膨張したボクサーパンツは黒い球体の様になっている。それはどんどん大きくなる。
俺の脱糞と放尿は終わらない。
やがてボクサーパンツの隙間から尿が勢いよく噴出し始めた。
ボクサーパンツは全てを飲み込む勢いで大きくなる。
俺は布団の中で目を覚ました。
既に糞尿を吸った布団は大きく膨れ上がり巨大な球体となって部屋を埋め尽くそうとしている。
俺はそのマグリットの上で眠っているが、いまだに排出され続ける糞尿が止まる気配は無い。
やがて布団の隙間から糞尿が勢いよく噴出し始めた。
夢と同じだ。
しかし夢と違うのは、これが現実であり、糞尿が窓ガラスを突き破り、街へと勢いよく流れて出て行ってるってところだ。
明日は晴れるだろうか。
俺はマグリットの上でもう少し眠ろうと思った。




