4
そんな流李の変化に女友達以外で、気付く者達がいた。
男友達の半神の白狗涼、猿山喜雨、雉池秀一だ。
彼等は犬、猿、雉の半神でそれぞれ動物的特徴を持っている半神だ。
彼等の出会いは小学校の時に猿、鳥、犬の半神である事から、桃太郎に出てくる動物として、教師から一括りで纏められていた。
最初は小学校低学年の劇で、桃太郎役をやった人間が3人のリーダーぶって行動していたが、3人はその人間をリーダーだと思ってなかったし、寧ろ友達とすら認識していなかった。
そんな関係が変わったのは桃太郎役をやった人間が、流李の虐めに関与した時の事だった。人間は流李と、流李を庇う鬼人の剛をやっつけようと息巻いていたが、年上の鬼人に敵うわけ無いと3人は知らんぷりを決め込もうとした。
いつも通り休み時間になったら、剛のクラスに行こうとする流李を、人間が通せんぼした時の事だった。
『待て!止まれ気味の悪い花人!』
『やだ!通してよ!』
『いつもいつも逃げて卑怯だぞ!悪い鬼の仲間は成敗してやる!』
『剛くんは悪い鬼じゃないよ!』
『黙れ!鬼は桃太郎に成敗される宿命にあるんだよ!』
『…君、何処が桃太郎なの?』
『ぶっ!』『ぶはっ』『くすっ』
流李の率直な疑問に話を聞いていた3人は思わず噴き出した。
『なに?』
『何で君、桃太郎なの?』
『それは劇で桃太郎をやったからだ!』
『それだけ?』
『それだけって…俺には白狗と猿山と雉池の子分がいるんだぞ!』
『子分なの?』
『そうだ!』
『じゃあ何処が凄くて桃太郎やってるの?』
『え?』
ただ泣き喚くだけじゃなく素直に疑問をぶつける流李に、3人は笑いが止まらなかった。それはいつも3人が思っていた事だったからだった。
『きびだんご食べさせたの?』
『っ…うるさいうるさい!おいお前等笑ってねぇで、さっさとコイツやっつけろ!』
『さっきからうるせーよお前、何偉そうに指図してんだよ』
『えっ…いで!』
白狗は桃太郎を名乗っていた人間を突き飛ばし、人間は盛大に尻餅をついた。
『そうそう、昔同じ劇やっただけでリーダーぶられるの、いい加減迷惑なんだけど』
『というか悪いものを退治するのが桃太郎なんだろ?女の子を虐める様なやつは桃太郎じゃない!』
『はっ!?お前等なに勝手に言ってんだよ!』
『勝手な事言ってんのはお前の方だ。というか、桃太郎の“もも”の字が入ってる百川の方が、桃太郎っぽいけどな』
『そういや川に流れ出る“もも”だもんな!という訳で今日から桃太郎組のヒロインは、百川流李ちゃんにけってーい!』
『そうだな、桃のもの字もないお前は、今日から名無しの権兵衛だ!』
『え?え?え?』
突然の事についていけない流李の周りを3人が周りながら、桃太郎組結成!とはしゃいでいた所で、教室のドアが開く。
『流李』
『剛くん!』
小2のクラスに小6が入ってきて、更には剛は普通の鬼人より2周り大きかった。それを見た白狗と猿山と雉池は、蜘蛛の子を散らすように逃げていき、名無しの権兵衛はただ腰を抜かしていた。
『どうした?大丈夫か?』
『う、うん。大丈夫』
『そうか』
そう言って剛はクラスの者達を睨みつけると、流李の体を抱き上げ、そのまま自分のクラスへと向かっていった。
『…ひぇ〜、相変わらず凄い迫力』
『つー訳で名無しの権兵衛さん。俺達今日から流李の仲間になるから、声掛けてくんなよ』
『え!?』
『強いて言うならただクジで当たっただけの、人間がリーダー面して今までウザかったから。もう付き纏わないでくれると助かる』
『そっそんな…』
その後クラスに来た教師に名無しの権兵衛が、流李を虐めようとした事をチクり、徹底的に無視した事から名無しの権兵衛は大人しくなり、ただのモブとなった。
それから白狗達は流李が授業で班決めの時は入れてやったり、二人組を組む際は声を掛ける様にしていたら、クラスメートから男友達として認識して貰えるようになった。
剛からの視線は怖かったけど白狗達は、あくまで友好的だと手を振って誤魔化しながら、流李と付かず離れずの距離を保っていた。




