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レイスバース【読み切り】  作者: 弥生いつか
第2話 赤い花
9/10

4

 

 そんな流李の変化に女友達以外で、気付く者達がいた。


 男友達の半神の白狗涼しらいぬりょう猿山喜雨さるやまきう雉池秀一きじいけしゅういちだ。


 彼等は犬、猿、雉の半神でそれぞれ動物的特徴を持っている半神だ。


 彼等の出会いは小学校の時に猿、鳥、犬の半神である事から、桃太郎に出てくる動物として、教師から一括りで纏められていた。


 最初は小学校低学年の劇で、桃太郎役をやった人間が3人のリーダーぶって行動していたが、3人はその人間をリーダーだと思ってなかったし、寧ろ友達とすら認識していなかった。


 そんな関係が変わったのは桃太郎役をやった人間が、流李の虐めに関与した時の事だった。人間は流李と、流李を庇う鬼人の剛をやっつけようと息巻いていたが、年上の鬼人に敵うわけ無いと3人は知らんぷりを決め込もうとした。


 いつも通り休み時間になったら、剛のクラスに行こうとする流李を、人間が通せんぼした時の事だった。


『待て!止まれ気味の悪い花人!』

『やだ!通してよ!』

『いつもいつも逃げて卑怯だぞ!悪い鬼の仲間は成敗してやる!』

『剛くんは悪い鬼じゃないよ!』

『黙れ!鬼は桃太郎に成敗される宿命にあるんだよ!』

『…君、何処が桃太郎なの?』


『ぶっ!』『ぶはっ』『くすっ』


 流李の率直な疑問に話を聞いていた3人は思わず噴き出した。


『なに?』

『何で君、桃太郎なの?』

『それは劇で桃太郎をやったからだ!』

『それだけ?』

『それだけって…俺には白狗と猿山と雉池の子分がいるんだぞ!』

『子分なの?』

『そうだ!』

『じゃあ何処が凄くて桃太郎やってるの?』

『え?』


 ただ泣き喚くだけじゃなく素直に疑問をぶつける流李に、3人は笑いが止まらなかった。それはいつも3人が思っていた事だったからだった。


『きびだんご食べさせたの?』

『っ…うるさいうるさい!おいお前等笑ってねぇで、さっさとコイツやっつけろ!』

『さっきからうるせーよお前、何偉そうに指図してんだよ』

『えっ…いで!』


 白狗は桃太郎を名乗っていた人間を突き飛ばし、人間は盛大に尻餅をついた。


『そうそう、昔同じ劇やっただけでリーダーぶられるの、いい加減迷惑なんだけど』

『というか悪いものを退治するのが桃太郎なんだろ?女の子を虐める様なやつは桃太郎じゃない!』

『はっ!?お前等なに勝手に言ってんだよ!』

『勝手な事言ってんのはお前の方だ。というか、桃太郎の“もも”の字が入ってる百川ももかわの方が、桃太郎っぽいけどな』

『そういや川に流れ出る“もも”だもんな!という訳で今日から桃太郎組のヒロインは、百川流李ちゃんにけってーい!』

『そうだな、桃のもの字もないお前は、今日から名無しの権兵衛だ!』

『え?え?え?』


 突然の事についていけない流李の周りを3人が周りながら、桃太郎組結成!とはしゃいでいた所で、教室のドアが開く。


『流李』

『剛くん!』


 小2のクラスに小6が入ってきて、更には剛は普通の鬼人より2周り大きかった。それを見た白狗と猿山と雉池は、蜘蛛の子を散らすように逃げていき、名無しの権兵衛はただ腰を抜かしていた。


『どうした?大丈夫か?』

『う、うん。大丈夫』

『そうか』


 そう言って剛はクラスの者達を睨みつけると、流李の体を抱き上げ、そのまま自分のクラスへと向かっていった。


『…ひぇ〜、相変わらず凄い迫力』

『つー訳で名無しの権兵衛さん。俺達今日から流李の仲間になるから、声掛けてくんなよ』

『え!?』

『強いて言うならただクジで当たっただけの、人間がリーダー面して今までウザかったから。もう付き纏わないでくれると助かる』

『そっそんな…』


 その後クラスに来た教師に名無しの権兵衛が、流李を虐めようとした事をチクり、徹底的に無視した事から名無しの権兵衛は大人しくなり、ただのモブとなった。


 それから白狗達は流李が授業で班決めの時は入れてやったり、二人組を組む際は声を掛ける様にしていたら、クラスメートから男友達として認識して貰えるようになった。


 剛からの視線は怖かったけど白狗達は、あくまで友好的だと手を振って誤魔化しながら、流李と付かず離れずの距離を保っていた。

 

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